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ロード・オブ・ウォー・・・・・評価額1650円
2006年01月12日 (木) | 編集 |
新年から観た映画が2本続けて戦争物
いやドラマの「里見八犬伝」も戦の話だから、三連チャンか。
つくづく人間てのは戦う事が好きなんだねえ。

もっとも、実在の武器商人たちの物語をベースに、「ガタカ」の監督、また「ターミナル」の脚本家としても知られるアンドリュー・ニコルが描き出した「ロード・オブ・ウォー」は、「戦」をある種のファンタジーとして描いた国産2本よりも遥かに鮮烈かつ現実的だ。

NY、リトルオデッサに住むウクライナ移民の子、ユーリー・オルロフは、明日の見えない暮らしに嫌気が差し、弟を誘って武器の取引を始める。
はじめは街のギャングたちを相手に自動小銃を売りさばく程度だったが、やがて海外の紛争地域に違法に武器を流す様になる。
そしてソ連崩壊によって、故国ウクライナから流出した大量の武器を押さえたオルロフは、一気に世界のトップクラスの武器商人に成り上がって行くのだった。
巨万の富を築き、愛さえも捏造した演出で買ったオルロフだったが、やがて弟は良心の呵責から心を病み、違法取引を繰り返すオルロフ自身にも捜査の手が伸びる・・・


オープニングのタイトルバックは、ロシアで作られた一発の弾丸が、やがてアフリカの戦場で一人の少年兵の命を奪うまでをワンカットで描く。
戦場とは孤立して存在するのではなく、否応無く世界中と繋がっているのだという事を、リアルに観客に認識させる秀逸なシーンだ。

ニコラス・ケイジが良い。
正直言ってキャラのパターンがいつも同じで、あまり好きなタイプの役者ではないのだけど、この超ビジネスマンははまり役だ。
彼は悪びれもせず、法の目を掻い潜り、銃を、弾丸を、戦車を、戦闘ヘリを、顧客を選ばず売りまくる。
そこに倫理はない。
劇中の台詞でもあるが、究極的には「金でもない」のだろう。
あるのはただ、需要と供給というビジネスの理論だけ。
ユーリー・オルロフのような男にとっては、このビジネスを成立させて運営させている事が、自分の存在理由なのだ。

そして、自己の存在価値を見出した男は実に魅力的だ。
観客は驚く。
この平和の破壊者たる男のサクセスに感情移入し、取引成功に喜び、逮捕を免れて安堵し、恋の成就にエールを送っている自分に。
その背後に無数の死があったとしても、彼は殺してない、彼は売っただけだから。

違法合法を問わず、現実に起こっている戦争で使われている武器の殆んどは5大国のエンジニアによって作られ、政治家によって認可され、ビジネスマンによって顧客まで運ばれる。
現実に殺しあうステージに行くまでには、どこにでもいる先進国の普通の市民が戦争の遂行に力を貸しているのだ。
血で血を洗う殺戮は、戦争のほんの一部に過ぎない。
この映画が白眉なのは、自分たちの平和な社会が、実は戦争を作り出している張本人であるという事を描き出した事だ。
よく現在のアメリカで作った物だと思っていたが、やはり資本はアメリカでは調達できなかったようだ。
完成して公開できただけでも大した物だが。

大変な力作だが、しかし、この映画はユーリー・オルロフの内面には切り込んでいかない。
観客は最後まで、このユニークで魅力的なビジネスマンに興味を抱きつつも、その心を覗く事が出来ない。
アンドリュー・ニコルはインタビューの中で「武器商人たちはとても魅力的で、彼らを好きにならないように気をつけなければならなかった」という趣旨の事を語っている。
その言葉どおり、作者の視点は武器商人の内面に深く切り込むよりは、淡々と彼らが行う事象とその結果の描写に向いている。
オルロフのキャラクターの造形も、複数の武器商人を組み合わせた物だろう。
ユーリー・オルロフは私たちがこの世界の現実を垣間見るための、魅力的な「目」である。
ある意味でとても客観的かつジャーナリスティックであり、観客に「こういう事実もある」という事を知らせるには十分な内容だろう。
が、引いた視線はある種の軽さと非現実感も生みだす。
我々が凄惨な戦場のニュースを見ながら平気で晩御飯を食べられるように、この映画も観終わって5分後にはスーパーで何を買うかを考えている自分がいる。
無い物ねだりかもしれないが、もしこの映画がジャーナリスティックな視点を保ちつつ、もう一段ユーリー・オルロフの内面をえぐって見せてくれたら、さらに力のある映画になったと思うのだ。
その点だけがちょっと残念だ。

こんな現実は酒を飲んで忘れたくなるが、決して忘れてはいけない。
今日は登場人物がグビグビやってるウォッカベースのカクテル「コザック」を。
ウォッカとブランデー、ライムサイダーを3:2:1の比率で。
最後にシロップを少々。
ちなみにコザックとは帝政ロシア軍最精強の騎兵隊の事・・・・
人間てやつは・・・・

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