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2006年03月06日 (月) | 編集 |
タイトルの「シリアナ」とは、日本語にするとちょっと淫靡な響きがあるが(笑)、これは元々アメリカの政府筋が使い始めた言葉で、イラン・イラク・シリアの三国が一つの統一国家になった場合の仮称。
元々民族的に近いイラクとシリアに、イランが+1として組み込まれてるのがミソ。
実際にはイラク・シリアはともかく、民族の違うイランが一緒になれるとは思えないんだが、まあアメリカの中東観の一つを示した言葉だ。
映画は直接シリアナのことを描いてる訳ではないが、四人の主人公を通して「アメリカにとっての中東」の真の姿を描き出す。
CIAのベテラン工作員、ボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)は、テヘランで武器商人を暗殺する任務に成功するが、何者かに現場からミサイルを持ち去られてしまう。
ワシントンに戻った彼は、最後の任務として中東の某王国のナシール王子暗殺を命じられる。
王子はテロ組織のスポンサーである疑いを掛けられていた。
ベネット・ホリデイ(ジェフリー・ライト)はワシントンの弁護士。
彼の仕事は石油メジャーのコネックス社とキリーン社の合併を政府に認めさせるため、両社の違法行為を調べ上げ、政府と有利に取引する事。
コネックス社はナシール王子が石油採掘権を中国に渡したために、ナシールの国での事業が出来なくなり、新興企業のキリーンとの合併を余儀なくされていた。
一方で、ベネットのボスであるホワイティングは、ナシールを失脚させ、言いなりになる弟を王位につけようと謀略をめぐらしていた。
ジェネーブのエネルギーアナリスト、ブライアン・ウッドマン(マット・デイモン)は、ナシール王子のパーティで起こった事故で息子を亡くす。
しかしその事をきっかけに、ウッドマンはアドバイザーとして中東の改革を目指すナシールの側近の地位を得る。
ナシールの目指す改革とは、アラブ自立への道だった。
ワシーム(マズハール・ムニール)は、パキスタンからの出稼ぎ青年。彼はナシールの国の石油施設で働いていたが、コネックス社が採掘権を失ったことから失業する。
失意の彼は原理主義組織のイスラム神学校に入り浸り、次第に西洋の価値観を憎悪し、殉教を賛美する思想を教え込まれて行く。
やがて組織から彼が見せられたのは、テヘランで消えたミサイルだった・・・
綿密なリサーチに基づいた力作なのは認めるが、正直言ってピンと来ない映画だった。
複雑な物語の果てに悲劇があり、世界は欲望と陰謀に満ちてる事は判ったけど、「So what?(それで?)」って感じ。
監督・脚本は、「トラフィック」の脚本で知られるスティーブン・ギャガン。
元々ソダバーグ一派の、「どう、君らついて来れるかな?」的なマスターベーション的な作りはあまり好きではないのだが、この映画も不必要なまでに物語を複雑にして突き放した目線で見ている。
ただ、バラバラのピースになっているから複雑に見えるだけで、もともとの話自体はそれほどでもない。
要するに石油会社は違法行為をしてでも利権を追及し、アナリストや法律家はその利権に乗っかり、アメリカ政府は私企業の力が強まりすぎるのを牽制するが、結局皆産油国の自立は望んでおらず、それぞれの組織が自分の意のままになる傀儡政権を作ろうとする。
すると現地人の生活は何時までも良くならず、イスラム神学校へ入り浸って自爆テロに走る奴も出てくるって事。
この映画が観客の脳みそをフル回転させ、128分かけて描いた事って、マイケル・ムーアが「華氏911」の中で、1分ほどで簡潔に喋ってた事とほとんど一緒じゃないのか。
いや、ムーアでなくても、9・11以来この手のルポ本やドキュメンタリーは多いし、石油業界と現地政権との癒着やアメリカ政府の陰謀なんて、今更こんなに凝ったやり方で描かなくても、誰でも知ってると思うんだが。
