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2009年02月19日 (木) | 編集 |
「鉄コン筋クリート」で鮮烈な監督デビューを飾った、マイケル・アリアスの第二作は実写作品。
不治の病に冒された若者と女子中学生の逃避行を描いた「ヘブンズ・ドア」は、トーマス・ヤーン監督のドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のリメイクだが、オリジナルとはだいぶ装いが異なる。
仕事を首になった28歳のフリーター勝人(長瀬智也)は、訪れた病院で脳腫瘍が見つかり、余命三日を宣告される。
同じ病棟で、やはり余命一ヶ月の14歳の少女春海(福田麻由子)と出会う。
偶然見つけたテキーラで酔っ払った二人は、一緒に海を見に行こうと病院を抜け出し、駐車場に放置されていた高級車を盗んでしまう。
ところがその車には、訳ありの大金と拳銃が積まれていた。
死ぬまでにやりたい事をリストにしながら、海を目指す二人に、警察と裏社会の双方から追っ手が迫る・・・
オリジナルの「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」を観たのはもう十年以上前。
正直なところ、細部までは覚えていないのだが、繊細な精神性とどこか自主映画のような荒っぽい展開が同居する、ロードムービーの佳作だった。
今回のリメイク版との最大の相違点は、男二人だった主人公が、長瀬智也演じる脳腫瘍のチンピラと福田真麻由子演じる骨肉腫の女子中学生に改められている事。
全体の印象としては、オリジナルの基本プロットはそのままに、ビジュアルをよりブラッシュアップし、コメディ色を弱めてスタイリッシュでシリアスな青春ロードムービーを目指している様に思える。
マイケル・アリアスは元々VFX畑の出身であり、アニメの人でもある。
その映像は細部までデザイン化され、フルデジタルでの制作を生かした演出もユニークだ。
構図はどのカットもバッチリ決まっており、ロケーションや小道具、色彩設計も綿密に計算されている。
映像的なクオリティに関して言えば、極めて完成度が高く、その作り込みの考え方はやはり実写というよりもアニメーションに近い。
ただ、これは諸刃の剣でもある。
デザイン化はビジュアルだけではなく、キャラクターにも及んでおり、良く言えばわかりやすく、悪く言えばステロタイプだ。
ここにはオリジナルが持っていた、荒削りな生々しさがない。
物語上の明確な役割にはめ込まれて造形されたキャラクターたちは、予定調和で生身の人間としての深みをあまり感じない。
一番問題なのは長塚圭史演じる悪の企業家で、機械的な妨害者としての役割しか与えられていないので、手下ともども行動がウソっぽ過ぎて浮いてしまっている。
正直なところ、「少林少女」の悪の学長を連想してしまうくらい、リアリティの無いキャラクターだ。
まあ、元々の物語自体が漫画チックではあるのだが、コメディ色の強いオリジナルでは言ってみれば作りの荒っぽさが妙なリアリティを生み出していたのに対して、あらゆる要素がきっちりと作りこまれた生真面目なリメイク版は、なんだかアニメの世界に実写の役者が入り込んでしまったかのような印象があるのだ。
もっとも、深みは感じないものの、マイケル・アリアスの演出はテンポ良く軽快で、1時間46分を一気に見せ切るし、 「デトロイト・メタル・シティ」でも漫画を漫画なまま上手く実写世界に移植していた、大森美香の脚本も、それ自体は良く出来ている。
主役の二人を演じる長瀬智也と福田麻由子も、ビジュアルを含めてキャラクターのイメージにぴったりで、好演と言って良いだろう。
作品のクオリティそのものは決して低くなく、娯楽映画として十分に楽しめる一本だ。
なんとなくだが、マイケル・アリアスという人は、ずっと日本に住んでいるくらいだから極めて日本的な感性を持つ真面目な人なのだろうと思う。
前作の「鉄コン筋クリート」も本作も、映像的なスタイリッシュさは異彩を放つものの、作品のベースに流れる精神性は極めて日本的で、アリアスの事を知らない人が見たら、外国人監督の作品だとは思わないだろう。
この作品は、おそらくこの映像的なクオリティを維持したまま、コメディ色をオリジナルくらいに強めた方が、はっちゃけて逆に説得力のある作品になったと思うが、監督の目指す方向性としては、そっちではなかったのだろうな、たぶん。
