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日本沈没・・・・・評価額850円
2006年07月22日 (土) | 編集 |
ネタ切れリメイクブームなのはハリウッドだけではないらしい。
こちらは1973年のパニック映画ブーム真っ只中に公開された、小松左京原作、森谷司郎監督の「日本沈没」のリメイク。
劇場映画の後、同名のテレビシリーズも作られた。
オリジナルは僅か3ヶ月という突貫工事で作られたせいか、やや大味な部分もあるのだが、「日本という故郷を失った日本人は、それでも日本人でありつづけられるのか?」という鋭いテーマ性を持った力作ではあった。
高度成長期も終わりに差し掛かり、田中角栄総理の列島改造論によって、日本の風景が急速に変わりつつあった「時代」に対する問いかけでもあったのだろう。
誰もが、そこに存在するのが当たり前だと思っている「日本」という風景。
それが当たり前でなかったら?という問いかけは、33年経った今観ても、それなりの説得力がある。
その73年版「日本沈没」が、初めて劇場で観た映画だったという樋口慎嗣監督によるリメイクは、21世紀にどんな問いかけをしてくるのか、とても楽しみに観に行った。

※バッチリネタバレしとります。

深海潜水艇わだつみ6500のパイロット小野寺(草剛)は、沼津地方で起こった大地震に巻き込まれ、レスキュー隊員の阿部玲子(柴崎コウ)とともに、親を失った少女美咲(福田麻由子)を救出する。
その頃日本は群発する巨大地震に襲われていた。
地質学者の田所博士(豊川悦司)と共に、日本海溝の調査に赴いた小野寺は、日本列島が地殻変動によって、僅か一年で海に沈むという恐るべき事実を知る。
危機管理大臣となった田所の元妻である鷹森沙織(大地真央)は、日本国民を全て国外に脱出させようとするが、準備の間にも大地震が列島を襲い、火山は火を噴く。
このまま脱出できない人々と共に、日本は沈むのかと思われていたが、田所には日本を救うための秘策があった・・・


今回のリメイクが、オリジナルと一番違うのは「テーマが無い」事である。
いきなりネタバレすると、今回日本列島は沈まない。
草くんの起こした「奇跡」によって救われるのだ。
よってオリジナルのテーマは、殆んど消えていて、そしてそれに変わるテーマが見えない。
いや、描きたい事は何となく判る。
日本が沈むというマクロな問題を通して、個人としての日本人の心というミクロを描きたいのだろうが、それをエモーションとして感じる事が出来ない。
この映画は、まずなによりも脚本が酷すぎる。
小松左京の原作をベースとしているものの、正反対のラストを見れば判るように、ディティールは大きく異なる。
原作の設定と、大まかな登場人物だけ借りてきたという感じだが、それはまあ良い。
問題は、この映画が描こうとしている物に、脚本が全くアプローチできていない事なのだ。
登場人物は整理できてないし、シチュエーションはぶつ切り。
時間軸もおかしければ、空間の位置関係もメチャクチャ。
とてもプロの脚本家の仕事とは思えない。

まず登場人物に魅力が無い。
草剛の主人公は、映画が始まってから一時間半以上、ただ優柔不断にウロウロしているだけで何もしない。
相手役の柴咲コウは、ハイパーレスキュー隊員という設定なのに、オープニング以外にそれを生かしたシーンが全く無い。
ディザスタームービーで、主人公がレスキュー隊員で、救助のシーンが無いって・・・・どういう事ですか?
二人の間のロマンスもあまりにも唐突。
柴崎コウは、突然草くんに告白されてビックリしていた様だが、それは観客も同じ事。
何しろそれまでの二人の描写といえば、下町の物干し台で身の上話をしているくらいなのだから、省略にもほどがある。
これで草くんに、深刻な顔で「僕にも、守りたい人がいるんです」なんて言われても説得力なし。
必要な描写はないのに、無駄な設定や描写は盛りだくさんだ。
柴崎コウの死んだ爺さんが鳶の棟梁だったとか実はウソだったとか、トヨエツと大地真央が元夫婦だったとか、単に設定されているだけで物語的には全く生かされていない。
腹黒い政治家を登場させて、悪役を作ったりしているが、この手の話ではドラマを盛り上げる事にもならないし、意味が無い。
もっと必要な描写はあるでしょ!と見ながらイライラした。
彼ら二人だけではなく、全ての登場人物の描写が薄っぺらで感情の流れもぶつ切りなので、二時間十五分の間、誰にも感情移入することが出来ない。

