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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス・・・・・評価額1700円
2022年05月07日 (土) | 編集 |
マルチバースの扉が開く。

つい先日の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」をはじめ、MCU作品にゲスト出演しまくってるので、あまり久しぶりという感じはしないが、2016年の第一作以来となるドクター・ストレンジの単体作品第二弾。
MCU作品の中でも重要なファクターとなりつつある、“マルチバース”を全面的なモチーフとして、幾つのも宇宙を駆け巡る冒険を描いた作品だ。
ベネディクト・カンバーバッチが、引き続きタイトルロールを演じるほか、前作で別れた元カノのクリスティーンにレイチェル・マクアダムス、ストレンジの盟友ウォンにベネディクト・ウォン、マルチバースを行き来できる能力を持つ新キャラクター、アメリカ・チャベスにソーチー・ゴメス。
そしてアベンジャーズのメンバーながら、本作では最強のヴィランとして立ちはだかるのが、エリザベス・オルセン演じるスカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフだ。
監督は、当初続投予定だったスコット・デリクソンが降板し、旧「スパイダーマン」三部作を手掛け、アメコミ映画黄金期の礎を築いたサム・ライミがピンチヒッターに立った。
この両者、元々ホラー畑の人という共通点があるが、本作は特に物語が進むにつれてホラー色、と言うかライミ色がどんどん強くなってゆく。
長年のファンとしては、嬉しくなってしまった。
※核心部分に触れています。

スパイダーマンを助けて、マルチバースに接続してしまって以来、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は奇妙な悪夢を見る。
夢の中のストレンジは、怪物に襲われている少女を助けて戦うのだが、彼女を守りきれず自分が殺されるところで目が覚める。
元恋人のクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)の結婚式に出席した日、夢で見た少女が現実の街に現れ、同時に彼女を襲う怪物も出現する。
アメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス)と名乗った少女は、危機に陥るとマルチバースをジャンプできる能力を持つが、その力はコントロール出来ないと語る。
ストレンジは彼女をカマー・タージに隠し、マルチバースに対して知見を持つとされるワンダ(エリザベス・オルセン)を尋ねる。
しかし、マルチバースの怪物を操って、アメリカを襲っているのは実はワンダであった。
彼女は、この宇宙では叶わなかった子供たちとの生活を取り戻すため、アメリカの持つマルチバースを超える力を狙っていたのだった・・・・


ディズニープラスに入ってないので、「ワンダビジョン」は観ていない。
本作でのワンダの変貌の理由が、「ワンダビジョン」で描かれた内容だったことが物議を醸しているらしいが、一応ドラマを観ていなくても、何があったのかは推測できるようになっているので、それほど致命的な問題とも思えない。
サノスとの戦いで、愛するヴィジョンを喪ったワンダは、自らの能力を使ってヴィジョンと二人の子供たちと共に、幸せな生活を送っているという偽りの世界を作り出した。
しかし何らかの要因によって、その世界は破綻し家族も消えてしまい、ワンダは家族を取り戻すため禁断の書と呼ばれる「ダークホールド」に傾倒し、闇堕ちしてしまった。
おそらく、ドラマではこんな展開があったのだろう。
まあ一見さんにはますます優しくないが、物語を理解する必要最小限の情報はきちんと入れられた脚本だと思う。

今回の話はストレンジが未練タラタラのクリスティーンの結婚から始まって、「人生、こんなはずじゃなかった」という感情が、ストレンジとワンダに共通する物語の推進力となっていて、二人は鏡像のような関係にある。
「あの時、もし別の道を選んでいたら」という後悔が、人生の別の世界線をマルチバースに求める展開は、MCU作品の中でも一番普遍的かつ分かりやすい。
もっとも普通の人間は、選ばなかった道を取り戻そうとは思わない。
「君の名は。」みたいな超自然的奇跡でも起こらない限り、時間を遡ったり、別の世界線に行くのは不可能だからだ。
しかし、不幸にもワンダは魔女、それも最強クラスの魔女であった。
その能力の強大さは、マルチバースの別の世界でヒーローチームの“イルミナティ”をほぼ瞬殺してしまったことでも分かる。
人智を超えた強大な力を持つからこそ、マルチバースの可能性を求めるのだが、彼女の願いがサノスのような大袈裟なものではなく、ただ二人の子供の母として、穏やかな人生を送りたいというのが切ない。

サム・ライミは、デビュー作の「死霊のはらわた」を何度もセルフリメイクし、次いでダークヒーロー物の「ダークマン」や西部劇の「クィック&デッド」でジャンル映画を追求、「シンプル・プラン」や「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」と言った渋い人間ドラマでも魅せ、超大作の「スパイダーマン」三部作を大ヒットさせるなど、変幻自在の人。
「オズ はじまりの戦い」以来9年ぶり長編作品となる今回は、MCUの世界観をキッチリと抑え、作家性は割と抑えめ?と思わせておいて、物語が進むにつれてゴリゴリのライミ節が前面に出てきて、クライマックスは完全に「死霊のはらわた」風味になっちゃうのが可笑しい。
まさかストレンジをゾンビ化するとは、さすがに想像できなかった。
MCUでこれをやれちゃうのも、ホラーとアメコミ映画両方のレジェンドであるライミならではかも知れない。
物語の特性上、ドクター・ストレンジの魔術の特徴でもあるミラー次元の目眩く映像は封印し、かわりに次々とジャンプするマルチバースのバラエティで補完。
注目すべきはキャラクターが“絵”になっている世界で、MCUのマルチバースにアニメーションの世界があることが明確になったことで、「スパイダーバース」とのクロスオーバーも期待できるだろう。