この映画ではじめてこう言うことを知った!という人にはそれなりに価値があるかもしれないが、少なくともアメリカ市場において、この露骨に「インテリ向けですよん」という作劇について行ける様な人が、国際情勢のイロハも知らないなんて事はあまり無いと思うし、逆に中東関係の知識の無い人に観てもらうには余りにも説明不足だ。
出稼ぎ青年が失業し、イスラム神学校で自爆テロ犯に変わってゆくエピソードは、直接他のエピソードと関わらないので割と一貫して流れで観られるけど、これもそれ自体が目新しい事実じゃないし。
まあ描かれている事が判りきっている事であると言う点では、例えば「ミュンヘン」なんかも一緒だけど、決定的に違うのは、こちらはキャラクターの内面が殆ど描かれてないので、事象だけを見せられてるって事。
結果、作り手の訴えたい事が全く伝わってこない。
「ふーん、世界って怖いね」という以上に観るものの心に訴える物が無いのだ。
四人の主人公にしても、彼らの立場や行動の理由は示されているけど、感情の流れが殆ど見えないので、それぞれの展開がえらく唐突に感じる。
また突然説明もなしに登場する、「これ誰??」的なキャラクターも多いので、ある程度物語の流れから推測する脳内補完が必要だ。
物語について行くのにそれなりの脳みそが必要な脚本だが、私は別に映画を観ながら脳を鍛えたい訳ではないので、こう言うのが上手い脚本とは思えない。
今こういう作品を観てもらう必要があるのは、どっちかと言うとインテリ層よりも普段ニュースも新聞も見ないで、ガソリンが安けりゃそれでブッシュを支持するような人達だと思うのだが、そういう人達を端から対象外にしてるような映画の作りはどうなのよ?
正直言って、何かを人に伝えたいと言うよりも、こう言った事を描いた!という自己満足をより強く感じてしまうのだが。
まあこれが映像を使った物語パズルだと思うと、結構面白いので飽きはしなかったが、作り手が誰に見せて、どんなことを伝えたいのかが判らない作品だった。
さて、この映画で描かれたように、現代社会で石油は黄金に等しく、石油に関わる人々は皆黄金の夢を見てる。
そんなところからこじ付けて、「ゴールデン・ドリーム」を。
イタリアンリキュールのガリアーノ、ホワイトキュラソー、オレンジジュース、生クリームをそれぞれ15ml。
シェイクして完成。
オレンジの風味が強く、生クリームがマイルドな感覚を生む。
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元々民族的に近いイラクとシリアに、イランが+1として組み込まれてるのがミソ。
実際にはイラク・シリアはともかく、民族の違うイランが一緒になれるとは思えないんだが、まあアメリカの中東観の一つを示した言葉だ。
映画は直接シリアナのことを描いてる訳ではないが、四人の主人公を通して「アメリカにとっての中東」の真の姿を描き出す。
CIAのベテラン工作員、ボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)は、テヘランで武器商人を暗殺する任務に成功するが、何者かに現場からミサイルを持ち去られてしまう。
ワシントンに戻った彼は、最後の任務として中東の某王国のナシール王子暗殺を命じられる。
王子はテロ組織のスポンサーである疑いを掛けられていた。
ベネット・ホリデイ(ジェフリー・ライト)はワシントンの弁護士。
彼の仕事は石油メジャーのコネックス社とキリーン社の合併を政府に認めさせるため、両社の違法行為を調べ上げ、政府と有利に取引する事。
コネックス社はナシール王子が石油採掘権を中国に渡したために、ナシールの国での事業が出来なくなり、新興企業のキリーンとの合併を余儀なくされていた。
一方で、ベネットのボスであるホワイティングは、ナシールを失脚させ、言いなりになる弟を王位につけようと謀略をめぐらしていた。
