fc2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。

■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ・・・・・評価額1650円
2021年10月06日 (水) | 編集 |
ダニエル・ボンド、有終の美。

2006年に公開された「カジノ・ロワイヤル」で初登場して以来、15年に渡って5作が作られたダニエル・クレイグ主演のボンド映画最終作。
宿敵スペクターのボス、ブロフェルドとの対決から5年後。
引退して悠々自適のセカンドライフを楽しんでいたボンドの前に、スペクターの残党を叩き潰した新たな敵が現れる。
シリーズ初のアカデミー賞監督だったサム・メンデスに変わってメガホンを取ったのは、キャリー・ジョージ・フクナガ。
メキシコのギャングを抜けた少年と、南米からアメリカを目指す少女の、鮮烈な青春を描いたデビュー作「闇の列車、光の旅」で脚光を浴びた俊英だ。
おなじみの面々に、新キャラクターとして、ラシャーナ・リンチ演じるボンドの引退後に007のナンバーを継いだノーミ、そして「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」でもクレイグと共演している、アナ・デ・アルマスが、可愛さとカッコ良さを兼ね備えたCIAの新人スパイ、パロマを演じ、美味しいところをさらってゆく。
※核心部分に触れています。

スペクターとの戦いの後、マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)とイタリアを訪れたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、ヴェスパーの墓参り中にスペクター残党の襲撃を受ける。
マドレーヌの関与を疑ったボンドは、彼女を問い詰めながら脱出を図る。
なんとか敵を退けるが、マドレーヌのことを信じられなくなり、二人は別れる。
5年の歳月が経ち、ダブルオーセクションを退官したボンドは、ジャマイカに居を移し平和な日常を楽しんでいた。
そんな時、ボンドの元に旧友のCIAエージェント、フェリックス・ライター(ジェフリー・ライト)が訪ねてきて、ロンドンでスペクターに誘拐されたロシアの細菌学者オブルチェフ(デヴィッド・デンシック)を、救出して欲しいと依頼される。
断り切れず個人的に現場復帰したボンドは、キューバで開かれるスペクターのパーティーに、CIAの新人スパイ、パロマ(アナ・デ・アルマス)と潜入。
MI6が送り込んできた新007のノーミ(ラシャーナ・リンチ)と争奪戦になるが、オブルチェフの確保に成功する。
しかし直後に裏切りに合い、フェリックスは殺され、オブルチェフは奪われた。
全ての糸を引いていたのは、リュートシファー・サフィン(ラミ・マレック)という謎の男だった・・・・


この2年間散々予告編だけを見せられきたので、ポストコロナの時代を感じさせ余計に感慨深い。
マドレーヌの過去から始まる物語は、以前のシリーズでは禁じ手だった展開を見せ、最終的に驚くべきところに着地する。
過去の「007」は演じる俳優によって、大きくイメージが変わってきた。
初代ショーン・コネリーの男臭いダンディズムが滲み出るボンド、ロジャー・ムーアのお洒落で陽気なボンド、ティモシー・ダルトンの精悍で硬質なボンド、ピアーズ・ブロスナンのハンサムでウィットに飛んだボンド。
ちなみに、前作「スペクター」と本作、いや大雑把に見たら5部作全体の展開の元ネタが、一本だけボンドを演じたジョージ・レーゼンビー主演の「女王陛下の007」なのは皮肉である。
この作品がクレイグの新シリーズのベースとなったのは、ボンドの結婚と新妻の喪失が描かれ、珍しくボンド自身がドラマを持っていたからだろう。
クレイグ以前の007は、全て一話完結でボンドは物語を進める装置、狂言回しみたいな存在だった。
数々のお約束をこなし、美女と寝て、任務を遂行するがキャラクターは一切変化しない。
だからこそ、俳優が替わればその俳優の色に染めることが出来たのである。

ところが、2006年から始まった新シリーズは、基本ボンドの成長物語で続きもの。
何しろ第一作の「カジノロワイヤル」でのボンドは、ダブルオーエージェントになったばかりの、青臭い新人だったのだ。
一作目でファムファタールのヴェスパーを喪うという試練を経験し、第二作の「慰めの報酬」では復讐を果たす。
そして「スカイフォール」の親殺しの儀式で一人前になって、前作の「スペクター」では往年の荒唐無稽なタッチが戻って来たかと思ったが、クレイグ・ボンドの最終作ではキチッと成長物語の総決算に落とし込んできた。
基本的なプロットラインは、前作同様に「女王陛下の007」の延長線上。
軸となるのはボンドとマドレーヌの関係で、旧作でスペクターが目論んでいたウィルステロは、遺伝子を解析し感染した個人や民族を確実に死に至らしめるナノロボットに変わっているが、基本は似たようなもの。
大きな違いはブロフェルドは既に捕まっていて、新たなる敵、サフィンとの因縁を持っているのがボンドではなく、マドレーヌだということだ。