和風な感性と、ハリウッド的、アニメーション的な映像センスを併せ持つ、今の日本映画には稀有な才能であり、映像作家としてのポテンシャルはもっと凄い物を期待してよさそうな人物だから、次回作を楽しみに待ちたいと思う。
今回は、二人の旅のきっかけになるテキーラ。
本場メキシコはハリスコ州テキーラからやってきた「サウザ ゴールド」をチョイス。
美しい黄金色のそれはまさに命の水。
もちろんソルトとライムを添えて。
テキーラとしては比較的まろやかで飲みやすいが、強い酒なので飲みすぎには注意。
もちろん女子中学生は飲んではいけません(笑
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不治の病に冒された若者と女子中学生の逃避行を描いた「ヘブンズ・ドア」は、トーマス・ヤーン監督のドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のリメイクだが、オリジナルとはだいぶ装いが異なる。
仕事を首になった28歳のフリーター勝人(長瀬智也)は、訪れた病院で脳腫瘍が見つかり、余命三日を宣告される。
同じ病棟で、やはり余命一ヶ月の14歳の少女春海(福田麻由子)と出会う。
偶然見つけたテキーラで酔っ払った二人は、一緒に海を見に行こうと病院を抜け出し、駐車場に放置されていた高級車を盗んでしまう。
ところがその車には、訳ありの大金と拳銃が積まれていた。
死ぬまでにやりたい事をリストにしながら、海を目指す二人に、警察と裏社会の双方から追っ手が迫る・・・
オリジナルの「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」を観たのはもう十年以上前。
正直なところ、細部までは覚えていないのだが、繊細な精神性とどこか自主映画のような荒っぽい展開が同居する、ロードムービーの佳作だった。
今回のリメイク版との最大の相違点は、男二人だった主人公が、長瀬智也演じる脳腫瘍のチンピラと福田真麻由子演じる骨肉腫の女子中学生に改められている事。
全体の印象としては、オリジナルの基本プロットはそのままに、ビジュアルをよりブラッシュアップし、コメディ色を弱めてスタイリッシュでシリアスな青春ロードムービーを目指している様に思える。
マイケル・アリアスは元々VFX畑の出身であり、アニメの人でもある。
その映像は細部までデザイン化され、フルデジタルでの制作を生かした演出もユニークだ。
構図はどのカットもバッチリ決まっており、ロケーションや小道具、色彩設計も綿密に計算されている。
映像的なクオリティに関して言えば、極めて完成度が高く、その作り込みの考え方はやはり実写というよりもアニメーションに近い。
ただ、これは諸刃の剣でもある。
デザイン化はビジュアルだけではなく、キャラクターにも及んでおり、良く言えばわかりやすく、悪く言えばステロタイプだ。
ここにはオリジナルが持っていた、荒削りな生々しさがない。
物語上の明確な役割にはめ込まれて造形されたキャラクターたちは、予定調和で生身の人間としての深みをあまり感じない。
一番問題なのは長塚圭史演じる悪の企業家で、機械的な妨害者としての役割しか与えられていないので、手下ともども行動がウソっぽ過ぎて浮いてしまっている。
正直なところ、「少林少女」の悪の学長を連想してしまうくらい、リアリティの無いキャラクターだ。
まあ、元々の物語自体が漫画チックではあるのだが、コメディ色の強いオリジナルでは言ってみれば作りの荒っぽさが妙なリアリティを生み出していたのに対して、あらゆる要素がきっちりと作りこまれた生真面目なリメイク版は、なんだかアニメの世界に実写の役者が入り込んでしまったかのような印象があるのだ。
もっとも、深みは感じないものの、マイケル・アリアスの演出はテンポ良く軽快で、1時間46分を一気に見せ切るし、 「デトロイト・メタル・シティ」でも漫画を漫画なまま上手く実写世界に移植していた、大森美香の脚本も、それ自体は良く出来ている。
主役の二人を演じる長瀬智也と福田麻由子も、ビジュアルを含めてキャラクターのイメージにぴったりで、好演と言って良いだろう。
作品のクオリティそのものは決して低くなく、娯楽映画として十分に楽しめる一本だ。
なんとなくだが、マイケル・アリアスという人は、ずっと日本に住んでいるくらいだから極めて日本的な感性を持つ真面目な人なのだろうと思う。
前作の「鉄コン筋クリート」も本作も、映像的なスタイリッシュさは異彩を放つものの、作品のベースに流れる精神性は極めて日本的で、アリアスの事を知らない人が見たら、外国人監督の作品だとは思わないだろう。
