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Limit of Love 海猿・・・・・評価額1150円
2006年05月18日 (木) | 編集 |
正直言うと前作の印象が芳しくなく、これは劇場スルーする予定だったが、私の回りの人達の間でなかなか評判が良いので、期待半分不安半分で観に行ってみる事にした。
結論から言っておくと、まあそんなに悪くは無いが、こんなにヒットするほどの内容とは思えなかった。
確かに映像はグレードアップしてるけど、中身はあまり褒められない。

前作から2年。
海上保安官仙崎大輔(伊藤英明)は、鹿児島・第十管区で機動救難隊員として働いていた。
東京に住む恋人、伊沢環菜(加藤あい)とは遠距離恋愛中だ。
結婚を控え、久しぶりに環菜が遊びに来た日、彼女の想いに心を揺さぶられた大輔は、思わずケンカをしてしまう。
翌日、鹿児島沖で大型フェリー・くろーばー号の座礁事故が発生。
大輔はバディの吉岡哲也(佐藤隆太)たちと現場に急行する。
既に船は浸水を始め、どんどんと傾いていく。
船内に積載された195台もの車両が引火すれば大爆発の危険もある。
沈没までのタイムリミットは約4時間。
大輔たちは、時間との戦いの中620名もの乗客の脱出作戦を開始するが、乗客の中には偶然船に乗り合わせていた環菜の姿もあった。
ようやく殆んどの乗客の退避が終わった頃、爆発に巻き込まれ場所を見失った大輔と吉岡は、怪我人と妊婦と共に、船底に取り残されていた・・・・


この手の話の定番ではあるが、基本的なプロットは悪くないと思う。
福田靖の脚本は、主にテレビドラマをフィールドとする人だけあって、短い時間でキャラのわかり易い特徴を立てているし、既に2年以上同じキャラクターを演じている俳優陣も、すっかりとキャラを自分のものにしていて、演技の上手い下手以上にはまっている。
一万トン級のフェリーの爆発炎上を描いたVFXの出来栄えも、ハリウッド映画に遜色ない。

が・・・盛り上がらない。
絶体絶命の状況からの決死の脱出行のはずなのに、ちっとも手に汗握れない。
問題は福田靖の脚本羽住英一郎の演出共に、作りすぎ、喋りすぎなのである。
ドイツの建築家ミースの「ディティールに神が宿る」という有名な言葉があるが、この映画に関してはディティールが、正確に言えばディティールの組み合わせの無頓着さが全体を殺している。

不思議なことに、この映画では映像と言葉の役割がはっきりと別れている様に見える。
映像はスリルを、言葉は感動を担当しているかの様だ。
普通映画はこの二つが溶け合って、相乗効果をもたらす物なのだが、この映画ではむしろお互いを邪魔しあっている様に見える。
沈没する船からの脱出行という、一刻を争うドラマなのに、登場人物たちが喋る喋る。
しかもその台詞が、いちいち状況にそぐわない芝居がかった台詞なのだ。
彼らが演説してる間、スリリングな脱出ドラマの流れは断ち切られてしまう。
そして台詞で高まった観客の感情は、派手な映像で断ち切られる。
映像はかなり頑張っているし、台詞も一つ一つを聞けばなかなかの名台詞もある。
なのに、両者は決して融合しない。

沈没間際、高さ20メートルの垂直のシャフトを、怪我人を背負って登らねば助からないというシチュエーションで、上官の下川が電話で大輔に問う。
「登り切る自信はあるのか?」
これに大輔はなんとこう答えるのだ。
「・・・みんなで、空が見たいんです」
・・・・・言わないだろ。
詩人じゃないんだから、一刻を争い生きるか死ぬかのシチュエーションで、こんな文学的な表現をするわけがない。
「はい」「いいえ」だろ、普通。
この台詞は他のシーンに掛かって来るので意味がない訳ではないが、使いどころを間違っている。
しかもこの後、恋人の環菜に電話を代わってもらった大輔は、さっさと登らないと死ぬという状況下で延々とプロポーズをするのだ。
私が怪我人なら、こんな暢気な救助隊員は嫌だ。
当然ながら、この間タイムリミットのある脱出劇と言う本来のドラマは忘れ去られている。

要するに脚本家も監督も、それぞれのシーンをドラマチックにする事だけに一生懸命で、全体を観ていないのだ。
木を見て森を見ず、とは正しくこの映画の事だ。
故に感情の流れがぶつ切りで、非常にテンポが悪い。
観ながら30分くらいカットしたくなった。

映像は頑張っていると書いたが、それも全体の流れを見ない作りのせいで効果が半減している。
この映画にはバレバレのウソが無数にある。
例えばクライマックスの、煙突のシャフトを登るシーン。
外観のショットでは船体は45度くらいは傾いてるのに、中から見るとなぜかシャフトは殆んど垂直のまま。
また梯子を登る大輔たちに、煙突上部から浸水したと思われる海水が襲い掛かるのだが、やはり外観ショットでは煙突は海面遥か上にあって、どう見ても海水は浸入しそうに無い。
映画の演出上のウソといえばそうかも知れないが、こんな誰が観ても一目でおかしいと思えるウソはセンスの無いウソである。
ウソは突き通すことが出来れば立派な演出だが、ばれてしまえば観客を白けさせるただの失敗だ。
というかこんなの脚本の段階で無理があるのはわかるはずなのに、何故このままOKが出てるのか。
このあたりはテレビ的なウソへの無頓着さが出てしまっている様に思う。
伝統的にテレビドラマはウソへのこだわりが、映画とは比較にならないくらい低い。
昼間のシーンのつながりが突然夜になっている様な、エド・ウッド並のウソも決して珍しくない。
不思議とテレビドラマではあまり気にならないのだが、暗闇で集中して画面を観る映画の観客は、テレビの視聴者と同じようには観ていない。
このレベルのウソがばれない、あるいはばれても気にならないと思ってるなら、それはあまりにも映画を理解していない。

と、まあ突っ込みどころは30箇所くらいある映画なのだ。
これが全然良いところのない単なるダメ映画なら諦めもつくのだが、この映画の場合そうでもないのがもったいない。
何だかんだ言って画は派手で良く出来てるし、一部だけ見れば良い部分も多いのは事実。
普段映画を観ない人、テレビドラマの延長と割り切って観に来る人には、これでもある程度満足できるのかもしれない。
しかし、これでもうちょっと全体を纏め上げるセンスがあれば、ずっと良い作品になったのもこれまた事実だと思うのだ。

さて鹿児島が舞台で男臭い海難救助隊の話だから、鑑賞後はやっぱり地鶏でも喰いながら薩摩焼酎かね。
今回は海猿ならぬ「海童」の純芋をチョイス。
芋くさーいのが苦手な人にはチョイきついかも知れないが、芋の風味が好きな人にはこのくらいの強さがあっても良いだろう。

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