サフィンは、マドレーヌの父親だったスペクター幹部、ミスターホワイトに家族を殺され、復讐するためにミスターホワイトの隠れ家を襲撃しマドレーヌの母親を殺す。
だが、なぜかマドレーヌにはとどめを刺さず、助けるのだ。
そしてスペクターのナノロボット奪取計画を乗っ取り、一気にスペクターを壊滅させると、マドレーヌを利用して刑務所奥深くに幽閉されているブロフェルドを狙うのである。
サフィンとマドレーヌの因縁に、マドレーヌとボンドの因縁が絡み合い三つ巴となる仕組み。
世界をまたにかける冒険は、先を読ませず、スケールも大きく楽しめる。
特に前半は快調で、キューバでのスペクターのパーティを舞台としたオブルチェフ争奪戦は、まさにアクション映画の妙を味わえる。
このシークエンスで大活躍するのが、これぞ「007」なセクシーなドレスで登場するCIAのスパイ、パロマだ。
新人で緊張してるから言われたこと全て忘れちゃうとか、ドジっ娘かと思わせておいて、いざ戦闘が始まるとバッタバッタと華麗に敵を倒してゆく。
そして一段落ついたら、「じゃ、私はここまで」とカッコ良く去ってゆく。
非常に魅力的なキャラクターだから、次のシリーズでの再登場、もしくは彼女が主役のスピンオフでも作って欲しい。

惜しむらくは終盤で、北方領土あたりにあるらしい、サイフィンの秘密基地に潜入してからが、基地の空間設計とアクションの筋立てが噛み合っておらず、スムーズに進まない。
一番の問題は、ボンド、サフィン、マドレーヌ、そしてマドレーヌの娘マチルドの、身柄を取ったり取られたりの展開がうまくいってないことだ。
ボンドから逃れたサフィンが、あっさりマチルドを手放してしまったのには、相当な違和感があった。
あの時点では、既にボンドはマチルドが自分の娘だと分かっていたはずで、彼女には人質としての価値が十分に残っているから尚更だ。
おかげでサフィンとの最後の対決も淡白過ぎて、ブロフェルドを超える悪のはずが、ちょっとショボく感じてしまった。
マドレーヌもあまり効果的に動けていないし、特に割りを喰ったのがボンドの後輩のノーミで、あまり見せ場なく終わってしまった。
やっぱりマチルドを人質にして逃げるサフィンをボンドが倒して、娘を奪還するも最後の最後でサフィンの切り札だった毒を浴びてしまい、触れることができぬまま、父親としての責任を果たす、とした方がクライマックスとして盛り上がったのではないか。
とは言え、「LOGAN ローガン」を思わせるボンドの決意には、十分に泣かされたけど。

しかし、これで次期「007」の多様性に関する例の噂が、一気に信憑性を帯びて来たと思ったら、マーベルみたいな最後の字幕で混乱。
あの状況から、いったいどうやって??
世界観を踏襲せずに、完全リブートするんだろうか。
蓋を開けてみたら、またクレイグが出てきたりして(笑

今回は前作で登場した新レシピ、オリジナルシリーズでも知られるウォッカベースの「スペクター・マティーニ」をチョイス。
ベルヴェデール・ウォッカ60ml、ドライ・ベルモット10ml、オリーブの漬け汁1tsp、グリーンオリーブを用意。
オリーブをミキシンググラスの底に置いて優しく潰し、残りの材料を注ぎ入れたら、氷と共に強くシェイク。
ダブルストレインしてキンキンに冷やしたグラスに注ぐ。
特徴はウォッカ・マティーニのレシピよりウォッカの比率が高いことと、塩味がアクセントになっていること。
ヴェスパーへの想いを卒業して、ぐっと辛口で大人になったボンドのイメージだ。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね




