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2007年01月17日 (水) | 編集 |
作品の成り立ちから仕上がりまで、これはまた異色のアニメーション。
松本大洋の原作は、タイトルは知っていたものの未読。
したがって原作の物語、キャラクターは全く知らない。
義理と人情とヤクザの街「宝町」。
この不思議な街をテリトリーに、自由に飛びまわる二人の少年、クロ(二宮和也)とシロ(蒼井優)は通称ネコと呼ばれ、街の大人たちからも恐れられる存在だ。
ある日、この街に三人の殺し屋を連れたヘビ(本木雅弘)と呼ばれる男が現れ、街を巨大プロジェクトで再開発しようとする。
昔かたぎのヤクザ、ネズミ(田中泯)は反発して組を割り、ネズミの部下だった木村(伊勢谷友介)はヘビについた。
彼らの思惑は、自由に生きるネコたちの運命をも大きく変えていく・・・
映画を観て原作も読んでみたくなった。
この作品の主役は、現実の日本からは僅かに次元がずれたパラレルワールドの様な、「宝町」という街そのものだ。
東京に残された、アジア的なエキセントリックさを増幅して、画面の中にぶちまけた様なこの街は、恐ろしく細密に作りこまれたディティールによって、リアルな生命を感じさせる。
街の細部が描写されるたびに、一瞬その場所を知っているようなデジャヴを感じるのだ。
どことなくレトロで、エネルギーに満ち溢れたこの街は、優れたファンタジーの鉄則である、「行ってみたくなる世界」に当てはまる。
主な登場人物は、通称ネコと呼ばれる二人のストリートキッズ、クロとシロ。
彼らに絡むのは、時代の流れを感じつつも、それに流されている刑事たち、そして街の利権を狙うヤクザ、殺し屋たちだ。
面白いのは、警官やヤクザを含む街の住人たちは、ごく普通の人間として描かれているのに、主人公のネコ、そして殺し屋たちはまるで物理法則から解き放たれたような超人的な身体能力を持っていること。
もしかしたら彼らはメタファーとしてのキャラクターで、実はほんとにネコ=猫という解釈もアリなのかと思った。
主人公のクロとシロを演じるのは二宮和也と蒼井優という、正に今が旬の俳優たちだ。
基本的に二人とも好演していると思うが、男同士という設定のシロとクロのキャラクターに、シロを演じた蒼井優はやはりどこか女性を感じさせてしまう。
銭湯で風呂に入るシーンが無ければ、ずっとシロは女だと思い込んでいただろう。
もっともその事が、劇中のシロとクロの互いを想う感情に、微妙かつ複雑な色をつける事にもなっており、もしかしたら狙ったキャラクター作りなのかもしれないが。
クライマックスでクロの内面世界が、(作品の世界における)リアルを侵食して行くのは、「エヴァンゲリオン」を思わせる。
作品が最終的に個人の内面に回帰するのは、時代の気分を反映した物なのかもしれないが、正直ちょこっと「またかよ」と思ったのも事実。
シロとクロがその名の通り光と影であり、相互補完の関係なのは物語の初めからイヤというほど描かれている。
だから最後にクロの内面による侵食を救うのも・・・ネタバレするまでもなく読めてしまう。
ただこの作品の場合、クロとシロ以外のサブストーリーもよく出来ていて、ネズミとヤクザ・木村のエピソードや、ヘビとその殺し屋たちの存在感、何よりも圧倒的な世界観の情報量が、観念的なクライマックスに世界全体が落ち込むのを防いでいる。
したがって作品世界のバランスは最後まで崩れない。
監督のマイケル・アリアスは日本アニメの魅力に引かれ、来日して15年。
これもまた外国人監督による、見事な「日本映画」である。
今回は「宝」つながりで芋焼酎の「薩摩 宝山」をチョイス。
芋臭さは好みが分かれるだろうが、好き物にはたまらない。
