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親切なクムジャさん・・・・・評価額1250円
2005年11月14日 (月) | 編集 |
日曜だというのに妙に早起きしてしまい、ふと思い立って映画館に行った。
貧乏人なもんでレイトショーで見るのが習慣化してしまって、よく考えたら初回に見るのなんて3、4年ぶりの気がする。

「復讐者に憐みを」「オールドボーイ」に続く、「復讐三部作」の最終作なんだそうだ。
とは言ってもジョン・フォードの「騎兵隊三部作」や大林宣彦の「尾道三部作」と同じく、監督が自分で定義してる内向きの三部作なんで、物語的には全く独立した関係ない作品である。
唯一、前二作の出演者があちこちにカメオ出演してる事が、関連を示唆する程度だ。

13年間、ウォンモ少年誘拐殺人犯の汚名を着せられて服役してきたイ・クムジャ。
天使の様な微笑みで、刑務所の誰にでも愛を振りまく彼女を、人は「親切なクムジャさん」と呼ぶ。
実はウォンモ少年殺害の真犯人は、クムジャさんの恋人だった英語教師ぺク先生で、クムジャさんは当時一歳だった娘を人質に取られて、ぺクの罪を被ったのだった。
クムジャさんは13年間の刑務所生活の間、ぺクに対する密かな復讐計画を練っていた。
そして遂に出所の日が来た・・・

「親切なクムジャさん」のイメージカラーは白だ。
純白は無垢の色であり、贖罪の色であり、そして・・・何も無い空虚の色である。
真っ白のクムジャさんの中にあるのは復讐の
出所後の彼女が赤いアイシャドーのメイクをしてるのがそれを象徴している。

前半、刑務所の中で培った人脈と情報を使い、クムジャさんは着々と復讐の計画を進め、同時に生き別れとなった娘を探す。
刑務所で、クムジャさんに救われたある者は彼女に家を提供し、ある者は仕事を、またある者は情報を、武器をといった具合に、13年間の「親切」で蓄積した人脈を武器に、密かにぺク先生を追い詰めてゆく。
このプロセスは、軽快なテンポと凝りに凝った映像ロジックを駆使して語られ、文句無しに面白い。
正直このまんま最後まで行ってくれたら、満点つけても良い位だった。

ところが後半、クムジャさんが首尾よく復讐の対象であるぺク先生を捕らえ、彼の更なる凄惨な悪事を知るにいたって、彼女はその復讐に他者を介在させる。
ぺク先生には、彼女以上に「復讐」するに相応しい人々がいたのだ。
クムジャさんは復讐の権利を彼らに譲る。
ここにいたってクムジャさんの「復讐」とは、ぺク先生への憎しみよりも、むしろウォンモ君への「贖罪」であり、クムジャさんの「贖罪」は無垢の純白ではなくぺク先生の血で贖うしかないのが明らかになるが・・・残念ながら、この部分がうまく処理されているとは言えない。
多分、監督が本来やりたかった事はこうだ。

「真っ白で空虚になってしまったクムジャさんの心は、復讐の赤、血の赤で塗りつぶされる事で満たされるはずだった。だが復讐が贖罪を内包しているがゆえ、新たな葛藤を呼び、それが再び今度は空虚ではない純白で満たされる事で救われる。」

正直、想像しただけでも表現が難しい。
後半になると前半のテンポの良いストーリーテリングは影を潜め、パク・チャヌク監督自身が、果たしてどう表現したら良いものかと迷っているうちに終わってしまった印象だ。

パク・チャヌクは現在の韓国映画界において、間違いなく断トツの映像表現のテクニシャンである。
「親切なクムジャさん」で見せる様々な映像のメタファー、多重構造的な脚本のテクニック、さらには心情表現を映像として完成させるセンスの良さは、映画学校の授業に使われるべき物だ。
復讐物なので残酷なシーンも多いが、漫画チックなカリカチュアが上手いので、目を背けたくなるほどでない。
( タイプが違うんで比べるのもなんだが、この辺の洗練度はタランティーのあたりより遥かに上手い)
ネタバレになるのであまり書きたくは無いが、養子に出されたクムジャさんの娘が韓国語を理解しないオーストラリア育ちで、復讐の対象である「英語教師」ぺク先生を通して彼女に心情を吐き出すシークエンスは、正しく映画でしかなし得ないシニカルな表現で、本編の白眉だ。

しかし、なまじテクニックがある故に、描きたい事が明確でなくなると、メタファーやロジックの表現がテーマを覆い隠して拡散させてしまう嫌いがある。
「JSA」や「オールドボーイ」はテーマが明確な分踏みとどまっていたと思うが、これは復讐の内に浮かび上がる贖罪という曖昧さ故か、後半に行くにしたがって拡散傾向が強く出てしまった。

イ・ヨンエは勿論、ぺク先生役のチェ・ミンシク、カメオ出演で美味しいところを持ってゆくユ・ジテにいたるまで、出演者はとても良い。 
(さすがにイ・ヨンエの「女子高生」コスプレはどうかと思ったけどさ・・・汗)
前半の快調さが傑作を予感させただけに、後半の失速がちょっと残念な映画だった。

この映画には無垢、贖罪を意味する純白の食べ物が出てくるシーンが冒頭とラストの二回出てくる。
冒頭の白い豆腐は食べるのを拒否したクムジャさん、ラストで彼女は救われたのだろうか?

この映画には映画のイメージカラーにあわせてカクテルの「ホワイト・レディ」をチョイス。
イギリスを代表するドライ・ジン、ビーフィータージンにホワイトキュラソー、レモンジュースを2:1:1の割合で加え、シェイクする。
非常に完成されたテイストを持つ大人のカクテルであり、このくらいのまとまりが映画にも欲しかった。
いや、面白いか面白くないかって言われたら面白いんですけどね。
レイトショー料金だったら良かったんだけど。
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異才パク・チャヌク。この人の映画は色んな意味で「痛い」です。


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