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2006年05月10日 (水) | 編集 |
「クリスマスの奇跡」を扱った映画は数あれど、この映画はその中でも異色作と言えるだろう。
何しろ舞台は第一次世界大戦中のノーマンズランド(両陣営の中間にある無人地帯)で、しかも実話がベースとなっている。
この映画を観た人は、奇跡という物が本来人間の中に自然に存在していることを知るだろう。
1914年、オーストリア皇太子の暗殺を切欠に、第一次世界大戦が勃発。
ヨーロッパ大陸は戦場となった。
フランス北部の最前線デルソー、そこでは三つの国の軍隊が塹壕の中で対峙していた。
フランス軍、同盟者のスコットランド軍、敵対するドイツ軍。
数十メートルというほんの僅かな距離を隔て、彼らはもう何ヶ月も戦い続けているのだ。
フランス軍中尉オードベール(ギョーム・カネ)は、出産を控えた愛妻の写真を見つめて恐怖に打ち勝とうとしていた。
スコットランド軍のパーマー神父(ゲイリー・ルイス)は、同郷の若者達の後見人として衛生兵の職務に着いていた。
厳格なホルストマイヤー中尉(ダニエル・ブリュール)に率いられたドイツ軍には、世界的なテノール歌手ニコラウス・シュプリンク(ベンノ・フュルマン)が一兵士として従軍していた。
彼らは皆、一年で一番大切なクリスマスには家で過ごせるはずだという希望を抱いていた。
だがこう着状態の戦況はクリスマスが近づいても変わらない。
その頃、ニコラウスの妻でソプラノ歌手のアナ・ソレンセン(ダイアン・クルーガー)は、戦地の皇太子に司令部でのコンサートを開き聖歌を捧げたいと申し出た。
たった一晩でも夫に会いたいがゆえの、危険を覚悟の計画だった。
皇太子は許可し、アナとニコラウスは皇太子のために前線司令部でクリスマスイブのコンサートを開く。
歌う喜びを取り戻したニコラウスは、塹壕の中にいる仲間のために、最前線で歌いたいと言う。
そして1914年、クリスマスイブの夜。
ノーマンズランドの荒野に、クリスマスツリーが掲げられ、美しい歌声が響き渡った。
ドイツ人の歌声に呼応するかの様に、スコットランドのバグパイプが伴奏を始める。
それは90年以上経った現在にも語り継がれる、奇跡の夜の始まりだった・・・
昔アメリカに引っ越した当初印象的だったのが、エレベーターで乗り合わせた人同士が挨拶をする習慣だ。
目配せで、笑顔で、あるいは「Hi」という言葉で。
最初はいかにもオープンなカリフォルニアンらしいなあと思っていたが、やがてこれには理由があることがわかった。
エレベーターで犯罪にあわないために、自然に生まれた習慣なのだ。
犯罪心理学的にも、一度でも挨拶を交わした人間を襲う事は、どんな犯罪者でも躊躇すると言う。
この映画のポイントも、クリスマスの奇跡よりも、むしろその後に起こった兵士たちの変化にある。
ドイツ軍、スコットランド軍、フランス軍の兵士たちは、クリスマスイブの夜の交流によって、初めて相手を人間と認識する。
子供の頃からの歪んだ愛国教育で、互いを鬼畜の様に思って殺し合いをしていた彼らは、顔を見、言葉を交わし、酒を飲み、サッカーに興じる事で相手が全く同じ様な人間だという事を実感する。
互いを単なる「敵」では無く、顔のある人間として認識してしまった彼らは、もう殺し合う事が出来ない。
フランス軍中尉が、クリスマス停戦への非難に反論する言葉が印象的だ。
「ドイツ人を殺せと叫ぶ連中よりも、ドイツ兵の方がよほど人間的だ!」
この言葉は結局のところ、戦争という物が無知と偏見の産物だという事を端的に表現している。
互いを知らないから、恐れ、憎む。
無知は罪ではないが、無知なる自分を知らない事は罪である。
クリスチャン・カリオン監督の演出は全く奇を衒った所の無い正攻法だ。
もっともこれだけドラマチックな物語と、ヨーロッパのオールスターとも言うべき素晴らしいキャストが揃えば、演出家のすべき最良の仕事は、基本に忠実に撮る事かもしれない。
スタッフ、キャストの心配りは画面の隅々まで極めてハイレベルに行き届いており、いわば三ツ星レストランのディナーの様な、完成度の高い仕事を堪能できる。
あえて欠点を指摘するなら、これだけの群像劇を2時間で描いたがために、若干物語が表層的になった。
アナとニコラウスやオードベールなど、ある程度深く描かれているキャラクターはいるものの、ユダヤ人であるホルストマイヤー中尉などは明らかに描き足りないし、パーマー神父と司教との対立なども、ある意味紋切り型だ。
しかし、それでもこの作品が極めて崇高なテーマをもった立派な作品である事は間違い無い。
