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2006年06月07日 (水) | 編集 |
先月の「ポセイドン」に続いて、70年代の名作を元にしたリメイク映画がまた一本。
今回ハリウッド再生工場から出荷されたのは、愛すべき職人監督リチャード・ドナーが1976年に世に送り出した「オーメン」。
「エクソシスト」と共に、70年代のオカルトブームを語る上で絶対外せない傑作だ。
リメイク版に挑んだのは、ついこの前も「飛べフェニックス」のリメイク「フライト・オブ・フェニックス」を撮ったリメイク好きな(?)ジョン・ムーア監督。
2001年6月6日。
ローマ駐在のアメリカ外交官、ロバート・ソーン(リーブ・シュライバー)の妻キャサリン(ジュリア・スタイルズ)が死産した。
ロバートは病院の神父から、妻にショックを与えないために赤ん坊の死を隠し、代わりに母を失った赤ん坊を実子として受け入れる事を提案される。
妻の心を案じたロバートは提案を受け入れ、その赤ん坊はソーン夫妻の息子、ダミアンとして育てられる事になる。
やがて上司の事故死がきっかけで、ロバートは駐英大使となり、一家はロンドンへ移り住んだ。
ダミアンが五歳の誕生日を迎えた時、パーティの会場で乳母が「ダミアン、あなたのために死ぬわ!」という叫びと共に自殺するという痛ましい事件が起こる。
次の日、ロバートの元に、ブレナン(ピート・ポスルスウェイト)と名乗る神父がやってきて、ダミアンは悪魔の子だと告げる。
同じ頃、不気味な雰囲気を持つベイロック婦人(ミア・ファロー)が、どこからか代わりの乳母としてソーン家にやって来た・・・・
私は、リメイク映画の最高の例が、ピーター・ジャクソン版「キング・コング」だとすれば、最悪の例はガス・ヴァン・サント版「サイコ」だと思っている。
オリジナルを最大限尊重しつつ、大きくイマジネーションを膨らませ、独自の世界を作り出していた「キング・コング」に対し、ガス・ヴァン・サントはヒッチコックの忠実なコピーをやったに過ぎない。
リメイク版「サイコ」は、驚くほどにオリジナルを忠実に模倣していたが、良く出来たニセモノを観るくらいならオリジナルを観ればいいのだ。
最近話題の某画伯ではないが、カーボンコピーのようなリメイクに創造の価値を感じる事は出来ない。
ジョン・ムーア版の「オーメン」は残念ながら「キング・コング」よりずっと「サイコ」に近い。
格調高い心理劇でもあった「エクソシスト」に対して、オリジナルの「オーメン」のウリは、どちらかと言うと悪魔の子ダミアンに関わる人々の工夫を凝らした死っぷりだった。
避雷針やら巨大ガラスやら、ギミックと小道具に凝った残酷シーンは、後のスプラッタームービーにも大きな影響を与えた。
今回のリメイク版でもそれは変わらず・・・って言うか変わらな過ぎ。
見せ場全部一緒じゃん!
