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マイ・エレメント・・・・・評価額1750円
2023年08月07日 (月) | 編集 |
パパとママが本当に願っていることは?

ピクサー・アニメーション・スタジオの27作目となる新作長編は、水・火・土・風の四つのエレメント(元素)の世界の物語。
舞台は擬人化されたエレメントたちが暮らすニューヨーク風の大都会、エレメント・シティ。
普段は触れ合うことすら許されない火のエレメントのエンバーと、水のウェイドが出会い、禁断のラブストーリーの幕が開く。
「アーロと少年」のピーター・ソーン監督が、7、80年代にニューヨーク、ブロンクスで韓国からの移民の息子として育った自分の少年時代からインスピレーションを得た物語で、自らメガホンを取り映画化した。
主人公のエンバーのV.C.にNetflixで配信された「ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから」で注目されたリア・ルイス、相方のウェイドにマムドゥ・アチー。
生活感たっぷりに描かれる、エレメントたちのカラフルでユニークな世界はとても楽しいが、移民社会のリアルをカリカチュアした物語でもある。

水・火・土・風の四大元素が暮らすエレメント・シティ。
火の移民の子として育ったエンバー・ルーメン(リア・ルイス)は、両親が創業したコンビニエンスストア「ファイアプレイス」で次期店主の修行中。
しかし彼女は配達は得意なものの、接客が苦手で癇癪持ち。
ある日、面倒臭い客に激昂したエンバーは、地下室で大爆発。
すると、なぜか使われていない配管から水が噴き出し、市の検査員で水のエレメントのウェイド・リップル(マムドゥ・アチー)が流されてくる。
ウェイドは手作りの配管を見て、営業停止を宣告。
エンバーはウェイドが市役所に書類を提出するのを、なんとか阻止しようとするが失敗。
陳情の結果、金曜日までに水漏れの原因を突き止めれば、営業停止は撤回されることになり、エンバーに同情したウェイドも協力してくれることになるのだが・・・・


本作は6月16日に米国で封切れられたが、期待を遥かに下回る興行成績で大コケ。
しかし、その後は粘り腰の動員を続けているという。
なるほど、公開当時は敬遠され、口コミが効いてくると持ち直した理由はとてもよく分かる。
私も予告編を見た時に、「また説教臭い話か」と思った。
四つのエレメントが人種や属性を象徴し、楽しませるよりも先にポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)を押し付けて来るようなパッケージに見えたのだ。
実際ディズニーの近作には、物語上意味のない多様性設定が目立つ。
昨年公開された「ストレンジ・ワールド/もう一つの世界」は、これでもかと言うくらい多様性の設定が詰め込まれていたし、実写作品の「ジャングル・クルーズ」では主人公の弟が、突然脈略もなくゲイ宣言する。
これらは全て、設定だけで後は放ったらかし。
もちろん多様性が空気のように受け入れられてるのが理想だとは思うが、現実がそうなって無い以上、設定するなら意味を持たせるべきだろう。
観客はディズニーの理想を観たいのではなく、物語を楽しみに来るのだから。

ところが本作は、一見するとポリコレに見えて、実は全くポリコレでは無い。
いや、あえて言えば正しいポリコレか。
なぜなら本作の多様性には、全てバックグラウンドと物語上の意味があるからだ。
映画の冒頭で、若いルーメン夫妻が小船に乗ってエレメント・シティにやって来る。
言葉が分からないので入国審査官とも会話にならず、バーニーとシンダーという適当な英語名(?)を付けられる。
家を探そうにも、他のエレメントから火は危険だと敬遠されて貸してもらえない。
やっと見つけた廃墟同然のボロ屋で暮らしはじめ、身重だったシンダーがエンバーを産む。
バーニーは建物をなんとかDIYで改装し、遂に自分たちの城となる店をはじめるのだ。
これが移民の物語であること、エンバーが親世代の苦労を間近で見て育ったことを端的に表した秀逸なオープニングだ。

この映画の世界で、水はエレメント・シティにやって来た最も古い移民で、都市のインフラも基本水に合わせて作られている。
続いて土と風がやって来て、火のエレメントは一番遅れてきた新移民。
ディズニー/ピクサーの作品で多様性の都市と言えば、多種多様な動物たちが暮らす「ズートピア」だが、エレメント・シティも行ってみたくなるワクワクに満ちている。
韓国系であるピーター・ソーンの半自伝でもあるので、、新参者である火はアジア系っぽい風習を持ち他のエレメントから色々な差別や偏見を受けている。
エンバーが住んでいるのは、火のエレメントが固まって住んでいる区画で、煌びやかな高層ビルが立ち並ぶエレメント・シティの中心からは離れた下町。
これも、マンハッタンに対するブロンクスのイメージだろう。