少しでも多くの人に観てもらいたい作品だ。
この1914年のクリスマスの停戦は、実際には一箇所ではなく複数の場所で起こった様で、この映画にもチラッと出てくる停戦下でのサッカーの試合は、2001年に製作されたリーナ・クリール監督の「オフサイド」という短編映画にも描かれている。
この優れた短編はウェッブなどで配信されているので、観た人も多いだろう。
この映画のような塹壕での持久戦は、戦争の形態の変化で次第に無くなっていくのだが、長期間至近距離で過ごした敵味方が次第に敵愾心を失って停戦すると言う、この映画と似たような話は、第二次世界大戦の頃までしばしばあったようだ。
時代も場所も違うが、38度線の南北の警備兵同士が友達になってしまう事で起こる悲劇を描いた、パク・チャヌク監督の傑作「JSA」もこの話を元ネタにしているのかもしれない。
しかし芸術に携わる物としては、とても勇気を貰った映画だった。
映画の前半でニコラウスが「芸術家は戦争の役に立たない」と叱責されるシーンが在る。
確かに芸術家は戦争の役には立たないかもしれないが、戦争を止める役には立った。
兵士達が人間性を取り戻すきっかけとなったのは、聖夜の音楽であったというのは感動的だ。
アナとニコラウスの歌声(ナタリー・デッセーとロランド・ヴィラゾンによる素晴らしい吹き替え)が、ノーマンズランドに響き渡るシーンは鳥肌が立った。
そしてその後の心の安息を取り戻させるのは、宗派を超えた信仰であり、より互いを理解しあうのに役立ったのはサッカーだ。
宗教と芸術、そしてスポーツの本質的な姿がここには在る。
そう言えばもう直ぐ公開になる日独合作映画「バルトの楽園」も、戦時下の日独の音楽を通じた交流の話だね。
芸術は軍事力の様に直接的な力は持たないが、人間の心の奥底に、深く静かに働きかける力が確かにあると思う。
人間は恐怖よりも感動を選ぶ、そう信じたい物だ。
この映画には、物語に登場する三つの国から三本のお酒を選ぼうと思う。
まずスコットランドからはスコッチの名品「ジョニー・ウォーカー・ブルーラベル」を。
ドイツからはヘッペンハイムの国営醸造所のシャルドネとして知られる「ヘッペンハイマー・シュタインコップフ・シャルドネ・シュペートレーゼ・トロッケン」を。
そしてフランスからはクリスマスに欠かせないシャンパン、シャンパーニュの「ゴッセ・ブリュット・エクセレンス」をチョイス。
これらの酒はあらゆる芸術同様に軽々と国境を越える。
文化の違いは、時として憎しみや恐れを生み出すが、これらの酒はそれぞれの文化の違いがいかに素晴らしい差異を生み出し、同時にその素晴らしさは味わう文化を選ばない事を教えてくれる。
違いを恐れるのでなく、違いを楽しめば、きっと戦争など起こらない。
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何しろ舞台は第一次世界大戦中のノーマンズランド(両陣営の中間にある無人地帯)で、しかも実話がベースとなっている。
この映画を観た人は、奇跡という物が本来人間の中に自然に存在していることを知るだろう。
1914年、オーストリア皇太子の暗殺を切欠に、第一次世界大戦が勃発。
ヨーロッパ大陸は戦場となった。
フランス北部の最前線デルソー、そこでは三つの国の軍隊が塹壕の中で対峙していた。
フランス軍、同盟者のスコットランド軍、敵対するドイツ軍。
数十メートルというほんの僅かな距離を隔て、彼らはもう何ヶ月も戦い続けているのだ。
フランス軍中尉オードベール(ギョーム・カネ)は、出産を控えた愛妻の写真を見つめて恐怖に打ち勝とうとしていた。
スコットランド軍のパーマー神父(ゲイリー・ルイス)は、同郷の若者達の後見人として衛生兵の職務に着いていた。
厳格なホルストマイヤー中尉(ダニエル・ブリュール)に率いられたドイツ軍には、世界的なテノール歌手ニコラウス・シュプリンク(ベンノ・フュルマン)が一兵士として従軍していた。
彼らは皆、一年で一番大切なクリスマスには家で過ごせるはずだという希望を抱いていた。
だがこう着状態の戦況はクリスマスが近づいても変わらない。
その頃、ニコラウスの妻でソプラノ歌手のアナ・ソレンセン(ダイアン・クルーガー)は、戦地の皇太子に司令部でのコンサートを開き聖歌を捧げたいと申し出た。
たった一晩でも夫に会いたいがゆえの、危険を覚悟の計画だった。
皇太子は許可し、アナとニコラウスは皇太子のために前線司令部でクリスマスイブのコンサートを開く。
歌う喜びを取り戻したニコラウスは、塹壕の中にいる仲間のために、最前線で歌いたいと言う。
そして1914年、クリスマスイブの夜。
