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2007年02月21日 (水) | 編集 |
シュープリームス時代のダイアナ・ロスと、当時急成長したブラックミュージックレーベル、モータウンミュージックの勃興をモデルとした、ブロードウェイのヒットミュージカルの映画化。
激動の60~70年代を、華やかなステージとミュージカルナンバーで描く、久々の大作ミュージカルだ。
当時のブラックミュージックが好きな人にはたまらない作品だろう。
モータウン・デトロイト、1962年。
ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)、エフィー(ジェニファー・ハドソン)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)の三人は、ドリームメッツというトリオを組んで今日もオーディションに挑んでいる。
音楽業界で成功を狙うカーティス(ジェイミー・フォックス)は、彼女たちの才能を見抜き、人気歌手のジェームス(エディー・マーフィー)のコーラスグループとして契約する。
やがてドリームメッツは、カーティスのプロデュースの元、ドリームガールズと名を変えてデビューする事になるのだが、カーティスは白人層へのうけを考え、歌唱力のあるエフィーではなく、ルックスの良いディーナをリードボーカルにする。
カーティスの狙いは的中し、ドリームガールズは一躍時の人となるのだが、メンバーとカーティスの間には次第に確執が生まれていた・・・
この映画の登場人物は、みな引き裂かれている。
夢と現実、希望と絶望、過去と未来、ステージの表と裏。
そしてエンターテイナーでありアーティストである人種が皆一度は陥る、創造の欲求と、成功への渇望。
1960年代は公民権運動とベトナム反戦運動の時代であり、アメリカの価値観が大きく変わった時代。
ようやく表舞台へのチャンスを掴んだ黒人アーティストと彼らを支える裏方の、希望と戸惑いがこのサクセスストーリをドラマチックにしている。
カーティスの見せる「売れる音楽」への異様な拘りは、虐げられた者がはじめて掴んだ成功への不安の裏返しだ。
黒人の人口は合衆国のわずか10%程度。
白人層が認めて初めて本当の成功が訪れる。
カーティスは白人に本当の黒人ソウルミュージックは理解出来ないと思っているが、実は彼もまた白人を本当に理解してはおらず、ゆえに常に疑心暗鬼に陥っている。
「白人の求める黒人の音楽」を作り続けた結果、彼は本質的に大切な物を沢山失ってしまう。
この物語は60~70年代という時代と、誰よりも大きな変化を経験したブラックミュージックの世界を通して、当時の黒人たちが得た物失った物、そして本当に大切なものは何かを描き出す。
そしてそれは同時に、当時とは違った意味での激動期を迎え、引き裂かれている現代アメリカにとっても、普遍性を持った問いかけでもあるのだ。
役者がいい。
この映画は基本的にジェイミー・フォックス演じるカーティスの物語であり、彼自身が当時の黒人文化のメタファーとしての役回りとなっている。
ドラマの中心であり、同時に観客にとっての目の役割ともなるキャラクターを見事に演じた。
タイトルロールのドリームガールズは、巷ではエフィーを演じたジェニファー・ハドソンの話題ばかりがクローズアップされているが、私はむしろディーナを演じたビヨンセに驚いた。
今まで演技してる姿は、セルフパロディ気味だった「ピンク・パンサー」くらいでしか観た事が無かったから、これだけしっかりと役を作って、キャラがぶれずに演じ通す力があるというのは驚きだった。
勿論、オスカーにノミネートされたジェニファー・ハドソンの迫力は色んな意味で圧倒されたが、演技という意味ではビヨンセも同じくらい評価されて然るべきだ。
ジェームス・ブラウンをモデルにしたジェームス・アーリーを演じたエディ・マーフィーもお見事。
本人曰く、今回はモデルのブラウンをかなり意識して役作りをしたらしいが、見事なまでにエディ・マーフィーにしか見えない(笑
しかし、激変する時代に取り残され、ドラッグにおぼれてゆく男をスターの悲哀たっぷりに演じた。
面白いのは、物語の筋書とキャラクターを演じるキャストの現実が微妙に被っている事。
エフィーがトラブルを起こしてドリームガールズを追われるエピソードは、デスティニーズ・チャイルドの初期メンバーの追放騒動を思い起こさせるし、ジミーが時代の変化について行けずに、ジリジリと落ちてゆく姿は、喜劇俳優として頂点を極めたあと伸び悩むエディー・マーフィー本人のキャリアと被る。
