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シュガー・ラッシュ:オンライン・・・・・評価額1650円
2018年12月27日 (木) | 編集 |
ラルフ、ぶっ壊しすぎて大暴走。

ゲームの世界を舞台とした痛快なCGアニメーション映画、シリーズ第二弾。
前作で悪役稼業に嫌気がさした主人公のラルフは、レースゲームの「シュガー・ラッシュ」のキャラクターで不良プログラムとしていじめられているヴァネロペと出会い、ゲームの世界を救う冒険を通して、初めての親友を得る。
本作では二人の暮らす場末のゲームセンターにWi-Fiが導入され、20世紀風のクローズドな世界から、一気に無限のインターネットへと世界観が拡大。
壊れてしまったシュガー・ラッシュのゲーム機を修理するため、ラルフとヴァネロペの凹凸コンビが、絶版になっているパーツを手に入れようと、ありとあらゆる情報とモノが集まるオンラインワールドへと遠征する。
監督は前作に引き続き続投のリッチ・ムーアに、新たにシリーズの脚本家でもあるフィル・ジョンストンが加わり共同監督を務める。
いかにもお正月映画らしい華やかさに満ちた、老若男女誰にでもオススメできる娯楽大作だ。
※核心部分に触れています。

古典アーケードゲーム「フィックス・イット・フェリックス」の悪役キャラ、壊し屋のラルフ(ジョン・C・ライリー)はレース・ゲーム「シュガー・ラッシュ」のレーサーにしてプリンセス、ヴァネロペ(サラ・シルバーマン)と大親友。
一度は嫌になった悪役稼業も、自分のことをヒーローと思ってくれる彼女がいるから受け入れられる。
ところが、ヴァネロペの退屈を紛らわそうと、調子にのってシュガー・ラッシュのコースに細工をしたことで、現実世界のプレイヤーが力を入れすぎてゲーム機のハンドルを壊してしまう。
修理しようにも、遠い昔に生産中止になったゲーム機のパーツなど、ebayで高値で取引されているものを買うしかない。
店主のリトワクさんは、修理をあきらめてシュガー・ラッシュを廃棄処分にすることを決める。
ラルフとヴァネロペは、なんとか廃棄業者が来る前にハンドルを手に入れようと、最近店に設置されたWi-Fiを通って、広大なインターネットの世界へと足を踏み入れるのだが・・・・


ゲームセンターが閉まっている夜の間、懐かしのゲームのキャラクターたちが、電子世界で気ままに動き回り、一つの社会を形作っているのは、要するに「トイ・ストーリー」のバリエーション。
違いは、おもちゃたちが現実世界に存在しているのに対して、こちらのゲームキャラクターはあくまでも電子的な存在ということ。
人間とゲームのキャラクターの間にはある種の“世界の壁”が存在して、決してお互いに行き来することはできなかった。
ところが、「シュガー・ラッシュ:オンライン」という邦題通り、今回二つの世界はインターネットという新たな地平で融合を見るのである。
ここでは、ゲームキャラクターはそのままの姿だが、人間もまたアバターとして同じ空間に存在しているのだ。

ガラパゴス・ジャパンでは、いまだに大手資本のゲームセンターがしっかり生き残っているが、米国ではレンタルビデオ店やCD店などと同様に、ほぼ絶滅状態。
シュガー・ラッシュのハンドルがebayで200ドルで売られているのを見た店主のリトワクさんが、「このゲームの一年間の売り上げより高い!」と言って諦めるのが、細々と生き残っている個人経営のゲームセンターのリアルな実情だろう。
彼の店にあるのは80年代、90年代の古典的なゲームがほとんどだが、使っているパソコンまでスケルトンの初代iMacなのがおかしい。
まあ、メールとワープロにネット閲覧くらいなら、今でも使えるのだろうけど。

シュラー・ラッシュのハンドルが、インターネットという所にあるebayという店で買えることを知ったラルフとヴァネロペは、Wi-Fiを通って未知の世界へと足を踏み入れる。
ネットの世界をカリカチュアした作品は、例えば「絵文字の国のジーン」など、今までも幾つかあったが、本作の世界観はさすが素晴らしい仕上がりで、見ているだけでワクワクする。
GoogleやTwitterなどの企業が、いかにもという形で表現されていて、検索エンジンのノウズモアや、ポップアップ広告屋のJP・スパムリーなど、ネットの世界の様々な機能が絶妙に擬人化されているのも楽しい。
ヴァネロペが、デンジャラスなレースゲーム「スローターレース」に出場して高値で売れるアイテムを奪おうとしたり、ラルフがYouTubeみたいな動画SNS「バズチューブ」に動画をアップして、ハートをもらって広告費を稼ごうとしたり、ネット世界のあるあるネタが満載だ。
この辺りは前作のマニアックなゲームへの拘りを、うまい具合にネットの世界のカリカチュアに移し変えているのだが、エンターテイメントとしての間口は確実に広がっている。