移民の両親と、新天地で生まれた移民二世の子供。
両親たちは生活基盤を作るためにがむしゃらに働き、築き上げた全てを次の世代に託そうとするが、新世界の価値観で育った子供が親の考えをすんなり受け入れるとは限らない。
主演のリア・ルイスの代表作である「ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから」も、似たような葛藤を抱いた中国系移民二世の物語だったが、他にも「ウエストサイド物語」から「イン・ザ・ハイツ」まで様々な作品を連想させる。
だが私には、今年のオスカーを受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を娘の目線で描いたバージョンに思えた。
銀河の破壊神にはなってないが、エンバーも意識しないうちに、親の価値観と自分の中の新しい世界の価値観に引き裂かれて爆発寸前。
そのイライラが癇癪として表に出ているのだ。

そこにいい意味で育ちがよく、ボンボンのウェイドが現れたことで、彼に導かれるようにして少しづつ鬱屈した自分を解放して行く。
火のエレメントたちは、自分達が被差別階層であることを意識して、他のエレメントに敵愾心を抱いている。
特に水と火は、いろいろな意味で正反対。
触れ合えば火は消えてしまうし、水は沸騰して蒸発してしまうので、決して一つになることは出来ないと信じられているのだ。
ちょっと頼りない、ウェイドのキャラクターがいい。
家族揃って泣き上戸で、感情表現がいちいち大袈裟。
経済的にも恵まれた愛情深い家族のもとで、天真爛漫に育つとこうなるという説得力がある。
物心ついた時から、親の跡を継ぐことが当たり前と思って育ち、他のエレメントとの接触も避けてきたエンバーにとって、あらゆる面で対照的なウェイドとの出会いは世界がひっくり返るカルチャーショック
恋に落ちた二人が初めて触れ合うシーンは、なるほど火と水の特性を生かして、どんどん熱くなる心を化学反応として上手く表現した。
主役二人が不定形でありながら、キッチリとキャラクターとして成立させているのも、よくよく考えると凄いことだ。

これは多様性の街で暮らしながら、閉じた社会で育った若者が、真の意味のマルチカルチャーの洗礼を受け、生きる道を自らの意志で決めてゆく物語。
エンバーの心理変化に若干の駆け足感はあるが、二人の真実の愛に泣かされた。
ピクサーブランドの生きる道は、本作や「ソウルフル・ワールド」みたいな、少し大人向け路線だと思う。
ところで、この映画で一番ダメダメなのは市役所なんだが、これも新移民の多い貧しい街のインフラは後回にされると言う、お役所仕事への皮肉なんだろうな、たぶん。

久々の短編「カールじいさんのデート」が同時上映。
「カールじいさんの空飛ぶ家」の続編で、とある女性にデートに誘われたカール。
何を話せばいいのか、最愛のエリーに顔向けできないのではないかと、中学生のように右往左往する可愛い映画だ。
7分の小品だが、じんわりとした余韻が暖かい。
監督は、オリジナルでも共同監督を務めたボブ・ピーターソン。

ニューヨークを模した都市で展開する本作には、ウォッカベースのカクテル「ビッグ・アップル」をチョイス。
氷で満たしたタンブラーに、ウォッカ45ml、アップル・ジュース適量を加え、軽くステアする。
カットしたリンゴを飾って完成。
世界中の人を惹きつける巨大都市に相応しい、シンプルながら飽きのこないカクテルだ。

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コメント
この記事へのコメント
エンバーが可愛いので、このアタリのエロい薄い本をちょっと読みたい。
2023/09/12(火) 14:24:10 | URL | fjk78dead #-[ 編集]
>ふじきさん
ちょっと何言ってるのか分からない。
2023/09/23(土) 21:43:21 | URL | ノラネコ #xHucOE.I[ 編集]
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火・水・土・風の様々なエレメント(元素)たちが共に暮らす都市エレメント・シティ。 アツくなりやすくて家族思いな“火のエレメント”の女の子エンバーと、涙もろくて心やさしい“水のエレメント”の青年ウェイドは、正反対の性格で、その気になればお互いを消せる(!?)性質を持っていた。 そんな2人が、奇跡の化学反応を引き起こす…。 ファンタジーアニメ。 ≪ふたりの距離は 近くて、遠い。≫
2023/08/09(水) 21:54:48 | 象のロケット