宝町の雑多な世界には、野趣溢れる焼酎がピッタリだ。
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したがって原作の物語、キャラクターは全く知らない。
義理と人情とヤクザの街「宝町」。
この不思議な街をテリトリーに、自由に飛びまわる二人の少年、クロ(二宮和也)とシロ(蒼井優)は通称ネコと呼ばれ、街の大人たちからも恐れられる存在だ。
ある日、この街に三人の殺し屋を連れたヘビ(本木雅弘)と呼ばれる男が現れ、街を巨大プロジェクトで再開発しようとする。
昔かたぎのヤクザ、ネズミ(田中泯)は反発して組を割り、ネズミの部下だった木村(伊勢谷友介)はヘビについた。
彼らの思惑は、自由に生きるネコたちの運命をも大きく変えていく・・・
映画を観て原作も読んでみたくなった。
この作品の主役は、現実の日本からは僅かに次元がずれたパラレルワールドの様な、「宝町」という街そのものだ。
東京に残された、アジア的なエキセントリックさを増幅して、画面の中にぶちまけた様なこの街は、恐ろしく細密に作りこまれたディティールによって、リアルな生命を感じさせる。
街の細部が描写されるたびに、一瞬その場所を知っているようなデジャヴを感じるのだ。
どことなくレトロで、エネルギーに満ち溢れたこの街は、優れたファンタジーの鉄則である、「行ってみたくなる世界」に当てはまる。
主な登場人物は、通称ネコと呼ばれる二人のストリートキッズ、クロとシロ。
彼らに絡むのは、時代の流れを感じつつも、それに流されている刑事たち、そして街の利権を狙うヤクザ、殺し屋たちだ。
面白いのは、警官やヤクザを含む街の住人たちは、ごく普通の人間として描かれているのに、主人公のネコ、そして殺し屋たちはまるで物理法則から解き放たれたような超人的な身体能力を持っていること。
もしかしたら彼らはメタファーとしてのキャラクターで、実はほんとにネコ=猫という解釈もアリなのかと思った。
主人公のクロとシロを演じるのは二宮和也と蒼井優という、正に今が旬の俳優たちだ。
基本的に二人とも好演していると思うが、男同士という設定のシロとクロのキャラクターに、シロを演じた蒼井優はやはりどこか女性を感じさせてしまう。
銭湯で風呂に入るシーンが無ければ、ずっとシロは女だと思い込んでいただろう。
もっともその事が、劇中のシロとクロの互いを想う感情に、微妙かつ複雑な色をつける事にもなっており、もしかしたら狙ったキャラクター作りなのかもしれないが。
クライマックスでクロの内面世界が、(作品の世界における)リアルを侵食して行くのは、「エヴァンゲリオン」を思わせる。
作品が最終的に個人の内面に回帰するのは、時代の気分を反映した物なのかもしれないが、正直ちょこっと「またかよ」と思ったのも事実。
シロとクロがその名の通り光と影であり、相互補完の関係なのは物語の初めからイヤというほど描かれている。
だから最後にクロの内面による侵食を救うのも・・・ネタバレするまでもなく読めてしまう。
ただこの作品の場合、クロとシロ以外のサブストーリーもよく出来ていて、ネズミとヤクザ・木村のエピソードや、ヘビとその殺し屋たちの存在感、何よりも圧倒的な世界観の情報量が、観念的なクライマックスに世界全体が落ち込むのを防いでいる。
したがって作品世界のバランスは最後まで崩れない。
監督のマイケル・アリアスは日本アニメの魅力に引かれ、来日して15年。
これもまた外国人監督による、見事な「日本映画」である。
今回は「宝」つながりで芋焼酎の「薩摩 宝山」をチョイス。
芋臭さは好みが分かれるだろうが、好き物にはたまらない。
宝町の雑多な世界には、野趣溢れる焼酎がピッタリだ。
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