ジェネーブのエネルギーアナリスト、ブライアン・ウッドマン(マット・デイモン)は、ナシール王子のパーティで起こった事故で息子を亡くす。
しかしその事をきっかけに、ウッドマンはアドバイザーとして中東の改革を目指すナシールの側近の地位を得る。
ナシールの目指す改革とは、アラブ自立への道だった。
ワシーム(マズハール・ムニール)は、パキスタンからの出稼ぎ青年。彼はナシールの国の石油施設で働いていたが、コネックス社が採掘権を失ったことから失業する。
失意の彼は原理主義組織のイスラム神学校に入り浸り、次第に西洋の価値観を憎悪し、殉教を賛美する思想を教え込まれて行く。
やがて組織から彼が見せられたのは、テヘランで消えたミサイルだった・・・
綿密なリサーチに基づいた力作なのは認めるが、正直言ってピンと来ない映画だった。
複雑な物語の果てに悲劇があり、世界は欲望と陰謀に満ちてる事は判ったけど、「So what?(それで?)」って感じ。
監督・脚本は、「トラフィック」の脚本で知られるスティーブン・ギャガン。
元々ソダバーグ一派の、「どう、君らついて来れるかな?」的なマスターベーション的な作りはあまり好きではないのだが、この映画も不必要なまでに物語を複雑にして突き放した目線で見ている。
ただ、バラバラのピースになっているから複雑に見えるだけで、もともとの話自体はそれほどでもない。
要するに石油会社は違法行為をしてでも利権を追及し、アナリストや法律家はその利権に乗っかり、アメリカ政府は私企業の力が強まりすぎるのを牽制するが、結局皆産油国の自立は望んでおらず、それぞれの組織が自分の意のままになる傀儡政権を作ろうとする。
すると現地人の生活は何時までも良くならず、イスラム神学校へ入り浸って自爆テロに走る奴も出てくるって事。
この映画が観客の脳みそをフル回転させ、128分かけて描いた事って、マイケル・ムーアが「華氏911」の中で、1分ほどで簡潔に喋ってた事とほとんど一緒じゃないのか。
いや、ムーアでなくても、9・11以来この手のルポ本やドキュメンタリーは多いし、石油業界と現地政権との癒着やアメリカ政府の陰謀なんて、今更こんなに凝ったやり方で描かなくても、誰でも知ってると思うんだが。
この映画ではじめてこう言うことを知った!という人にはそれなりに価値があるかもしれないが、少なくともアメリカ市場において、この露骨に「インテリ向けですよん」という作劇について行ける様な人が、国際情勢のイロハも知らないなんて事はあまり無いと思うし、逆に中東関係の知識の無い人に観てもらうには余りにも説明不足だ。
出稼ぎ青年が失業し、イスラム神学校で自爆テロ犯に変わってゆくエピソードは、直接他のエピソードと関わらないので割と一貫して流れで観られるけど、これもそれ自体が目新しい事実じゃないし。
まあ描かれている事が判りきっている事であると言う点では、例えば「ミュンヘン」なんかも一緒だけど、決定的に違うのは、こちらはキャラクターの内面が殆ど描かれてないので、事象だけを見せられてるって事。
結果、作り手の訴えたい事が全く伝わってこない。
「ふーん、世界って怖いね」という以上に観るものの心に訴える物が無いのだ。
四人の主人公にしても、彼らの立場や行動の理由は示されているけど、感情の流れが殆ど見えないので、それぞれの展開がえらく唐突に感じる。
また突然説明もなしに登場する、「これ誰??」的なキャラクターも多いので、ある程度物語の流れから推測する脳内補完が必要だ。
物語について行くのにそれなりの脳みそが必要な脚本だが、私は別に映画を観ながら脳を鍛えたい訳ではないので、こう言うのが上手い脚本とは思えない。
今こういう作品を観てもらう必要があるのは、どっちかと言うとインテリ層よりも普段ニュースも新聞も見ないで、ガソリンが安けりゃそれでブッシュを支持するような人達だと思うのだが、そういう人達を端から対象外にしてるような映画の作りはどうなのよ?