スポンサーサイト




コメント
この記事へのコメント
こんばんわ。
私はあのラストに至る展開が『ザ・ロック』みたいと思ってしまいました。
だからショーン・コネリーがあの作品では生きてはいるものの、FBIへの報告では吹き飛んで死んだことになっていた。それをこの作品に当てはめているのかな?と。
ジェームズ・ボンドが死んでいないというならば、こういう展開しかないような気がするんですよね。
2021/10/10(日) 00:10:31 | URL | にゃむばなな #-[ 編集]
こんばんは
>にゃむばななさん
なるほど、「ザ・ロック」。
確かにそう考えると「戻ってくる」のもありなのか。
まあダニエル・ボンドが過去の作品を無かったことにしたように、完全リブートでも良い様な気もしますけど。
2021/10/10(日) 16:26:49 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
次はあれだな。
6人のメンバーが合体すると無敵の合体諜報員007になるって奴だな。まあ、ボントはシレットした顔で出てくると思いますよ。
2021/10/13(水) 23:47:50 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
こんばんは
『スカイフォール』からこっち、敵役が経済犯ではなくなった所為で「なんでそう動くの?」ってシーンが増えましたよね。それも、割と重要な場面で。
今回も「なんでわざわざお前がそこにいんの?」って思いました。でも、サイクロプス退場してたしな。

今回、ソリッド感が戻り気味で、素直に面白かったです。初めに見たボンドが『リビング・デイライツ』だった所為か、ギミックバーンに馴染めない。そっちが本道だって分かっちゃいるんですけどね。

初ジャッキーが『成龍拳』や『龍拳』だと、コメディカンフーに違和感憶えたりすんだろうか?
2021/10/16(土) 02:33:30 | URL | 焼き鳥 #9L.cY0cg[ 編集]
こんばんは
>ふじきさん
まあボンドは出て来るでしょうが、どう出て来るのかが問題。
やっぱ「奴は生きていた」パターンかな。

>焼き鳥さん
そもそもサイククロプスはスペクターの人だったのに、いつの間にかサフィンの部下になってました。
まあ、あんまり細かいことを言うのも野暮ですが。
私は派手なギミック全盛のロジャー・ムーア世代なので、最近のボンドより「ミッション・インポッシブル」の方に親しみを感じちゃいます。
2021/10/19(火) 21:08:26 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
最新生物兵器の作り方
ノラネコさん☆
ラストを飾るために盛りだくさんに楽しませてもらいました。
私はダニエルボンドからの007ファンなので寂しいかぎりですが、皆さんダニエルで帰ってくると?生まれた子供が男の子だったら良かったかもですね~

サフィンはホントちょっぴり中途半端でした。関係性も弱いし、恨みの根深さが見えにくいし、何より最先端生物兵器を池でかき混ぜて作るのはどうなの?と思いました。
2021/10/26(火) 17:21:23 | URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2[ 編集]
こんばんは
>ノルウェーまだ~むさん
サフィンと因縁があるのがボンドじゃなくてマドレーヌの方なので、どうしても関係性は弱くなりますよね。
次も同一人物設定で出て来るのか分かりませんが、とりあえずダニエル・グレイクはお疲れ様でした。
2021/10/31(日) 21:47:39 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
MI-6(英国情報部)00(ダブルオー)エージェントから退いたボンドは、愛するマドレーヌと共にジャマイカで平穏な日々を過ごしていた。 しかし、CIAの旧友フィリックスの依頼で誘拐された科学者を救出するため現役復帰。 正体不明の黒幕は、謎の計画に向けて最先端の技術と設備を整えつつあった…。 人気スパイアクション007シリーズ第25作。
2021/10/09(土) 09:55:38 | 象のロケット
◆『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ユナイテッドシネマ豊洲10(ネタバレ) ▲ポスターだ。 ※ 記事内容にネタバレを含みます。 五つ星評価で【★★★おいおい】 「ノー・タイム・トゥ・ダイ」というタイトルなのであるが、「W」の悲劇かよ、というネタをネタバレできないツイッターで呟き損ねた。「ノー No」でなく「ナウ Now」かよって言うね。でもまあそこを除けば、シリーズの中では最良ではな...
2021/10/14(木) 00:42:17 | ふじき78の死屍累々映画日記・第二章
次世代ボンドに、アナ・デ・アルマスさんを希望!
2021/10/16(土) 10:27:56 | 或る日の出来事
夫と2人で鑑賞。夫と2人きりで映画館で映画を観たのは20数年ぶりである。前回の「007 スペクター」と前々回の「007 スカイフォール」は、家族揃って劇場で鑑賞した記憶がある。本作は、スペクター三部作とも言うべきか、根底に脈々とスペクターの呪縛が存在するダニエル・クレイグ版ボンドの最終章である。不死身と思えたジェームズ・ボンドは、この作品で死を迎える。ボンドの死と、ダニエル・クレイグのジェー...
2021/12/03(金) 14:06:28 | ここなつ映画レビュー