特にクライマックスの解散ステージのシーンで、「ドリームガールズは、本当は四人です」という台詞を、ビヨンセはどんな気分で言ったのだろう。
ブラックミュージックはその歴史から、家族や親しい仲間という家内制手工業的な小さな世界で作られている事が多く、それは現在でもあまり変わらない。
もちろんグループの内紛や脱退騒動、キャリアの浮き沈みなどは珍しい物ではないが、ビル・コンドンの演出は、キャスティングを含めてあえてそのあたりをドキュメンタリー的に匂わせる作りになっている。
もっともそれは、この物語の世界を見つめるコンドンの目線が妙に客観的でさめている事の裏返しでもある。
物語もキャラクターもソウルたっぷりであるにも関わらず、作品にはクールな雰囲気が漂い、ステージの熱をあまり感じない。
見事なミュージカルナンバーに聞きほれている最中も、それを冷徹な目で見つめる演出家の目を感じてしまったのは私だけだろうか。
素晴らしい映像、素晴らしいキャスト、素晴らしい音楽と三拍子そろった「ドリームガールズ」は老若男女全ての人に勧められる、よく出来た娯楽映画だ。
しかし、この物語の本質を表現するには、全体的にもう少し良い意味での「熱狂」が必要だったような気がする。
とは言うものの、クライマックスの解散コンサートのシーンでは、鳥肌が立つくらいのエモーションを感じたのも確かなのだが。
今回はソウルフルなモータウンにも良く合う、カナディアンウィスキーの名門、カナディアンクラブの「ブラック」をチョイスしよう。
創業者のハイラム・ウォーカーはもともとデトロイトに長く住んだ人で、始めはデトロイトでウィスキーを作ろうとしたらしい。
しかし当時の社会情勢や法律がそれを許さず、やむなくカナダに移り住んで酒作りを始めた。
ウォーカーの作るウィスキーの、飲みやすくコクのある喉ごしは、直ぐにアメリカでも評判になり、現在でももっとも人気のあるウィスキーの一つである。
さまざまな歴史を内包するソウルミュージックをライブで聴きながら、同じように歴史あるウィスキーベースのカクテルをいただくというのは、アメリカの夜のもっとも素敵な過ごし方の一つだと私は思う。
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カナディアンクラブ ブラック
こちらはビル・コンドンが脚本を担当
激動の60~70年代を、華やかなステージとミュージカルナンバーで描く、久々の大作ミュージカルだ。
当時のブラックミュージックが好きな人にはたまらない作品だろう。
モータウン・デトロイト、1962年。
ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)、エフィー(ジェニファー・ハドソン)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)の三人は、ドリームメッツというトリオを組んで今日もオーディションに挑んでいる。
音楽業界で成功を狙うカーティス(ジェイミー・フォックス)は、彼女たちの才能を見抜き、人気歌手のジェームス(エディー・マーフィー)のコーラスグループとして契約する。
やがてドリームメッツは、カーティスのプロデュースの元、ドリームガールズと名を変えてデビューする事になるのだが、カーティスは白人層へのうけを考え、歌唱力のあるエフィーではなく、ルックスの良いディーナをリードボーカルにする。
カーティスの狙いは的中し、ドリームガールズは一躍時の人となるのだが、メンバーとカーティスの間には次第に確執が生まれていた・・・
この映画の登場人物は、みな引き裂かれている。
夢と現実、希望と絶望、過去と未来、ステージの表と裏。
そしてエンターテイナーでありアーティストである人種が皆一度は陥る、創造の欲求と、成功への渇望。
1960年代は公民権運動とベトナム反戦運動の時代であり、アメリカの価値観が大きく変わった時代。
ようやく表舞台へのチャンスを掴んだ黒人アーティストと彼らを支える裏方の、希望と戸惑いがこのサクセスストーリをドラマチックにしている。
カーティスの見せる「売れる音楽」への異様な拘りは、虐げられた者がはじめて掴んだ成功への不安の裏返しだ。
黒人の人口は合衆国のわずか10%程度。
白人層が認めて初めて本当の成功が訪れる。