この手の映画で一番の見せ場である都市破壊のスペクタクルは、流石によく出来ている。
よく知っている風景が、人知の及ばない力で破壊される画というのはやはり面白い。
しかし、実際に破壊の描写は案外と少なくて、日本全国の壊れちゃった後の風景を見せられるカットが多いので、今ひとつスペクタクルが持続しない。
なんか「災害絵葉書」を見せられているみたいだった。
人工衛星から見た日本列島の超鳥瞰図を多用しているのも、客観性を過度に強めてしまっていると思う。
衛星からの視点は旧作でもウリだったし、日本列島がどんどん崩れてゆくのをリアルに見せる効果はあるのだが、今回は使いすぎだった気がする。
衛星視点から見たイメージと、下界の状態が違いすぎるという突っ込みも入れられてしまう。
だが決定的なのは、この未曾有のディザスターの下に、主人公たちがいないという事なのだ。
前記したようにせっかくハイパーレスキュー隊員という設定なのに、柴崎コウが災害に立ち向かって人々を救助する描写は無い。
草くんが危険に巻き込まれるのは、本来の任務に戻る最後の30分だけだ。
要するに主人公二人とは関係ないところで災害が起きているので、日本が沈むほどの大災害という実感が無い。
ニュース映像を見ているみたいで、全然臨場感が無いのだ。
唯一、二人が親代わりになっている被災少女の美咲ちゃんと、柴崎コウの育ての親達が、避難中に危機に陥るけど、メインキャラクターが「日本沈没」と直面するのはクライマックスの草薙くんを除けばそこだけだ。

この酷い脚本を書いたのはどこの素人ですか?と見ると、なんと加藤正人。
立派なプロである。
しかし、この人は元々淡々とした心理劇なんかを得意としていたはず。
作品のテイストと、この人のテイストが全く合っていないのだ。
脚本家はある意味技術者であり、明確に得手不得手がある場合が多い。
ウッディ・アレン「スター・ウォーズ」の脚本を依頼する馬鹿がいないように、加藤正人にもこの作品は無理だったのではないか。
なぜこの人選なのか理解に苦しむ。

正直、この脚本では誰が撮っても面白くはならなかったと思うが、樋口監督の仕事にも得手不得手がはっきり出てしまっている様に思う。
脚本の不備を差し引いても、主人公二人のロマンスはあまりにもベタベタで恥ずかしい。
反面、細かな画作りなどは流石に素晴しい物があるのだが、脚本がこれでは焼け石に水。
私は特撮監督としての樋口慎嗣の仕事を尊敬しているし、決して演出力の無い人ではないと思う。
が、この脚本の問題を把握できなかったとしたらそれはそれで問題だと思う。
前作の「ローレライ」も脚本の弱さが目立ったが、ドラマツルギーとは結局8割方は人間の感情の流れの事なのだ。
1シーンごとの感情をしっかり表現したつもりでも、それが二時間十五分の流れとなっていなければ、ドラマは成立しない。
 
率直に言って平成の「日本沈没」は、映画という器だけあって、そこに何をどう盛り付けるべきか、脚本家、監督、プロデューサーを含めて最終的にビジョンを持った人間がいなかったとしか思えない。
派手な都市破壊スペクタクルも、オールスターキャストも、「何をどう描くか」という指針なくしては空虚なだけである。
映画の中の日本列島は、草薙くんの特攻によって沈没から救われるが、映画「日本沈没」はその名の通りに見事に沈没してしまった。

さて、主人公の草くんは実家が会津の造り酒屋という設定。
そこで今回は会津の地酒「辰泉 京の華 大吟醸」を。
その名の通り、吟醸酒らしいふっくらとして華やかなお酒。
作り手が、どんな味を目指して作ったのかが、最初の一口で伝わってくる。
映画の方も、この位しっかりしたテーマがあったらよかったのに。

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