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フラガール・・・・・評価額1700円
2006年09月24日 (日) | 編集 |
今から40年ほど前、東北の田舎町に、突如として「ハワイ」が出現した。
斜陽産業となっていた炭鉱の失業対策として、掘削のさいに湧き出る温泉とその熱を利用し、巨大なドームの中に常夏のハワイを再現した温泉リゾートを作ったのだ。
まだ海外旅行が庶民には夢だった時代、東京ディズニーランドも影も形も無かった時代、誰でもハワイを体験できる「常磐ハワイアンセンター」(現:スパリゾートハワイアン)は、日本最初のテーマパークであり、近年続々と生まれている温泉リゾートのパイオニアだった。
これはそんな「東北のハワイ」誕生の前夜、フラのリズムに夢を賭けた少女たちが起こした、小さな、しかしとても美しい奇跡の様な物語だ。

昭和40年、福島県常磐炭鉱。
嘗ては黒いダイヤと呼ばれた石炭も、石油時代に入り需要が低迷。
大量解雇の危機に瀕した炭鉱町を救うべく、一つのアイディアが具現化されつつあった。
炭鉱の副産物であった温泉を利用し、東北に「ハワイ」を再現する一大リゾート。
そこで働くハワイアンバンド、ホテルマンたち、そして華麗なステージを提供するフラのダンサーたちも、全て炭鉱の人々でまかなうという大胆な計画だった。
炭鉱で育った少女紀美子(蒼井優)は、親友の早苗(徳永えり)に誘われて、フラのダンサーに応募する。
コーチ役として、東京から元SKDの花形ダンサーだった平山まどか(松雪泰子)が呼び寄せられる。
盆踊りしか踊った事の無い、東北の田舎娘たちを、僅か数ヶ月でプロのダンサーとして育て上げる。
炭鉱町の少女たちの夢を乗せて、一見無謀な計画は動き出した・・・


私事で恐縮だが、常磐ハワイアンセンターとフラダンスに対しては、かなり思い入れがある。
昭和40年代の後半、当時の我が家からは車で二、三時間ほどの距離で、ちょっとした泊りの家族旅行というと、いつもここへ行っていたのだ。
正直温泉の印象は殆んど覚えていないのだが、幼少の私の脳裏に鮮烈に焼きついているのが、毎夜ステージで披露されていたフラダンスのイメージだった。
両親によると、私はいつも最前列にいって、食い入る様にステージを見つめていたらしい。

年端もいかない子供ですら判る、強烈な肉体のリズムと色彩は、ダンスという芸術の持つ特別な「言語」だ。
この映画でも、その事は効果的に生かされている。
当初、お互いの考えのギャップから、ギクシャクしてレッスンすら始められない、まどか先生と紀美子たち。
その壁を崩したのは、まどか先生のダンス。
始めてまどか先生の踊る姿を見た紀美子たちは、瞬時に自分たちが向かおうとしている世界の魅力を知る。
あるいは、紀美子の進路に反対していた母親は、誰もいないスタジオで、一人踊り続ける娘の姿を見る。
百の言葉でも伝わらなかった娘の思いを、その瞬間母は理解する。
ダンスという肉体によるビジュアル表現の力は、ある意味映画に通じる。

フラダンスの映画であるからには、映画のクライマックスは当然ステージ。
ダンスの躍動感、カタルシスを観客に感じさせる事が出来るかが、この映画の最終的な成否の分れ目だ。
その重責を一人で背負ったのが、蒼井優
勿論、演出の見事さもあるのだが、クライマックスの彼女のソロダンスのシーンには思わず鳥肌が立った。
正に舞台ミュージカル出身者の面目躍如で、ソロの部分での説得力があるから、続く群舞のスペクタクルが生きる。
ステージが終わった瞬間、映画の中で観衆が総立ちの拍手を送るシーンでは、思わず釣られて拍手しそうになったくらいだ。
物語の精神的なクライマックスとも言える、駅で東京へ帰ろうとするまどか先生に、フラの振り付けで自分の思いを告げようとする、情感溢れる名シーンと共に、ラスト数十分の彼女の存在は鮮烈。
ある意味、このキャスティングは奇跡だ。

