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ブラック・ダリア・・・・・評価額1250円
2006年10月18日 (水) | 編集 |
1940年代のハリウッド。
虚構の迷宮をたゆたう人間模様が、モザイクの様に折り重なって一つの文様を形作る。
47年に起こった、未解決の猟奇殺人事件をベースに書かれたジェイムズ・エルロイの小説を、ブライアン・デ・パルマ監督が映像化した本作の製作は難航を極めたらしいが、ようやく完成。
残酷でムーディ、エルロイ的であり、デ・パルマ的である。
しかし味の輪郭は、最後までくっきりと浮かび上がってこない。

LAPDの警官バッキー(ジョシュ・ハーネット)は、元ボクサー。
ひょんな事から、同じく元ボクサーのリーランド(アーロン・エッカート)と試合をする事になる。
氷の様に冷静なバッキーと、炎の様に情熱的なリーランドの「ファイアー&アイス」は、その後特捜部でパートナーとなる。
リーランドにはケイ(スカーレット・ヨハンソン)という同居女性がいて、彼らは奇妙な三角関係を形作る。
1947年のある日、若い女性の惨殺死体が発見される。
腰の部分で真っ二つに切断され、内臓は抜かれ、口は耳まで切り裂かれていた。
その奇妙な死体を、人々は「ブラック・ダリア」と呼び、捜査にはファイアー&アイスが当たる事になるのだが・・・


狙いはわかる。
物語の基盤となるのはファイアー&アイスとケイの三角関係
そこに「ブラック・ダリア」という異物が投げ込まれる事で、水面に広がった波紋が複雑に絡み合い、やがて同心円上にアンサンブルを奏でるという物だ。

ディテールは素晴らしい。
40年代のLAを再現した美術、衣装は全く見事な仕上がりだし、何と言っても久々登場の名手ヴィルモス・ジグモンドの画作りには感嘆するしかない。
ドライなシャープさを保ちつつ、シーンによってはしっとりとしたウェット感を持たせ、ややソフトでレトロな質感に統一させて落とし込む。
「ブラック・ダリア」の発見前と後で微妙にタッチを変えるなど、その仕事は非常に繊細。
ジグモンド・タッチとよばれた独特の画は健在である。

若干控えめながら、映像的にデ・パルマらしさもたっぷりと味わう事が出来る。
デ・パルマと言えばヒッチコック偏愛から発展した、3次元のサスペンス描写であるが、今回も例によって「めまい」を思わせる螺旋階段での攻防などに、そのテイストはしっかりと発揮されている。
昔からのファンとして嬉しいのは、「ファントム・オブ・パラダイス」の“The Phantom”ウィリアム・フィンレイの復活!
デ・パルマ作品では81年の「殺しのドレス」以来。
その他の作品を入れても13年ぶりの映画出演だという。

そのフィンレイも含めて、キャラクターは曲者揃いだ。
見事なまでに、屈折したキャラクターしか出てこない。
この物語の語り部となっているのは、ジョシュ・ハーネット演じる「アイス」で、彼のナレーションで全体の話が進む。
一応、登場人物の中では一番まともそうではあるのだが、それでも内面の屈折は隠せない。
位置付けとしては、原作者であるエルロイの映画の中での代弁者となるのだろうが、元々エルロイ自身、10歳の時に母親を殺害され、それがきっかけで犯罪や死に興味を持ち、作家になったと言う人なので、初めから目に見えることをストレートには描いていない。
個々の事件を透かして、人間の複雑な心理を描き出す作家のスタイルからすると、このキャラクター造形はある意味当然かもしれない。

複雑なモザイクのような心を持つ、屈折した人間達の織り成す相互関係の中心に、ポンと投げ出された一つの死体「ブラック・ダリア」。
人々はその死体に引き付けられ、執着し、やがて彼らの内面の姿が同心円の中に浮かび上がるはず・・・だったのだろう。
残念ながら、この映画はタイトルロールの「ブラック・ダリア」が決定的に弱い。
物語は、ファイアーが「ブラック・ダリア」に異様な執着を見せるところから大きく動くのだが、なぜファイアーがそれほど死体に執着するのか判らない。
その後の展開でも、アンサンブルの中心にあるべき「ブラック・ダリア」のイメージが弱いので、人々が愛し、裏切り、傷付け合いながら離れられず、徐々に事件の全貌が明らかになる過程の説得力が失われている。
最終的に事件が解決しても、浮かび上がった物が何だったのか、ぼやけたままだ。

本来、「ブラック・ダリア」が世界一有名な死体となった理由は、やはりその強烈なビジュアルであり、死体からうっすらと見える犯人の心、そしてそれを鏡に映し出される自分の内面が見えるからだろう。
映画は、肝心の死体を殆ど見せない事で、同心円の中心を欠いてしまったのだ。
ここはやはり、「とてつもなくおぞましく、しかし目を離せない」死体をしっかりと描写すべきだったのではないか。
映画というビジュアル表現においては、それでこそ「ブラック・ダリア」のイメージが人々の心に食い込んでゆき、目に見えない力に引き付けれる様に、バラバラのピースが収束してゆく様が説得力を持つという物だ。
レイティングの問題もあったのだろうが、物語の中心にしっかりとした形を与えられず、結果的に全体がぼやけた味に仕上がってしまったのはなんとも残念。
何となくだが、70年代のデ・パルマならこの辺を曖昧にはしなかったような気がする。
異才デ・パルマも、もう66歳。
まだ歳だとは思いたくないけれど・・・・

今回は、LAに近いワインどころ、サンタバーバーラからヒッチング・ポストの「シラー ビッグサークル」を。
映画「サイドウェイ」で大ブレイクしたHPのワイン。
このぐらい、しっかりした輪郭が映画にもあれば大満足だったのだが、観賞後はこれで脳内補完しよう。

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