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手紙・・・・・評価額1250円
2006年11月10日 (金) | 編集 |
殺人犯として服役する兄と、犯罪者の家族として、世間の冷たい風の中に生きる弟を軸に、人間と人間のつながりを描いた東野圭吾のベストセラー小説の映画化。
テレビドラマのベテラン演出家、生野慈朗が映画監督として16年ぶりにメガホンを取った意欲作で、謂れの無い差別を通して描かれる、人権という言葉と世間一般の本音のズレ、傷つけあいながら、それでも響きあう人間の心、犯罪被害者と加害者の心の葛藤など、非常に沢山のテーマが語られている。
実際に世評も高いようだが、私には今ひとつ気持ちの入っていかない作品だった。

リサイクル工場で働きながら、世間の目を避けるようにひっそりと生きる若者が一人。
彼の名は、武島直貴(山田孝之)。
強盗殺人の罪で、千葉の刑務所に服役している武島剛志(玉山鉄二)の弟だ。
犯罪者の兄のために、謂れの無い差別を受けてきた直貴は、極力他人と関わらないように生きている。
刑務所の兄との手紙のやりとりが、人とのかかわりの全てのような生活で、密かに直貴に想いを寄せる由美子(沢尻エリカ)の気持ちにも答えることが出来ない。
そんな世捨て人の様な直貴が、たった一つ打ち込むものが、子供の頃からの憧れだったお笑い芸人への挑戦だった・・・・


テーマに誠実に向き合った作品だし、丁寧に作られている。
俳優も、それぞれのキャラクターを掴んでいたと思うし、作品の完成度はとても高い。
良作だと思う。
しかし、私はこの作品を好きではない。
二時間の間、カメラは事件から数年間の直貴を追いつづける。
直貴の身に起こった事、直貴の内面をしっかりと描写する。
物語が進むにつれて、私はますますこの作品が好きではなくなる。
要するに、出ずっぱりの主人公に全く共感できなかったのだ。

事件後、殺人者の弟として謂れの無い差別を受けた直貴は、次第に人間を避けて暮らすようになる。
差別されるのが怖くて、初めから人との接触を断つ。
この辺りはまだ良い。
しかし、その人間嫌いで人との接触を避けつづけている主人公が、お笑い芸人を目指すと言うのがどうしても理解できない。
ああいう精神状態にある人が、人前に出て笑いをとる事を考えるとは思えないし、注目される職業につこうとする事も矛盾だと思う。
元々お笑いが大好きで、心の根底でそれを捨てられなかったという解釈も成り立つが、それなら自分の過去がネットでちょっと噂になったくらいで、あっさりとお笑いを止めてしまうのはもっと理解できない。
お笑いはこの物語上ではキーとなる職業に設定されているが、主人公の行動を見ている限りは、彼がどんどん捨てて行く、その他の職業と大して変わらない様にしか見えないのだ。

また主人公はあちこちで差別を受けるが、同時に彼の問題を受け入れ、心を開いている人達も沢山出てくる。
彼らの、心に残る台詞も多い。
リサイクル工場の同僚で、元服役囚だった男は言う。
「何かやりたい事があるなら、簡単に諦めるなよ。てっぺんを目指してみろ」
あるいは、直貴の勤める家電量販店の平野会長は、兄の事が人事部にばれて、移動を命じされて腐る直貴にこう諭す。
「犯罪者の家族は、差別されて当たりまえだ。それは犯罪と距離を置こうとする人間の本能だ」
この言葉には、確かに奇麗事ではない、この世間の真理の一面がある。
厳しい現実を踏まえた上で、平野は言う。
「それでも、君には心の通じている人がいるじゃないか。差別の無い国を探すんじゃない、君はここで生きていくんだ」
同情ではなく、心からの励ましの言葉だ。
勿論、厳しい現実に直面して逃げつづける直貴を、ずっと励まし、見守りつづける由美子は、彼の最大の理解者だ。
しかし、主人公は彼らの言葉を聞いて、ほんの少しだけ生き方を改めるものの、すぐにまた逃げ始めてしまうのだ。
いや、彼らだけではない。
一時は直貴と結婚を考えていた金持ちの令嬢朝美も、お笑いコンビの合方も、ネットで事実がばれた後も、直貴を守ろうとした芸能プロだって彼と心を通じようとしていた人々だった。
直貴は、職業と同じように、いとも簡単に彼らを捨てる。
自分と関わる事で、彼らを傷つけたくないと直貴は言うが、本当は自分が傷つきたくないだけなのだ。

幸い私は、殺人犯の家族として差別を受けた事は無いので、直貴の本音の部分は理解できていないのかもしれないが、映画を見る限りでは、直貴は単に心の弱い流されやすい若者にしか見えなかった。
彼は差別と同じくらい、他人の愛を受けていたし、その愛に答える事無く逃げつづけていたのは彼自身だ。
もし、直貴の兄が殺人犯でなくても、彼は結局同じように「後ろ向きの生き方」しか出来ないのではないかという気がしてしまうのだ。

映画はいくつもの手紙が繋ぐ、人と人との心のつながりを描いて、深みのある人間ドラマとなっている。
「手紙」とは、つまり言葉。
言葉がもつ強い力は、確かに伝わってくるし、それは映画という表現において、より効果的に表現されていたと思う。
その意味で、この映画は観る者に真に迫ってくる。
しかし、だからこそ私にはこの主人公が受け入れられない。
彼が刑務所の兄へ送る最後の決別の手紙も、それまでの彼の生き方から、素直に受け取る事が出来なかった。
全ての心が優しく繋がったかのように見えるラストまで、本当に彼は心から人を受け入れ、理解しようとしたのだろうか?という疑念を感じてしまったのだ。

良く出来ているし、決してつまらない訳ではない。
客観的に映画の出来を考えると、相当なレベルの作品だと思う。
ただ、私個人の感情として、この映画は好きではない。

映画の内容とは関係ないけど、直貴と吹石一恵の金持令嬢のエピソードは、どうしても画面から「電車男」を連想してしまった。
直貴に比べると、電車男の方がまだ前向きで、応援のし甲斐もあったと思うのだが・・・・

様々な形の愛が描かれた本作には、やはりしんみりと味わい深い日本酒かな。
愛媛の成龍酒造の、その名も「御代栄 愛燦々」をチョイスしよう。
やや甘口で、口当たりもやわらかく、ほんのりと包み込まれるような幸せを味わえる。
味の輪郭はしっかり強いので、ディープな映画に負ける事も無いだろう。

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《純米酒》 御代栄 愛燦々・1800ml








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