脚本で単独クレジットされているデビット・セルツァーは、76年のオリジナルの脚本家その人である。
一応リライトされているが、殆んど元の脚本そのまんま。
完全に見比べた訳ではないので確かな事は言えないが、少なくとも印象的なシーンは展開もセリフも殆ど同じだ。
違いと言えば、残酷シーンに使われる小道具が、ガラス板が鉄の看板になっていたり、三輪車がキックボードに変わっていたりする程度。
残酷シーンの演出など、カット割りからアングルまでそっくりそのままパクっている所もある。
どこか一箇所くらいなら、偉大なオリジナルへのオマージュで納得も出来るが、見せ場らしい見せ場全ての演出がコピーなのはいくらなんでもやりすぎだ。
私はこういう仕事をする演出家を軽蔑する。
しかも同じように撮ったからといって、同じように面白かったり、スリリングだったりする訳ではない。
他人の褌で相撲をとる程度なのだから、演出家の腕は数段落ちる。
ジョン・ムーアはホラー演出の根本が判っていない。
アクション映画じゃないんだから、なんでもかんでもサービス精神で見せれば良い訳じゃないのだ。
ブレナン神父が殺されるシークエンスは、オリジナルと見比べると、良い演出とダメな演出の判り安いサンプルになっている。
この部分、オリジナルではジェリー・ゴールドスミスの音楽(「オーメン」でオスカーを初受賞)が素晴しく効果的だったが、音楽の使い方も含めて、リチャード・ドナーの足元にも及ばない。
地味目の俳優陣も悪くは無いが、グレゴリー・ペック、デビット・ワーナーといった癖のある名優が揃ったオリジナルにくらべると著しく軽量に見える。
悪魔の子ダミアンはなかなか面構えは良いのだが、演出がヘタクソなので神秘性を感じさせるまで生かせていない。
唯一「ローズマリーの赤ちゃん」で悪魔の子を身篭っていたミア・ファローが、悪魔の使徒ベイロック婦人役で上品な狂気を感じさせるくらいか。
「オーメン」は、元々オリジナルがお化け屋敷的な派手な見せ方の上手さで名作の評価を得た作品なのだから、オリジナルに忠実にリメイクして同じ見せ場を踏襲した時点で、半分負けは決まったような物だ。
一度入ったお化け屋敷は、お化けの種類や出てくる場所がネタバレしてるから、二度目はもうあんまり怖くない。
しかも、限りなくカーボンコピーであるにも関わらず、全ての面でオリジナルを超えていないのだから救いが無い。
せっかく黙示録の予言の解釈を、76年のオリジナル以降に起こった事と定義してるのだから、物語の内容も30年の間の変化を加えて脚本を作り直せば良かったのだ。
悪魔の関与できそうなネタなら世間にゴロゴロ転がっているではないか。
物語の完成度自体は高いから、オリジナルを観た事の無い人には、ある程度面白く観られると思うが、それは断じてジョン・ムーアの演出が面白いのではなく、パクリ元のリチャード・ドナーの演出が良かっただけの話だ。
正直なところ、これをわざわざ観に行くなら、1500円でオリジナルのDVDを買ったほうがよほど良いと思う。
さて、今回は悪魔つながりでチリワインの「カッシェロ・デル・ディアブロ・ソーヴィニヨン・ブラン」を。
すっきりとしてカポカポ飲めてしまう。
出来の悪いリメイクの口直しには、これを飲みながら、オリジナルを鑑賞してすっきりするのがベターかもしれない。
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カッシェロ・デル・ディアブロ・ソーヴィニヨン・ブラン ¥1480
こっちのが100倍面白い
ジェリー・ゴールドスミスによる旧オーメンシリーズサントラ集
今回ハリウッド再生工場から出荷されたのは、愛すべき職人監督リチャード・ドナーが1976年に世に送り出した「オーメン」。
「エクソシスト」と共に、70年代のオカルトブームを語る上で絶対外せない傑作だ。
リメイク版に挑んだのは、ついこの前も「飛べフェニックス」のリメイク「フライト・オブ・フェニックス」を撮ったリメイク好きな(?)ジョン・ムーア監督。
2001年6月6日。
ローマ駐在のアメリカ外交官、ロバート・ソーン(リーブ・シュライバー)の妻キャサリン(ジュリア・スタイルズ)が死産した。
ロバートは病院の神父から、妻にショックを与えないために赤ん坊の死を隠し、代わりに母を失った赤ん坊を実子として受け入れる事を提案される。
妻の心を案じたロバートは提案を受け入れ、その赤ん坊はソーン夫妻の息子、ダミアンとして育てられる事になる。
やがて上司の事故死がきっかけで、ロバートは駐英大使となり、一家はロンドンへ移り住んだ。
ダミアンが五歳の誕生日を迎えた時、パーティの会場で乳母が「ダミアン、あなたのために死ぬわ!」という叫びと共に自殺するという痛ましい事件が起こる。
次の日、ロバートの元に、ブレナン(ピート・ポスルスウェイト)と名乗る神父がやってきて、ダミアンは悪魔の子だと告げる。
同じ頃、不気味な雰囲気を持つベイロック婦人(ミア・ファロー)が、どこからか代わりの乳母としてソーン家にやって来た・・・・
私は、リメイク映画の最高の例が、ピーター・ジャクソン版「キング・コング」だとすれば、最悪の例はガス・ヴァン・サント版「サイコ」だと思っている。
オリジナルを最大限尊重しつつ、大きくイマジネーションを膨らませ、独自の世界を作り出していた「キング・コング」に対し、ガス・ヴァン・サントはヒッチコックの忠実なコピーをやったに過ぎない。
リメイク版「サイコ」は、驚くほどにオリジナルを忠実に模倣していたが、良く出来たニセモノを観るくらいならオリジナルを観ればいいのだ。
最近話題の某画伯ではないが、カーボンコピーのようなリメイクに創造の価値を感じる事は出来ない。
ジョン・ムーア版の「オーメン」は残念ながら「キング・コング」よりずっと「サイコ」に近い。
格調高い心理劇でもあった「エクソシスト」に対して、オリジナルの「オーメン」のウリは、どちらかと言うと悪魔の子ダミアンに関わる人々の工夫を凝らした死っぷりだった。
避雷針やら巨大ガラスやら、ギミックと小道具に凝った残酷シーンは、後のスプラッタームービーにも大きな影響を与えた。
今回のリメイク版でもそれは変わらず・・・って言うか変わらな過ぎ。
見せ場全部一緒じゃん!