正直言って、何かを人に伝えたいと言うよりも、こう言った事を描いた!という自己満足をより強く感じてしまうのだが。
まあこれが映像を使った物語パズルだと思うと、結構面白いので飽きはしなかったが、作り手が誰に見せて、どんなことを伝えたいのかが判らない作品だった。
さて、この映画で描かれたように、現代社会で石油は黄金に等しく、石油に関わる人々は皆黄金の夢を見てる。
そんなところからこじ付けて、「ゴールデン・ドリーム」を。
イタリアンリキュールのガリアーノ、ホワイトキュラソー、オレンジジュース、生クリームをそれぞれ15ml。
シェイクして完成。
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2006年03月06日 (月) | 編集 |
韓流の影響か、若い女性の姿も結構目立ったが、全体にロビーで待つ観客の年齢層が高いのだ。
「そりゃ力道山だからシニアですよ。力さんだもの、力さん。」
そんな年配の方の声も聞こえる。
私は力道山の時代には未だ生まれていないが、「力道山」という存在が、日本人の心に刻まれた一つ時代の象徴であり、偶像なのだという事はよく判る。
私の父や祖父も、力道山の話をする時は、まるで子供の様に嬉しそうに語った物だ。
しかし、そんなリアルタイムでヒーロー力道山を見た世代にとっては、この映画に描かれた一人の人間としての力道山には少し違和感を感じるかもしれない。
これは異国のヒーロー「力道山」という偶像を演じ続け、39歳の若さで逝った朝鮮人、金信洛の孤独で切ない魂の物語なのだ。
太平洋戦争下の東京。
朝鮮半島出身の力士、金信洛は先輩力士たちの執拗な苛めに耐え、横綱を目指していた。
ある日、空襲警報の鳴り響く中、金は芸子の綾を助ける。
綾の身元引受人は、金の所属する二所の関部屋の後援者、菅野武雄だった。
やがて金は、裏社会にも大きな影響力を持つ大物である菅野の後援を得て「力道山」の四股名を襲名し、私生活では綾をパートナーとして角界で活躍するようになる。
しかし目前だった大関昇進が、金が朝鮮人である事を理由に見送りになると、力士を廃業し自暴自棄な生活を送る様になる。
ある日クラブで酔って暴れていた力道山は、居合わせたプロレスラーのハロルド坂田にこてんぱんに倒される。
世界には人種や国籍を問われない西洋の相撲、プロレスリングがある。
一念発起した力道山は、菅野に頭を下げ、アメリカにプロレス修行に出る。
やがて帰国した力道山は、伝家の宝刀空手チョップで白人レスラーに連戦連勝。
一躍時代のヒーローに躍り出るのだが・・・
作り手の強い想いを感じる力作だ。
たぶん日本人がこの映画を撮っていたら、全く違った物になっただろう。
日韓合作だが、これはやはり韓国の映画であり、成功を夢見て日本に渡り、力道山と言う偶像を一生かけて演じきった金信洛を、ある程度の神話的フィクションも取り混ぜて見つめた作品だ。
力道山を演じるのは「ペパーミント・キャンディー」や「オアシス」の名演で知られるソル・ギョング。
この作品では体重を28キロも増やし、筋トレをつみ、レスリングの技を学んで、プロレスラー力道山を見事に演じ切っている。
日本が舞台で、日本人として生きた男の物語だから、彼の台詞も90%以上が日本語。
吹き替えを拒否して、自ら演じたその日本語は、やはりちょっとイントネーションが変だ。
ただし、その違和感は直に気にならなくなる。
一つには小手先の発音などどうでもよく思えるほど、ギョングが力道山になりきっているので、台詞にしっかりと感情が入っていること。
もう一つは、この訛った日本語が、生涯をかけて日本人を演じようとした力道山自身と重なり、妙なリアリティを与えているためだ。
(実際に力士時代の力道山には、強い朝鮮語訛りが残っていたそうだ)
勿論、そのためにはギョングの力道山を受ける芝居も重要になってくるのだが、力道山の理解者であった二人の人物、綾と菅野を演じた中谷美紀、藤竜也も素晴しい。
特に中谷は、登場シーンは少ないながらも、今までのキャリアでベストかもしれない凛とした美しさと存在感を見せる。(正直、この人こんなに綺麗な人だったんだと見とれてしまった)
ソン・へソン監督の過去の作品は未見だが、韓国の演出家は役者を生かすのが上手い人が多いね。
演出自体も、若干一本調子な気はするが、しっかりと時代と人間を見つめた基本に忠実なもので好感が持てる。
惜しむらくは、中盤の脚本の整理がやや雑で、ここで物語の流れが滞ってしまう事だ。