ノーマンズランドの荒野に、クリスマスツリーが掲げられ、美しい歌声が響き渡った。
ドイツ人の歌声に呼応するかの様に、スコットランドのバグパイプが伴奏を始める。
それは90年以上経った現在にも語り継がれる、奇跡の夜の始まりだった・・・
昔アメリカに引っ越した当初印象的だったのが、エレベーターで乗り合わせた人同士が挨拶をする習慣だ。
目配せで、笑顔で、あるいは「Hi」という言葉で。
最初はいかにもオープンなカリフォルニアンらしいなあと思っていたが、やがてこれには理由があることがわかった。
エレベーターで犯罪にあわないために、自然に生まれた習慣なのだ。
犯罪心理学的にも、一度でも挨拶を交わした人間を襲う事は、どんな犯罪者でも躊躇すると言う。
この映画のポイントも、クリスマスの奇跡よりも、むしろその後に起こった兵士たちの変化にある。
ドイツ軍、スコットランド軍、フランス軍の兵士たちは、クリスマスイブの夜の交流によって、初めて相手を人間と認識する。
子供の頃からの歪んだ愛国教育で、互いを鬼畜の様に思って殺し合いをしていた彼らは、顔を見、言葉を交わし、酒を飲み、サッカーに興じる事で相手が全く同じ様な人間だという事を実感する。
互いを単なる「敵」では無く、顔のある人間として認識してしまった彼らは、もう殺し合う事が出来ない。
フランス軍中尉が、クリスマス停戦への非難に反論する言葉が印象的だ。
「ドイツ人を殺せと叫ぶ連中よりも、ドイツ兵の方がよほど人間的だ!」
この言葉は結局のところ、戦争という物が無知と偏見の産物だという事を端的に表現している。
互いを知らないから、恐れ、憎む。
無知は罪ではないが、無知なる自分を知らない事は罪である。
クリスチャン・カリオン監督の演出は全く奇を衒った所の無い正攻法だ。
もっともこれだけドラマチックな物語と、ヨーロッパのオールスターとも言うべき素晴らしいキャストが揃えば、演出家のすべき最良の仕事は、基本に忠実に撮る事かもしれない。
スタッフ、キャストの心配りは画面の隅々まで極めてハイレベルに行き届いており、いわば三ツ星レストランのディナーの様な、完成度の高い仕事を堪能できる。
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この映画のような塹壕での持久戦は、戦争の形態の変化で次第に無くなっていくのだが、長期間至近距離で過ごした敵味方が次第に敵愾心を失って停戦すると言う、この映画と似たような話は、第二次世界大戦の頃までしばしばあったようだ。
時代も場所も違うが、38度線の南北の警備兵同士が友達になってしまう事で起こる悲劇を描いた、パク・チャヌク監督の傑作「JSA」もこの話を元ネタにしているのかもしれない。
しかし芸術に携わる物としては、とても勇気を貰った映画だった。
映画の前半でニコラウスが「芸術家は戦争の役に立たない」と叱責されるシーンが在る。
確かに芸術家は戦争の役には立たないかもしれないが、戦争を止める役には立った。
兵士達が人間性を取り戻すきっかけとなったのは、聖夜の音楽であったというのは感動的だ。
アナとニコラウスの歌声(ナタリー・デッセーとロランド・ヴィラゾンによる素晴らしい吹き替え)が、ノーマンズランドに響き渡るシーンは鳥肌が立った。
そしてその後の心の安息を取り戻させるのは、宗派を超えた信仰であり、より互いを理解しあうのに役立ったのはサッカーだ。
宗教と芸術、そしてスポーツの本質的な姿がここには在る。
そう言えばもう直ぐ公開になる日独合作映画「バルトの楽園」も、戦時下の日独の音楽を通じた交流の話だね。
芸術は軍事力の様に直接的な力は持たないが、人間の心の奥底に、深く静かに働きかける力が確かにあると思う。
人間は恐怖よりも感動を選ぶ、そう信じたい物だ。
この映画には、物語に登場する三つの国から三本のお酒を選ぼうと思う。
まずスコットランドからはスコッチの名品「ジョニー・ウォーカー・ブルーラベル」を。
ドイツからはヘッペンハイムの国営醸造所のシャルドネとして知られる「ヘッペンハイマー・シュタインコップフ・シャルドネ・シュペートレーゼ・トロッケン」を。
そしてフランスからはクリスマスに欠かせないシャンパン、シャンパーニュの「ゴッセ・ブリュット・エクセレンス」をチョイス。
これらの酒はあらゆる芸術同様に軽々と国境を越える。
文化の違いは、時として憎しみや恐れを生み出すが、これらの酒はそれぞれの文化の違いがいかに素晴らしい差異を生み出し、同時にその素晴らしさは味わう文化を選ばない事を教えてくれる。
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