蒼井優という若い才能の爆発が、映画のクライマックスと見事な相乗効果を挙げているが、それを受ける立場の松雪泰子もまた良い。
紀美子の動に対して、まどかの静。
物語が進むに連れて、衣装の色彩などでも表現されてゆく、全く違った人生を歩んできた二人の「ダンサー」のキャラクターの対比もドラマに深みを与えている。
彼女は李相日監督から「これを貴方の代表作にしたい」と口説かれたそうだが、しっかりと約束は果たされているのではないだろうか。
凛とした存在感を見せる母親役の富司純子や、時代の変化を理解しつつも自分の生き方を変える事の出来ない兄役の豊川悦司ら、ベテランの芸達者たちがしっかりと脇を固める。
意外といっては失礼ながら、面白いキャラクターになっていたのが南海キャンディーズの静ちゃん
彼女が画面に写るだけで、何となく可笑しくて、画面にインパクトが加わるのだ。

李相日監督と羽原大介による脚本は、全く奇を衒った部分の無い直球勝負。
ドラマの要素をみると、この映画には最近の邦画の二つの金脈が含まれている事がわかる。
「がんばっていきまっしょい」から「スウィングガールズ」「シムソンズ」に連なる、田舎のがんばる少女物
そして昨年の「ALWAYS三丁目の夕日」が発掘した、昭和ノスタルジーという新しい金脈。
だが、この映画の作り手たちが、直接これ等の作品からインスパイアされているという事は無いだろう。
言ってみれば、愚直なまでに王道の物語なのだ。
どちらかと言うと前記の作品たちが、過去の王道の物語から、物語の要素を拝借しているという方が正しいかもしれない。
実際のところ、「フラガール」を観て思い浮かぶのは、邦画よりもむしろハリウッド映画、それも古き良きハリウッドを継承する物語だ。
最近の作品では、大恐慌時代に人々の夢を乗せて走った競走馬の物語「シービスケット」や、第二次大戦中に結成された、女子プロ野球リーグを描いた「プリティリーグ」が近いかもしれない。

と、色々な映画が思い浮かぶように、「フラガール」の物語は一言で言ってテンコ盛り。
色々な要素が絡み合っているが、この映画が凄いのは、二時間未満の上映時間で全ての要素をそれなりに描き切り、無駄らしい無駄が殆んど無いという事だ。
あえて欠点を言えば、物語もキャラクターもある意味紋切り型で、良い意味での破綻が無い。
全ての登場人物が幸せになる結末からも判るように、優等生的にきっちりと纏まりすぎているのだ。
人間、贅沢な物で、ボロボロに破綻した物語を見せられると、「プロなら破綻せずに描け」と批判するが、あまりにもきっちりと纏められると、今度はどこかに破綻が欲しくなるもの。
脚本と同様に演出も直球勝負なので、きっちり感はより強くなる。
大いに泣いて笑って、映画の楽しさがつまった「フラガール」だが、ダンス以外に突き抜けた何かがもう一つあれば、映画史に残る傑作となっただろう。
それでも、これだけしっかりと丁寧に作られた娯楽映画は、そうそう観られる物ではない。
昭和40年という、人々の記憶がはっきりしている分、一番再現の難しい「少し昔」を違和感なく作り上げたビジュアル、しっかりとキャラクターの感情とハワイアンのムードを盛り上げる音楽、そして群像劇の中の短い登場時間の中で、炭鉱の男たちやフラガールたちの個性を作り上げた演技陣。
極めて質の高い日本映画が、確かにここにはある。

今回は私もストレートに「ハワイアン」でオチをつけよう。
シェイカーに氷を入れ、ドライ・ジンとパイナップルジュースを2:1の割合で、オレンジキュラソーを適量加えてシェイクする。
パイナップルジュースに代えてオレンジジュースを使う店も多い。
甘口だが、結構強い。
飲み過ぎると脳みそがハワイになっちゃうかも(笑

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