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ローズ・イン・タイドランド・・・・・評価額1200円
2006年07月12日 (水) | 編集 |
気の抜けたシャンパンみたいだった空虚な大作、「ブラザーズ・グリム」に続いてテリー・ギリアムが送り出してきたのは、「嫌われ松子」が裸足で逃げ出す、とんでもなく悲惨な少女ローズの物語。
彼女が生きるのは、残酷な現実に打ち砕かれた大人たちの夢が積もり重なる物語の干潟=Tideland。
ローズは、彼女の周りの小さな世界全てを、自らのイマジネーションの世界に閉じ込める事で、自分自身を守り抜く。
前作とは一転して、低予算の小品。
「ブラザーズ・グリム」は雇われ監督で、プロデューサーと衝突して揉めに揉めたらしいが、こちらは企画から携わり脚本も書いている、100%ギリアムの作家映画だ。

10歳のジェライザ=ローズ(ジョデル・フェルランド)の日常は悲惨だ。
落ちぶれた元ロックスターのお父さん(ジェフ・ブリッジス)とお母さん(ジェニファー・ティリー)は揃ってジャンキー。
お父さんは憧れのユトランドにローズと一緒に旅をしようと口癖の様に言うが、そのくせクスリを打って自分ひとり「バケーション」に行ってしまう。
ある日、クスリの副作用でお母さんが急死してしまい、残されたローズとお父さんはユトランドならぬお父さんの実家のあるテキサスへ旅立つ。
ローズのトランクに入っているのはお母さんの形見のドレスと、4つの頭だけのバービー人形。
それぞれちゃんと名前のある「友達」だ。
テキサスの田舎に着いたローズとお父さんだったが、もう長く住む人のいない実家は殆んど廃屋状態。
しかもお父さんはさっそくクスリを打って「バケーション」に行ってしまう。
翌日、朝が来てもお父さんは動かない。
ローズは仕方なく家とその回りを探検するのだが、黒いベールをかぶった奇妙な女デル(ジャネット・マクティア)と出会う。
彼女はローズの家の近くに、子供の心を持つ大人の弟ディキンス(ブレンダン・フレッチャー)と暮らしている。
ある日ローズは、相変わらず動かないお父さんを、ディキンスに紹介してあげる。
ディキンスは潜水艦を持っていて、草原の海でサメ退治をしているという。
ローズはこの新しい「お友達」とどんどん仲良くなってゆくのだが・・・・


とてもギリアムっぽい・・・・
誰が作ったのか判らないくらい無個性だった「ブラザーズ・グリム」に比べたら、「ローズ・イン・タイドランド」の作家性は明らかだ。
ダークで、シニカルで、物事を全て斜め読みするような視点。
語り口としてのギリアム節は健在・・・・しかし、この映画の場合何がやりたいのか良く判らない。
ミッチ・カリンの原作小説のベースとなっているのは、劇中でも引用されるルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」だろう。
御昼寝の最中に、ウサギの穴から不思議の世界への冒険に出かけたアリス。
対してローズは悲惨な現実を「お話の世界」に脳内変換する事で、不思議の世界に生きる。
だが、アリスが不思議の国の冒険を通して、自分で考え、自分で行動する大人への一つのステップを登ったのに対して、ローズの不思議の世界はどこに繋がっているのだろうか。
ローズは回りで起こる事象全てを、自分の想像力の「お話の世界」に閉じ込める事で生きて行くが、彼女の世界が何のメタファーであるのか、何を意味するのかがよく判らない。

一応、現実世界のお話化にはステップがあって、ローズの周りの現実の状況が酷くなればなるほど、世界のお話化は進行するという構造になっている。
ただ、それをこの映画が上手く表現していたとは思えない。
予算不足もあったのかもしれないが、ローズの想像力が生み出す不思議な世界の描写が、殆んどシークエンスでなくカットでしか描かれないので、イマジネーションの力をビジュアルとして実感する事が出来ない。
ローズは殆んど出ずっぱり、喋りっぱなしで、彼女の「お話」を語っているのだが、映像がそれをフォローしない。
アンドリュー・ワイエスの絵画を思わせる風景は美しいが、そこからのイマジネーションの飛躍を観る事が出来ないのだ。
想像するに、ギリアムがやりたかったのは少女版「バンデットQ」みたいな物で、回りの現実がどんな状況であっても、それを自分の内面に取り込んで消化してしまう子供のイマジネーションの強さ、少女の女としての強さみたいなものを描きたかったのではないだろうか。
本来なら現実の状況の悪化に伴って、ローズの「お話の世界」はどんどんと広がってゆき、それを「バロン」「ブラジル」で見せたようなぶっ飛んだ映像として見せたかったのだと思うのだが、実際には殆んどローズの語りだけでお話を進めてしまっている印象だ。
あまりにもローズというキャラクターだけに頼ってしまっているために、どうにも一本調子になってしまい、特に前半一時間くらいは殆んど何の展開も無くて正直言って退屈だ。
後半他のキャラクターが物語りに絡むようになって、やや持ち直すが、全体としては中途半端なダークファンタジーという印象で、ギリアム完全復活とはいかなかったと思う。

しかし、見所が無いかと言えばそうではない。
この今ひとつピリッとしないギリアム版「不思議の国のアリス」を、ほとんど一人で成立させているのがローズを演じるジョデル・フェルランドだ。
「サイレントヒル」でも出番は少ないながら、一人三役を演じ分けるという芸達者ぶりだったが、「ローズ・イン・タイドランド」での彼女はもっと凄い。
何だこの強烈な存在感と不思議な色香は。
「ハイド・アンド・シーク」ダコタ・ファニングスにも幼い色香にドキリとさせられる瞬間があったが、ジョデル・フェルランドのローズは10歳の「女」そのものの表現でダコタの上を行く。
ジャンキーの両親との日常とも言えない様な日常での自然な生活感、「バケーション」に行ってしまったまま動かない父に甘える、一瞬大人の女に見えるような艶かしい表情、そして子供の心を持つディキンスとのキスシーンで見せる無邪気なセクシーさ。
無垢な様でいて、しかし世界の全てを知っているかのような視線の強さが印象的だ。
長い黒髪に綺麗な卵形の輪郭、パッチリしたオメメと絵に描いたような美少女だけに、更にこの演技力があれば鬼に金棒。
ギリアムが、ローズのキャラクターに全面的におんぶに抱っこしてしまったのも判る気がする。
ある意味「ローズ・イン・タイドランド」はジョデル・フェルランドのための映画であって、またジョデル・フェルランドの力で何とか持っていると言っても良い。

前作の「ブラザーズ・グリム」を、私は専門店のラーメンを食べに行ったのに、出てきたのはファミレスラーメンだったと評したが、今回の「ローズ・イン・タイドランド」を例えれば、出てきたのは専門店のラーメンだったが、肝心のオヤジさんの腕が落ちちまった!という感じだろうか。
しかし、その中にあってチャーシューだけは抜群に美味かったので、まあ後悔はしなかったと言う感じだ。

さて、今回は少女の夢の様なあま~いカクテル「サザン・オレンジ」をチョイス。
ピーチリキュールのサザンカンフォート、クレームドペシェ、フレッシュオレンジジュースを、1:1:3の割合で氷を入れたタンブラーに注いでステアする。
オレンジのスライスを挿して完成。
簡単に作れるので、この映画でファンタジーの甘味が物足りなかったという人はどうぞ。


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