カーティスは白人に本当の黒人ソウルミュージックは理解出来ないと思っているが、実は彼もまた白人を本当に理解してはおらず、ゆえに常に疑心暗鬼に陥っている。
「白人の求める黒人の音楽」を作り続けた結果、彼は本質的に大切な物を沢山失ってしまう。
この物語は60~70年代という時代と、誰よりも大きな変化を経験したブラックミュージックの世界を通して、当時の黒人たちが得た物失った物、そして本当に大切なものは何かを描き出す。
そしてそれは同時に、当時とは違った意味での激動期を迎え、引き裂かれている現代アメリカにとっても、普遍性を持った問いかけでもあるのだ。
役者がいい。
この映画は基本的にジェイミー・フォックス演じるカーティスの物語であり、彼自身が当時の黒人文化のメタファーとしての役回りとなっている。
ドラマの中心であり、同時に観客にとっての目の役割ともなるキャラクターを見事に演じた。
タイトルロールのドリームガールズは、巷ではエフィーを演じたジェニファー・ハドソンの話題ばかりがクローズアップされているが、私はむしろディーナを演じたビヨンセに驚いた。
今まで演技してる姿は、セルフパロディ気味だった「ピンク・パンサー」くらいでしか観た事が無かったから、これだけしっかりと役を作って、キャラがぶれずに演じ通す力があるというのは驚きだった。
勿論、オスカーにノミネートされたジェニファー・ハドソンの迫力は色んな意味で圧倒されたが、演技という意味ではビヨンセも同じくらい評価されて然るべきだ。
ジェームス・ブラウンをモデルにしたジェームス・アーリーを演じたエディ・マーフィーもお見事。
本人曰く、今回はモデルのブラウンをかなり意識して役作りをしたらしいが、見事なまでにエディ・マーフィーにしか見えない(笑
しかし、激変する時代に取り残され、ドラッグにおぼれてゆく男をスターの悲哀たっぷりに演じた。
面白いのは、物語の筋書とキャラクターを演じるキャストの現実が微妙に被っている事。
エフィーがトラブルを起こしてドリームガールズを追われるエピソードは、デスティニーズ・チャイルドの初期メンバーの追放騒動を思い起こさせるし、ジミーが時代の変化について行けずに、ジリジリと落ちてゆく姿は、喜劇俳優として頂点を極めたあと伸び悩むエディー・マーフィー本人のキャリアと被る。
特にクライマックスの解散ステージのシーンで、「ドリームガールズは、本当は四人です」という台詞を、ビヨンセはどんな気分で言ったのだろう。
ブラックミュージックはその歴史から、家族や親しい仲間という家内制手工業的な小さな世界で作られている事が多く、それは現在でもあまり変わらない。
もちろんグループの内紛や脱退騒動、キャリアの浮き沈みなどは珍しい物ではないが、ビル・コンドンの演出は、キャスティングを含めてあえてそのあたりをドキュメンタリー的に匂わせる作りになっている。
もっともそれは、この物語の世界を見つめるコンドンの目線が妙に客観的でさめている事の裏返しでもある。
物語もキャラクターもソウルたっぷりであるにも関わらず、作品にはクールな雰囲気が漂い、ステージの熱をあまり感じない。
見事なミュージカルナンバーに聞きほれている最中も、それを冷徹な目で見つめる演出家の目を感じてしまったのは私だけだろうか。
素晴らしい映像、素晴らしいキャスト、素晴らしい音楽と三拍子そろった「ドリームガールズ」は老若男女全ての人に勧められる、よく出来た娯楽映画だ。
しかし、この物語の本質を表現するには、全体的にもう少し良い意味での「熱狂」が必要だったような気がする。
とは言うものの、クライマックスの解散コンサートのシーンでは、鳥肌が立つくらいのエモーションを感じたのも確かなのだが。
今回はソウルフルなモータウンにも良く合う、カナディアンウィスキーの名門、カナディアンクラブの「ブラック」をチョイスしよう。
創業者のハイラム・ウォーカーはもともとデトロイトに長く住んだ人で、始めはデトロイトでウィスキーを作ろうとしたらしい。
しかし当時の社会情勢や法律がそれを許さず、やむなくカナダに移り住んで酒作りを始めた。
ウォーカーの作るウィスキーの、飲みやすくコクのある喉ごしは、直ぐにアメリカでも評判になり、現在でももっとも人気のあるウィスキーの一つである。
さまざまな歴史を内包するソウルミュージックをライブで聴きながら、同じように歴史あるウィスキーベースのカクテルをいただくというのは、アメリカの夜のもっとも素敵な過ごし方の一つだと私は思う。

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