前半の力士時代からプロレスで成功するまでの流れは、シンプルに纏まっているのだが、中盤からは物語が三つの流れに分かれる。
成功が疑心暗鬼を生み、徐々に壊れてゆく力道山の心の物語、力道山を取り巻く裏社会を含めたプロレス界の物語、そして力道山を愛しながらも、彼の変化に戸惑いを隠せない綾の物語。
この三つの流れが上手く絡みながらスムーズに流れていけば良いのだが、現状では少しぶつ切り感があり、中ダレを感じさせてしまっている。
特に力道山と綾の感情の絡みが、やや平坦になってしまっているのが残念だ。
終盤の流れが再びスムーズになるだけに、もう少し上手く整理できていたら、もっと良い作品になったのにとどうしても思ってしまう。
さて力道山と言えば当然プロレスで、肝心のプロレスシーンをいかに描くかが重要な訳だが、この映画はその点も合格だ。
現役プロレスラーが出演した試合のシーンは迫力満点。
凄いのは、ここでもギョングが本物のレスラーたちに全くビジュアル負けしてない事で、ダイナミックな技の受け身も演技とは思えない。
プロスポーツの選手を描いた映画で、肉体の迫力をここまで表現した役者はちょっと記憶にない。
この作品のギョングは本当に良い仕事をしている。
力道山に熱狂する昭和30年代の日本も、へたな日本映画顔負けに忠実に再現されている。
セットやVFXがよく出来てる分、劇中で走ってる車の年式が合ってないのがちょっと気にかかったが、それはまあご愛嬌の範囲だろう。
大きすぎる夢に生きた力道山の生涯が幸せだったのかどうかは、映画を観ても小物の私には判らなかった。
日本人のヒーローを演じ続けた力道山だが、ドキュメンタリーやノンフィクション本などを見ると、やはりアイデンティティの葛藤は大きかった様で、晩年の精神的な不安定さもそこから来ていたのかもしれない。
映画にも出てくるが、たまに幼馴染のミンギョルの店を訪ね、その時だけは素の金信洛に戻っていたエピソードなどは史実に即したものだった様だ。
ただ、日本人になりきるために封印してきた母国語で、最後の最後に同郷の金一(原爆頭突きの大木金太郎!)に夢を語るシーンは、それまでの心の鎧を脱ぎ捨てた様で、とても心に沁みる良いシーンだったと思う。
力道山こと金信洛の故郷、北朝鮮には、現在でも「力道山酒」という酒が売られているという。
残念ながら私は未経験だが、聞く所によるとかなり強い焼酎の様だ。
実際の力道山も相当な酒豪であったらしいから、きっとミンギョルの店でも故郷を想って焼酎を飲んでいたんじゃなかろうか。
そんな発想で、今日は韓国焼酎「チャミスル」を付け合せ。
力道山酒ほど強くはないが、飲みやすくて凛とした味わいの酒。
どっちかと言うと力道山よりも綾のイメージかな。
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「そりゃ力道山だからシニアですよ。力さんだもの、力さん。」
そんな年配の方の声も聞こえる。
私は力道山の時代には未だ生まれていないが、「力道山」という存在が、日本人の心に刻まれた一つ時代の象徴であり、偶像なのだという事はよく判る。
私の父や祖父も、力道山の話をする時は、まるで子供の様に嬉しそうに語った物だ。
しかし、そんなリアルタイムでヒーロー力道山を見た世代にとっては、この映画に描かれた一人の人間としての力道山には少し違和感を感じるかもしれない。
これは異国のヒーロー「力道山」という偶像を演じ続け、39歳の若さで逝った朝鮮人、金信洛の孤独で切ない魂の物語なのだ。
太平洋戦争下の東京。
朝鮮半島出身の力士、金信洛は先輩力士たちの執拗な苛めに耐え、横綱を目指していた。
ある日、空襲警報の鳴り響く中、金は芸子の綾を助ける。
綾の身元引受人は、金の所属する二所の関部屋の後援者、菅野武雄だった。
やがて金は、裏社会にも大きな影響力を持つ大物である菅野の後援を得て「力道山」の四股名を襲名し、私生活では綾をパートナーとして角界で活躍するようになる。
しかし目前だった大関昇進が、金が朝鮮人である事を理由に見送りになると、力士を廃業し自暴自棄な生活を送る様になる。
ある日クラブで酔って暴れていた力道山は、居合わせたプロレスラーのハロルド坂田にこてんぱんに倒される。
世界には人種や国籍を問われない西洋の相撲、プロレスリングがある。
一念発起した力道山は、菅野に頭を下げ、アメリカにプロレス修行に出る。
やがて帰国した力道山は、伝家の宝刀空手チョップで白人レスラーに連戦連勝。
一躍時代のヒーローに躍り出るのだが・・・
作り手の強い想いを感じる力作だ。