脚本で単独クレジットされているデビット・セルツァーは、76年のオリジナルの脚本家その人である。
一応リライトされているが、殆んど元の脚本そのまんま。
完全に見比べた訳ではないので確かな事は言えないが、少なくとも印象的なシーンは展開もセリフも殆ど同じだ。
違いと言えば、残酷シーンに使われる小道具が、ガラス板が鉄の看板になっていたり、三輪車がキックボードに変わっていたりする程度。
残酷シーンの演出など、カット割りからアングルまでそっくりそのままパクっている所もある。
どこか一箇所くらいなら、偉大なオリジナルへのオマージュで納得も出来るが、見せ場らしい見せ場全ての演出がコピーなのはいくらなんでもやりすぎだ。
私はこういう仕事をする演出家を軽蔑する。
しかも同じように撮ったからといって、同じように面白かったり、スリリングだったりする訳ではない。
他人の褌で相撲をとる程度なのだから、演出家の腕は数段落ちる。
ジョン・ムーアはホラー演出の根本が判っていない。
アクション映画じゃないんだから、なんでもかんでもサービス精神で見せれば良い訳じゃないのだ。
ブレナン神父が殺されるシークエンスは、オリジナルと見比べると、良い演出とダメな演出の判り安いサンプルになっている。
この部分、オリジナルではジェリー・ゴールドスミスの音楽(「オーメン」でオスカーを初受賞)が素晴しく効果的だったが、音楽の使い方も含めて、リチャード・ドナーの足元にも及ばない。
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悪魔の子ダミアンはなかなか面構えは良いのだが、演出がヘタクソなので神秘性を感じさせるまで生かせていない。
唯一「ローズマリーの赤ちゃん」で悪魔の子を身篭っていたミア・ファローが、悪魔の使徒ベイロック婦人役で上品な狂気を感じさせるくらいか。
「オーメン」は、元々オリジナルがお化け屋敷的な派手な見せ方の上手さで名作の評価を得た作品なのだから、オリジナルに忠実にリメイクして同じ見せ場を踏襲した時点で、半分負けは決まったような物だ。
一度入ったお化け屋敷は、お化けの種類や出てくる場所がネタバレしてるから、二度目はもうあんまり怖くない。
しかも、限りなくカーボンコピーであるにも関わらず、全ての面でオリジナルを超えていないのだから救いが無い。
せっかく黙示録の予言の解釈を、76年のオリジナル以降に起こった事と定義してるのだから、物語の内容も30年の間の変化を加えて脚本を作り直せば良かったのだ。
悪魔の関与できそうなネタなら世間にゴロゴロ転がっているではないか。
物語の完成度自体は高いから、オリジナルを観た事の無い人には、ある程度面白く観られると思うが、それは断じてジョン・ムーアの演出が面白いのではなく、パクリ元のリチャード・ドナーの演出が良かっただけの話だ。
正直なところ、これをわざわざ観に行くなら、1500円でオリジナルのDVDを買ったほうがよほど良いと思う。
さて、今回は悪魔つながりでチリワインの「カッシェロ・デル・ディアブロ・ソーヴィニヨン・ブラン」を。
すっきりとしてカポカポ飲めてしまう。
出来の悪いリメイクの口直しには、これを飲みながら、オリジナルを鑑賞してすっきりするのがベターかもしれない。

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