また作劇に関しては、脚本を担当したマイケル・ウォルドロンがライミの作品を研究して、彼のストーリーテラーとしての特質を想定して当て書きしたというから、ホラーテイストも含めてこの若き才能によるところも大きいと思う。
今まで漠然と使われていたマルチバースという概念を、キャラクターがもう一人の自分と向き合うステージとしたことも重要なポイントだ。
前記したように、本作ではストレンジとワンダは鏡像の関係にあるが、マルチバースの世界で彼らは異なる人生を送っている自分自身を鏡像として、自らの生き方を問われるのである。
ワンダは他の世界線に、ぽっかり穴が空いてしまった心の救済を求めていた。
しかし、自分の宇宙以外のマルチバースは、結局他人のものなのだという現実を突きつけられる着地点も、誰もが「あの時」に戻れない悲しみを知るからこそ、人間ドラマとして納得できるものになっている。
ライミは、その長いキャリアの最初から、人間の作り出す罪とその結果を描き続けてきた人で、本作の結末も彼の過去の作品の延長線上にあると言えるだろう。

しかしマルチバース化したことで、MCUは本当に何でもありになって来た。
今回初クロスオーバーとなった、Mr.ファンタスティックやプロフェッサーXらイルミナティの面々は、あくまでも別の宇宙の人なんで扱いがあんまりだったが、本家の世界線で合流する可能性もゼロではなかろう。
そしてマルチバースで唯一、他の宇宙に自分の分身が存在しないアメリカも、MCUのフェーズ4を担うキャラクターになってゆくのだろうな。
ちなみに、本作のエンドクレジット後のオマケ映像、結構意味を理解してない人が多いみたいだが、あのピザ屋はライミの出世作「死霊のはらわた」シリーズで主役アッシュを演じたブルース・キャンベル。
「死霊のはらわた2」では、彼の右手が悪霊に取り憑かれてしまい、自分の手と格闘する羽目になる。
つまり本作でストレンジがかけた魔法自体がパロディで、オマケはパロディのオチという訳。
MCU作品で他の作品に繋がらないオマケは珍しいが、これが許されるのもライミだからという訳か。

今回は、ライミに敬意を表して「ゾンビ」をチョイス。
ホワイトラム30ml、ゴールドラム30ml、ダークラム30ml、アプリコットブランデー15ml、オレンジジュース 20ml、パイナップルジュース 20ml、レモンジュース 10ml、グレナデンシロップ 10mlをシェイクして、氷を入れたゾンビグラスに注ぐ。
悪酔いさせるために複数のラムを混ぜたという凶悪なカクテルで、複数のラムを掛け合わせるのもそのため。
テイストそのものはフルーティで、割と飲みやすいので、深酒しているうちにゾンビ化してゆく。 

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コメント
この記事へのコメント
ラストのあれ、そういう事だったのか。じゃあ次はいよいよキャプテン・スーパーマーケットとアベンジャーズ合流か?
2022/05/16(月) 01:02:50 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
こんばんは
>ふじきさん
歳取ってるせいか、あれがブルース・キャンベルと気付かない人が多いみたい。
MCUのおまけのパターンとも違ってるし。
まあマルチバースなら何でもあり。
2022/05/19(木) 20:58:40 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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元天才外科医にして最強の魔術師ドクター・ストレンジ。 彼の呪文によって、“マルチバース”と呼ばれる謎に満ちた狂気の扉が開かれてしまった。 ストレンジはかつてアベンジャーズを脅かすほど強大な力を見せたスカーレット・ウィッチことワンダに助けを求めるが、もはやどうすることもできないほど恐るべき脅威が人類、そして全宇宙に迫っていた…。 
2022/05/08(日) 14:39:49 | 象のロケット
『ストレンジmom』面白いとこなし。都合つけてわちゃわちゃやってるだけ。母の涙にグッときたから、ある意味momの題は正しい。スカヨハなしで魅力なくなったな。
2022/05/13(金) 22:12:55 | 或る日の出来事
◆『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』新宿ピカデリー7 ▲画像は後から。 五つ星評価で【★★★★ごくごく普通におもろい映画。とてもサム・ライミらしい映画と言われているが、サム・ライミらしいって何ぞやってのが個人的にはよく分からなかった】 ツイッターでの最初の感想(↓) 鬼子母神みたいな話だった。職場に一人確保したいベネディクト・ウォン。吹石一恵に似てるアメリカ。ドクタ...
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