たぶん日本人がこの映画を撮っていたら、全く違った物になっただろう。
日韓合作だが、これはやはり韓国の映画であり、成功を夢見て日本に渡り、力道山と言う偶像を一生かけて演じきった金信洛を、ある程度の神話的フィクションも取り混ぜて見つめた作品だ。
力道山を演じるのは「ペパーミント・キャンディー」や「オアシス」の名演で知られるソル・ギョング。
この作品では体重を28キロも増やし、筋トレをつみ、レスリングの技を学んで、プロレスラー力道山を見事に演じ切っている。
日本が舞台で、日本人として生きた男の物語だから、彼の台詞も90%以上が日本語。
吹き替えを拒否して、自ら演じたその日本語は、やはりちょっとイントネーションが変だ。
ただし、その違和感は直に気にならなくなる。
一つには小手先の発音などどうでもよく思えるほど、ギョングが力道山になりきっているので、台詞にしっかりと感情が入っていること。
もう一つは、この訛った日本語が、生涯をかけて日本人を演じようとした力道山自身と重なり、妙なリアリティを与えているためだ。
(実際に力士時代の力道山には、強い朝鮮語訛りが残っていたそうだ)
勿論、そのためにはギョングの力道山を受ける芝居も重要になってくるのだが、力道山の理解者であった二人の人物、綾と菅野を演じた中谷美紀、藤竜也も素晴しい。
特に中谷は、登場シーンは少ないながらも、今までのキャリアでベストかもしれない凛とした美しさと存在感を見せる。(正直、この人こんなに綺麗な人だったんだと見とれてしまった)
ソン・へソン監督の過去の作品は未見だが、韓国の演出家は役者を生かすのが上手い人が多いね。
演出自体も、若干一本調子な気はするが、しっかりと時代と人間を見つめた基本に忠実なもので好感が持てる。
惜しむらくは、中盤の脚本の整理がやや雑で、ここで物語の流れが滞ってしまう事だ。
前半の力士時代からプロレスで成功するまでの流れは、シンプルに纏まっているのだが、中盤からは物語が三つの流れに分かれる。
成功が疑心暗鬼を生み、徐々に壊れてゆく力道山の心の物語、力道山を取り巻く裏社会を含めたプロレス界の物語、そして力道山を愛しながらも、彼の変化に戸惑いを隠せない綾の物語。
この三つの流れが上手く絡みながらスムーズに流れていけば良いのだが、現状では少しぶつ切り感があり、中ダレを感じさせてしまっている。
特に力道山と綾の感情の絡みが、やや平坦になってしまっているのが残念だ。
終盤の流れが再びスムーズになるだけに、もう少し上手く整理できていたら、もっと良い作品になったのにとどうしても思ってしまう。
さて力道山と言えば当然プロレスで、肝心のプロレスシーンをいかに描くかが重要な訳だが、この映画はその点も合格だ。
現役プロレスラーが出演した試合のシーンは迫力満点。
凄いのは、ここでもギョングが本物のレスラーたちに全くビジュアル負けしてない事で、ダイナミックな技の受け身も演技とは思えない。
プロスポーツの選手を描いた映画で、肉体の迫力をここまで表現した役者はちょっと記憶にない。
この作品のギョングは本当に良い仕事をしている。
力道山に熱狂する昭和30年代の日本も、へたな日本映画顔負けに忠実に再現されている。
セットやVFXがよく出来てる分、劇中で走ってる車の年式が合ってないのがちょっと気にかかったが、それはまあご愛嬌の範囲だろう。
大きすぎる夢に生きた力道山の生涯が幸せだったのかどうかは、映画を観ても小物の私には判らなかった。
日本人のヒーローを演じ続けた力道山だが、ドキュメンタリーやノンフィクション本などを見ると、やはりアイデンティティの葛藤は大きかった様で、晩年の精神的な不安定さもそこから来ていたのかもしれない。
映画にも出てくるが、たまに幼馴染のミンギョルの店を訪ね、その時だけは素の金信洛に戻っていたエピソードなどは史実に即したものだった様だ。
ただ、日本人になりきるために封印してきた母国語で、最後の最後に同郷の金一(原爆頭突きの大木金太郎!)に夢を語るシーンは、それまでの心の鎧を脱ぎ捨てた様で、とても心に沁みる良いシーンだったと思う。
力道山こと金信洛の故郷、北朝鮮には、現在でも「力道山酒」という酒が売られているという。
残念ながら私は未経験だが、聞く所によるとかなり強い焼酎の様だ。
実際の力道山も相当な酒豪であったらしいから、きっとミンギョルの店でも故郷を想って焼酎を飲んでいたんじゃなかろうか。
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