この作品は、おそらくこの映像的なクオリティを維持したまま、コメディ色をオリジナルくらいに強めた方が、はっちゃけて逆に説得力のある作品になったと思うが、監督の目指す方向性としては、そっちではなかったのだろうな、たぶん。
和風な感性と、ハリウッド的、アニメーション的な映像センスを併せ持つ、今の日本映画には稀有な才能であり、映像作家としてのポテンシャルはもっと凄い物を期待してよさそうな人物だから、次回作を楽しみに待ちたいと思う。
今回は、二人の旅のきっかけになるテキーラ。
本場メキシコはハリスコ州テキーラからやってきた「サウザ ゴールド」をチョイス。
美しい黄金色のそれはまさに命の水。
もちろんソルトとライムを添えて。
テキーラとしては比較的まろやかで飲みやすいが、強い酒なので飲みすぎには注意。
もちろん女子中学生は飲んではいけません(笑

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この記事へのコメント
全体的に、現実世界なのに、ファンタジー色が強くて、
なんだか夢の中のような作品でしたね。
なんだか夢の中のような作品でしたね。
個人的な好みで言うと、もっっと感傷に浸れるように余白がたっぷりある構成のほうがロードムービー的な味わいが楽しめたかなぁと思うんですけど、そうなると脚本もキャスティングも全く変えたほうがいいかもしれませんね。
風景のとらえ方とか映像センスはけっこう気に入ってます。
風景のとらえ方とか映像センスはけっこう気に入ってます。
ノラネコさん、こんにちは!
オリジナルを観ていないので比較ができないのですが、本作についてはマイケル・アリアス監督らしさというのが出ていましたよね。
見慣れた風景でもちょっと違って見えるのが不思議です。
それは外国人監督のなんちゃって日本ではなく、日本らしさもありながら、それでも生々しい感じではないファンタジーな印象だったような気がします。
基本的にはこの監督はリアリティというのは目指していないような気がしますね。
アニメでも実写でも自分らしさというのをだせるのは、なかなかすばらしいです。
今後の作品も期待したいです。
オリジナルを観ていないので比較ができないのですが、本作についてはマイケル・アリアス監督らしさというのが出ていましたよね。
見慣れた風景でもちょっと違って見えるのが不思議です。
それは外国人監督のなんちゃって日本ではなく、日本らしさもありながら、それでも生々しい感じではないファンタジーな印象だったような気がします。
基本的にはこの監督はリアリティというのは目指していないような気がしますね。
アニメでも実写でも自分らしさというのをだせるのは、なかなかすばらしいです。
今後の作品も期待したいです。
こんにちは、これ、、オリジナルの映画が大好きなだけに
コチラが恐くて観にいけていません。
うーん、、TVにすぐ来そうだし、、それ待ちにしたほうがいいかしら、、と悩んでいます。
コチラが恐くて観にいけていません。
うーん、、TVにすぐ来そうだし、、それ待ちにしたほうがいいかしら、、と悩んでいます。
>まりっぺさん
そうですね。
なんとなくそれが狙いの気がします。
ゆえに今ひとつ現実感が無くて、あまり真に迫ってこないという部分があるのですけど、ひとつのスタイルとしてこれはこれでアリだと思います。
>かのんさん
確かにきっちり構成しすぎて余白が無いんですよね。
画面に写っているもの意外に想像力をめぐらせる余地があまりない。
こういう物語ならもうちょっと演出で破天荒な部分があってもよかったかな。
>はらやんさん
アリアスという人は、良くも悪くもアニメ的に作品を作っていると思います。
最初から作品が頭の中で完成しているのですよね。
これは武器でもあり、同時に欠点にもなりえます。
この人が、巨匠になれるかどうかは自らのロジックを超えられるかどうかなんじゃないでしょうか。
>コブタさん
オリジナルとは似て非なるものです。
物語の基本は踏襲していますが、目指したイメージはかなり違うので、別物として楽しめると思いますよ。
個人的にはオリジナルが好きですが、こっちもオリジナルには無い部分も持っています。
そうですね。
なんとなくそれが狙いの気がします。
ゆえに今ひとつ現実感が無くて、あまり真に迫ってこないという部分があるのですけど、ひとつのスタイルとしてこれはこれでアリだと思います。
>かのんさん
確かにきっちり構成しすぎて余白が無いんですよね。
