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2006 unforgettable movies
2006年12月30日 (土) | 編集 |
早いもので、2006年も間も無く去ろうとしている。
今年も、「忘れられない映画」をピックアップしてみようと思う。
今年の映画にキーワードを付けるならば、それは「戦」だろう。
9.11から五年が過ぎ、あの事件がもたらした物、背景にあった物、そして事件その物を描いた作品まで現れた。
直接的にせよ、間接的にせよ、映画作家達が9.11以降の世界について、一斉に声をあげ始めたのは確かだと思う。

「ホテルルワンダ」は、先進国に住む我々が、リアルに想像する事が難しいアフリカの紛争を、平凡だが極めて魅力的な主人公の目線を借りる事で、普遍性を持って描いた力作だった。
この作品の他にも「ロード・オブ・ウォー」など、暴力の連鎖が途切れない、アフリカの現実を描いた作品も今年は目立った。

「ミュンヘン」は、巨匠スピルバーグからの、9.11以降の世界に対する重い問いかけだ。
30年以上前の暴力の連鎖が、実は今現在も続いていて、9.11にも確実に繋がっている。
主人公が迷い込んだ悪夢の迷宮に明日いるのは、もしかすると我々かもしれない。

「クラッシュ」は、現代のLAを舞台に、人種偏見がもたらす様々な「衝突」を描いた群像劇。
ここにも、人間と人間の小さな戦が繰り広げられている。
しかし、ギリギリのところで、ポール・ハギスの人間を信じる眼差しの暖かさに救われた。

「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」は、戦争という人間のもっとも愚かな行いの中で、一人の女性が信念と良心を守り抜いた壮絶な戦の物語。
ゾフィーを演じたユリア・イェンチ、モーア役のアレクサンダー・ヘルトの火花散る演技合戦も見事だった。

「かもめ食堂」は、ある意味「戦」というキーワードからもっとも遠い、平和な作品。
ドラマチックな事は何も起こらない。
だが、北欧フィンランドの日本料理店を舞台にした心地よい映画的時間は、肩の力を抜いて浸っていたくなる魅力に満ちている。

「ナイロビの蜂」は、先進国に食い物にされるアフリカの現実と、ある一組の夫婦の深い愛を描いた意欲作。
やや未消化の部分も残るものの、ル・カレの骨太のプロットを正面から受け止めて、なお強烈な個性を放つ、フェルナンド・メイレレスの作家性は高く評価出来る。

「花よりもなほ」は、天下泰平の大都会江戸を舞台に、「侍」という平和な時代にはある意味場違いな存在を通して、暴力の連鎖の無意味さを描いた異色作。
間接的ながらアフター9.11を描いた、数少ない邦画としても評価したい。
この作品も、山田洋次の「武士の一分」も、邦画時代劇の伝統がしっかりと生きている事を示した。

「カーズ」は、ピクサーのボス、ジョン・ラセター自ら作り上げた超マニアックムービー。
これほどマニアックなディテールを持ちながら、同時に老若男女誰にでも楽しめるファミリームービーに仕上がっている懐の深さに脱帽。

「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」は、とても不思議な映画だ。
技術論的にこの映画を語れば、欠点だらけのダメダメな映画。
しかし、この映画には、ダメなのを判っていても人を惹きつける、映画的時間の魅力があるのだ。来年もやって来る、ジャック・スパローの次なる冒険が待ち遠しい。

「時をかける少女」は、夏の本命「ゲド戦記」の影に隠れながら、質の面で圧勝した。
過去に何度も映像化された作品を、リメイク的続編という変化球で、新鮮に蘇らせた手腕は見事。
ネットの口コミで日を追うごとに増えつづけた観客は、「ホテルルワンダ」と並んでネットの興行パワーを証明する結果となった。

「ユナイテッド93」は、正直言って今の段階では映画の出来うんぬんを評価する事は出来ない。
あの日、あの時に起こった事の一部を、徹底的に現象として描写した、色々な意味で特別な映画だ。
9.11を直接描いた作品は、この作品以外にも「ワールド・トレード・センター」があったが、オリバー・ストーンは内容的に9.11そのものからは逃げている。
あえて直球で来たポール・グリーングラスの作品は、観客に心の奥底にしまい込んだ9.11と、再び向き合う事を要求している様だ。

「スーパーマン・リターンズ」は、旧作への大いなるリスペクトを含んだ見事な復活編。
古典的なハリウッド映画を思わせる風格と、最新テクノロジーによって生み出された映像スペクタクルは観客を映画のロマンに誘う。
ややレトロな味付けながら、スーパーマンとて2006年という時代から逃れられない現実は、劇中のスーパーマンの位置付けにも現れている。

「グエムル 漢江の怪物」は、韓国の異才ポン・ジュノによる怪作。
前半の圧倒的な演出力と、半ば狙った笑いと破綻は、韓国が抱える不のメタファーをくっきりと浮かび上がらせる。
前作「殺人の追憶」とは全くテイストの違う作品ながら、背景に強い社会性を持った娯楽映画というスタンスは共通。
この才能豊かな監督がどこへ行こうとしているのか、当分目が離せない。

「フラガール」は、丁寧に作られた娯楽映画の王道。
流行のレトロ路線ながら、物語にしっかりと普遍性を盛り込み、判りやすい起承転結、個性のはっきりしたキャラクター、クライマックスのダンスシーンの迫力まで、正しく娯楽映画の教科書の様な作品だった。

「虹の女神 Rainbow Song」は、今年最低点をつけた「親指さがし」の熊澤尚人監督による、起死回生のホームラン。
全体の雰囲気に岩井俊二の影を感じるものの、適度なウエット感を持った瑞々しい佳作。
8mm映画を巡る若者達のドラマは、そのままフィルム映画へのレクイエムとなっている。

「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」の硫黄島二部作は、様々な「戦」が描かれた今年の映画の締めくくりに相応しい。
二つの視点を持つことで、過去のあらゆる戦争映画が越えられなかった表現の壁を軽々とブレイクスルーし、戦争の本質を浮かび上がらせた映画史に残る傑作である。
60年前の太平洋の孤島を巡る戦いは、今の時代に深く、静かな問いを投げかける。
我々は、それに対する答えをまだ見つけていない。


他にも、多くの作家が、戦い続ける人類と暴力の連鎖をテーマに映画を作った。
クローネンバーグの「ヒストリー・オブ・バイオレンス」や、クリスチャン・カリオンの「戦場のアリア」、韓国の俊英パク・クァンヒョンの「トンマッコルへようこそ」、アルフォンソ・キュアロンの「トゥモローワールド」などは、それぞれ注目に値する作品だった。
残念なのは、9.11とその後の戦に決して無縁でない日本から、(ドキュメンタリーの「9.11-8.15 日本心中」を別とすれば)この問題に正面から向き合った作品が観られなかったことだ。
70年代の遺物の様な「男たちの大和 YAMATO」では話にならない。
またアン・リーの「ブロークバック・マウンテン」や、ミヒャエル・ハネケの「隠された記憶」、アレクサンドル・ソクーロフの「太陽」など、ベテランの個性派作家による小品にも、印象的な作品が多かった。
さて、来年はどんな映画に出会えるのか。

それでは皆さん、良いお年を。

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