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キング・コング・・・・・評価額1800円
2005年12月15日 (木) | 編集 |
2005年の「キング・オブ・ザ・ムービーズ」
ピーター・ジャクソンは「ロード・オブ・ザ・リング三部作」に続いて、映画史に残る素晴らしい仕事をやってのけた。
「キング・コング」は、彼の物語とキャラクターへの深い愛、すなわち「映画愛」が結晶した圧倒的な力作であり、男なら涙なしには観られない、究極の愛に生きる漢の映画である。

時は1933年、大恐慌下のニューヨーク。
売れない喜劇女優のアン・ダロウは、怪しげな映画作家カール・デナムに新作への出演を依頼される。
最初は断ったアンだったが、脚本家が尊敬するジャック・ドリスコルだと知って出演を了承。
アン、デナム、ドリスコルらを乗せたロケ船は、太平洋を航海しながら順調に船上での撮影を消化してゆくが、その本当の行き先を知っているのはデナムだけだった。
デナムは海図にも載っていない伝説の島、「髑髏島」を探し出し、誰も見たことの無い秘境ロケを行おうとしていたのだ。
深い霧の中、ついに髑髏島に到着したロケ船だったが、島の先住民にアンが拉致されてしまう。
救出に向かったカール達が見た物は、生贄の祭壇に縛られたアンと、彼女をさらって行くゴリラに似た巨大生物のうしろ姿だった・・・


あまりにも有名な物語自体は、1933年に製作されたオリジナルに極めて忠実で、ほとんどそのまんまと言っていい。
だがオリジナルの上映時間が100分なのに対して、今作はなんと187分という大長編になっている。
最初この異様に長い上映時間を聞いたとき、ピーター・ジャクソンは上映時間が軒並み3時間を越えた「指輪」で変な癖がついて、話を切れない演出家になってしまったのではないかと心配したのだが、全くの杞憂だった。
187分のうち、つまらないシーン、無駄なシーンは全く無い。
ピーター・ジャクソンは、9歳の時にオリジナルの「キングコング」を観て映画監督になる事を決意し、以来リメイクを切望してきたそうだ。
思うにリメイクが実現するまでの35年間の歳月は、彼の頭の中でこの物語への愛を深め、より深く考察する不可欠な準備期間だったのではないか。
オリジナルに極めて忠実でありながら、ジャクソンのイマジネーションによって増えた87分間は、殆どがコングというキャラクターを深く描くのと、現在の技術を得て可能となったスペクタクルシーンに費やされている。
特に、上質のラブストーリーのような盛り上がりを見せる、アンとコングとの心の交流など、コングのキャラクターがより深く描かれた事で、オリジナルでは描ききれなかったテーマ性が浮かび上がり、単に観て面白い映画である以上に、非常に高い精神性を獲得しているのだ。
また長い上映時間は、決して少なくは無い登場人物を描きこむ事を可能とし、主役はもちろん脇役にいたるまで、とても個性的で魅力ある造形になっている。
アンが喜劇女優という設定を生かして、芸の動きでコングとコミュニケーションを取ろうとする秀逸なシーンなど、たっぷりとした上映時間の恩恵だろう。

もちろん指輪チームを総動員したビジュアルは圧巻の一言。
多少指輪のイメージを引きずってもいる、前半の髑髏島での秘境冒険物の部分はジュラシックパークとインディ・ジョーンズと宮崎アニメのアクションを、良い意味でごちゃ混ぜにしたようなシーンの連続で、冒険、冒険また冒険。
一瞬たりとも目が離せない。

後半、ニューヨークを舞台にした怪獣スペクタクルは、舞台が「冬」という事を生かしたユニークな演出も手伝って、見た事も無いスピーディーなアクションが展開される。
コングとアンが再び邂逅し、つかの間のデート(?)を楽しむシーンは、絵画的な美しさすら感じられる。
勿論、オリジナルをこよなく愛するピーター・ジャクソンだから、あまりにも有名なエンパイヤステートビルでのクライマックスまで手抜きなし。
コングに思いっきり感情移入して観ていた私は、ラストで泣けて泣けて仕方なかった。
このぐらいストレートな硬骨漢で、涙を誘うキャラクターは、最近では「グラディエーター」のマキシマス将軍くらいか。
来年のアカデミー賞では、キングコングとアンディ・サーキスに主演男優賞が与えられる事を強く希望する。

ヒロインのナオミ・ワッツも素晴らしい。
実際には存在しないコングを相手に、よくぞここまで感情を表現した。
彼女の前にコングがいるようにしか見えないのは、見事なVFX以上に見事な演技によるものだ。
ジャック・ブラックのマッドサイエンティストならぬ、マッドフィルムメーカっぷりも良かった。

作劇上のごく細かな欠点はあるものの、作品の圧倒的な存在感の前では些細な事に思えてしまう。
例えて言えば、ブロードウェーで派手なミュージカルを観て、☆付きレストランでフルコースの極上ディナーを食べて、更にジャズバーで泣ける音楽を聞きながら美味しいお酒を呑む。
そんな贅沢が味わえる映画。
いや、満腹、満福

付け合せは映画に負けない様な「ジ・アーマー」の強いを、ナオミ・ワッツの故郷オーストラリアから。
フルーティな香りと非常に力強いフルボディな赤。
これならまず料理に力負けする事は無いし、余韻をいっそう引き立ててくれる。

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ジ・アーマー[1997]ジム・バリー
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