画面に写っているもの意外に想像力をめぐらせる余地があまりない。
こういう物語ならもうちょっと演出で破天荒な部分があってもよかったかな。
>はらやんさん
アリアスという人は、良くも悪くもアニメ的に作品を作っていると思います。
最初から作品が頭の中で完成しているのですよね。
これは武器でもあり、同時に欠点にもなりえます。
この人が、巨匠になれるかどうかは自らのロジックを超えられるかどうかなんじゃないでしょうか。
>コブタさん
オリジナルとは似て非なるものです。
物語の基本は踏襲していますが、目指したイメージはかなり違うので、別物として楽しめると思いますよ。
個人的にはオリジナルが好きですが、こっちもオリジナルには無い部分も持っています。
2009/02/24(火) 23:59:48 | URL | ノラネコ #-[ 編集]
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アメリカ人監督がドイツ映画を日本映画としてリメイクするという不思議な経緯はさておき、オリジナル同様、風変わりなロード・ムービーに仕上がっている。余命わずかと宣告された28歳の勝人と、同じく死期が迫った14才の少女・春海は、盗んだ車で海を目指す旅に出るが、そ...
2009/02/20(金) 00:02:50 | 映画通信シネマッシモ☆プロの映画ライターが贈る映画評
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2009/02/20(金) 12:33:01 | Akira\'s VOICE
松雪泰子さんの主演映画で『余命』という作品が公開中ですけど、実はこの映画も「余命モノ」なんですよね。これって偶然なんでしょうか?『鉄コン筋クリート』のマイケル・アリアス監督による初実写映画で原案はドイツのヒット映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』とい...
2009/02/21(土) 12:02:03 | カノンな日々
「鉄コン筋クリート」のマイケル・アリアス監督の初実写作品です。 オリジナルはドイ
2009/02/22(日) 08:51:47 | はらやんの映画徒然草
[ロードムービー][青春][ファンタジー][余命][夢][ロマン]
突然、余命がわずかと宣告された青年は、入院先の病院で同じく余命の少ない少女と出会う。
彼女は海を見たことがなかった。
青年は少女に海を見に行こう、と外へ連れ出す。
2人の逃避行が始まった………
...
2009/02/26(木) 14:05:46 | シネコンバイトまりっぺの映画レビュー日記
▼動機
本文中に長々と記載
▼感想
センスの良く、やさしい映画
▼満足度
★★★★★★☆ いいかも
▼あらすじ
突然余命わずかだと宣告された、28歳の勝人(長瀬智也)は、やはり長くは生きられないという14歳の病弱な少女春海(福田麻由子)と出会う。幼いころ?...
2009/02/26(木) 22:26:20 | 新!やさぐれ日記
□作品オフィシャルサイト 「ヘブンズ・ドア」□監督 マイケル・アリアス □脚本 大森美香 □キャスト 長瀬智也、福田麻由子、長塚圭史、大倉孝二、和田聰宏、黄川田将也、田中泯、三浦友和、SACHI、霧島れいか■鑑賞日 2月11日(水)■劇場 TOHOシネマズ川?...
2009/03/04(水) 22:31:52 | 京の昼寝~♪
ドイツ映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を『鉄コン筋クリート』の マイケル・アリアスが長瀬智也と福田麻由子を主人公に据えてリメイクした 青春ロードムービー。頭に異常を感じて、検査を受けた病院で余命いくばくもないと宣告された 28歳の勝人は、入院したさき..
2009/03/10(火) 22:47:19 | だらだら無気力ブログ
お前も天国のドアを叩いてんだな。 長瀬くんのせりふがやたらかっこいいなと思ってたら 元ネタ「ノッキンオンヘブンズドア」からの 引用がけっこうあったんですね。な~んだ。(こらこら) 余命3日、脳腫瘍でいつ死んでもおかしくない状況の勝人。 余命1ヶ月、心臓病?...
2009/03/17(火) 14:24:38 | ペパーミントの魔術師
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