しかし、パーツを買うための冒険はまだ序の口。
本作の核心は、広大なネットの世界に触れたヴァネロペが、元のゲーセンに戻りたくなくなってしまい、そのことにショックを受けて色々こじらせたラルフが、いかにして葛藤を乗り越えるかというプロセスだ。
前作のラルフは、それぞれのキャラクターの役割が明確に決められたゲームの世界で、ヴァネロペのヒーローとなったことで、“悪役”という決して壊せない社会的な縛りを精神的にブレイクスルーし、内面の自由を得る。
ところが今回は、毎回同じことしか出来ない閉ざされたゲームの世界に閉塞していたヴァネロペが、常に新しい刺激を味わえるオンラインのレースゲームに参戦し、自分の未来に無限の選択肢があることを知ってしまうのだ。
ラルフは、孤独なキャラクター生に、やっと出来た“親友”を失う危機に直面するのである。
これ実は、今年公開された山田尚子監督の青春アニメーションの傑作、「リズと青い鳥」に非常によく似た構造だ。
高校の吹奏楽部を描くあの映画では、人付き合いが苦手なオーボエ奏者のみぞれが、唯一の親友でフルート奏者の希望を卒業によって失うことを恐れるあまり、うまく演奏できなくなってしまう。
非リア充で寂しがり屋の主人公が、社交的で新しいもの好き、誰とでも友だちになれる相方に執着すると、どうなるのか。

ラルフの誇りであり、希望である“ヒーローのメダル”が本作でも重要なキーアイテムだ。
ヴァネロペを失いたくないラルフは、あろうことか彼女が夢中になっているスローターレースにウィルスを仕込んでつまらなくすることで、彼女の関心を無くそうとするのだが、親友の未来を閉ざすことでつなぎ止めようとする卑劣な行為により、大切なヒーローのメダルは割れてしまう。
そして、ラルフの心の歪みを映し出すかのように、実体化したウィルスは巨大なラルフ自身の姿となって、インターネットの世界を襲うのである。
そう、本作には悪役はおらず、ラルフがぶっ壊さなければならないのは、自分自身の悪しき心なのだ。
ディズニーのアニメーション映画でもおっさんは保守的で、若い子は新しい冒険を好むのは、おっさんとしてはステロタイプを感じるが、まあ否定は出来まい。
この二人の見た目の年齢差は、固定された筐体から決して出られない嘗てのビデオゲームから、常に最新版に更新され続け、世界中から接続できるオンラインゲームへの進化を象徴していていて面白い。
そして、ようやく自らの過ちに気づき、未来へと向かうヴァネロペの背中を押すラルフもまた、別れていてもいつでもどこでもつながれるというインターネットのユビキタス性によって救われ、二つに割れたヒーローのメダルはラルフとヴァネロペが半分ずつ持つことで、新たな意味を獲得するのだ。

「シュガー・ラッシュ:オンライン」は、前作で描かれた過去のゲーム史観から、オンラインゲームという現在、そして未来への展開を、ラルフとヴァネロペのそれぞれの選択のドラマとして、見事に昇華した。
故スタン・リーの登場は嬉しい偶然なのだろうけど、マーベルからルーカスフィルまで、なんでも持っているエンタメ帝国ディズニーならではのビジュアルも楽しく、プリンセス軍団も予告編の通り、いやそれ以上に大活躍だ。
ところで「予告編にあったシーンが本編に無いと悲しい」はその通りだと思うけど、あのオマケは下手したらトラウマもんだろう。
「ズートピア」とかで最近は道徳的なイメージがあるが、リッチ・ムーアが「ザ・シンプソンズ」の監督だったのをいきなり思い出したわ(笑
ちゅうかあのラルフ、完全にウィルス化したままになってない?

今回はシュガー・ラッシュのお菓子より甘い、イタリアはトスカーナから「カンピ ヌオーヴィ ソリエ」をチョイス。
完熟後に糖度が上がった有機陰干し葡萄を使った、美しいゴールドのデザートワイン。
様々なフルーツにチョコレートのような香り、ナチュラルなキャラメルのような甘みが長く続く。2000年に設立された比較的新しい銘柄だが、近年世界的に高い評価を得ている。

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コメント
この記事へのコメント
前作ではキッチリ悪役がいましたが、今回はウィルスという悪意が悪役。これ、最近のアンパンマンでも類似パターンが見られる。バイキンマンがちょっとしたイタズラをしようとしたら、それが暴走する。
アーケードからオンライン、3作目ができたらどうなってしまうのか? 人狼ゲームとか(それ全然違う)
2018/12/28(金) 00:17:32 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
こんばんは
>ふじきさん
ディズニー作品は「一見いい人が悪役」ってパターンが増えすぎたので、「モアナ」に続いて悪役なしは良かったと思います。
まあラルフもバイキンマンも元々悪役ではありますけどw
2018/12/30(日) 18:50:34 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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