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パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド・・・・・評価額1700円
2007年05月26日 (土) | 編集 |
やりたい放題・・・・

こんな無茶苦茶な、もとい自由なハリウッド大作は久々に観た。
前作「デッドマンズ・チェスト」の記事で、このシリーズは「SW」に近くなってきたと書いたが、撤回する。
展開に「SW」からのいただきと思しき部分は残るものの、これはもう「パイレーツ・オブ・カリビアン」独自の世界としか言いようが無い。
製作のジェリー・ブラッカイマーゴア・ヴァーヴィンスキー監督によるこのシリーズは、一応今回で打ち止めだというが、21世紀初頭に良くも悪くも強烈な印象を残したシリーズとして映画史に記憶されるだろう。

「深海の悪霊」デヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の心臓を収めた「デッドマンズ・チェスト」を手にいれた英国海軍のベケット卿(トム・ホランダー)は、ジョーンズとその配下の幽霊船フライング・ダッチマンを支配する事に成功する。
海賊を滅亡させて世界の海を支配することを目論むベケットは、海賊たちを次々に処刑してゆき、いまや自由の海は風前の灯となる。
海賊たちに残された最後の道は伝説の9人の海賊長たちが結集し、力を合わせて戦うこと。
その9人の海賊長の一人であるジャック・スパロー(ジョニー・デップ)を探すエリザベス(キーラ・ナイトレイ)とウィル(オーランド・ブルーム)は、死者の世界から蘇ったバルボッサ船長(ジェフリー・ラッシュ)と共に、世界の果てが記された海図を持つというシンガポールの海賊長サオ・フェン(チョウ・ユンファ)の元を訪れるのだが、そこにも英国海軍の手は伸びていた・・・


はっきり言ってダメダメな映画である。
特にお話のデタラメさはますます酷くなり、多くの登場人物が裏切りあってあっちに付いたりこっちに付いたり、終いには誰が味方で誰が敵なのか、そもそも裏切ることで何がどうなるのかも判らない有様だ(笑
これは、書いているうちに脚本家自身も判らなくなっちゃってるんじゃないの、などと馬鹿な想像してしまうほど混乱している。
映画の根っこであり、土台となるのは脚本である。
もし映画学校の脚本のクラスで、これを提出したら赤点確実
これだけ酷い脚本を映像化して、普通ならまともな映画になるわけは無い。
いや、確かに「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」は、理屈で評価すれば脚本の通りかなり酷い映画なのだ。

にもかかわらず・・・・なんだこの楽しさは。
このダメダメな映画で、私は実に幸福な時間を過ごしてしまった。
なぜなら、私がこの作品に期待し、予想した物をそのまま、いや予想以上にスケールアップしてみせてくれているからだ。
良く考えると、前作で既に破綻を楽しんでしまった私は、この作品に「映画」というよりも「パイレーツ・オブ・カリビアン」の世界を期待して観に来たのであって、この作品は完璧にそれに答えている。
勿論、それは三部作という時間をかけて、観客の意識の中に作ってきた世界観のイメージがあるからこそ成立するのであって、いきなりこのノリで映画を作られたら白けるだけだろう。
実際、物語的には第一作が一番普通の映画としてまとまっていて、回をおうごとに破綻の度合いが増している。
それでも強烈なキャラクターと世界観の魅力、そしてまさに釣瓶打ちというべき見せ場の連続で見せ切ってしまう。
欠点がモロ判りなのにも拘らず、満足してしまうのだから、やはり映画というのは理屈だけでは量れない物だなあと思わされる。
驚きを伴う派手な見せ場で一気に客の興味を惹きつけ、その余韻が収まらないうちに予想外の次の見せ場を用意して行くというのは、なるほど映画というよりもテーマパークの楽しさに近い。
この映画の楽しさは、物語という流れのある線の上ではなく、シリーズが作り上げた世界観という面の上に散りばめられているのかも知れない。

もっとも物語の整合性という点では劣悪と言ってもいい脚本ながら、実は何にも考えていない訳では決して無い。
それが良く判るのは、この映画の最大の魅力であるキャラクターのバランスで、おそらくシリーズ中で一番キャラ立ちしている。
前作では人気のジャック・スパローに振り過ぎていてバランスが少し崩れていたが、今回は、ジャック、ウィル、エリザベスの三人がほぼ均等に目立つように軌道修正。
さらに二時間五十分という長大な上映時間を生かして、バルボッサ船長や靴ひものビルといったサブキャラクターたちにも十分な活躍の機会を与えている。
見せ場とキャラクターはセットで良く考えられており、このあたりを見ると、物語の破綻はあえて放置したのかもしれないとさえ思えてくる。
ジャックを演じるジョニー・デップは相変わらずノリノリで、今回は「マルコビッチの穴」状態のシュールなギャグで笑わせ、彼が切望したというキース・リチャーズ(何気に似ている)との共演も楽しい。
キーラ・ナイトレイ演じるエリザベスは、前二作では物語の中に何とか居場所を見つけているという感じで影の薄いキャラクターだったが、今回は堂々の主役と言ってよい。
彼女がクローズアップされた事で、対となるオーランド・ブルーム演じるウィルの存在感も必然的に強まり、大団円に向けてバランスを整えてゆく。
もっともチョウ・ユンファの様に、良く判らないまま終わってしまう割を喰ったキャラクターもいるのだが。
正直言って、テッド・エリオットとテリー・ロッシオの脚本は、丁寧なんだか雑なんだか良く判らない(笑

「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」は、まるで大海を行く海賊の生き様のように、ハチャメチャで自由な作品だ。
あくまでも、三部作の結果としてのみ成立する作品だが、これほどハリウッド映画らしく、同時にハリウッド映画の法則から脱線した映画も珍しい。
決して万人が同じように好意的に受け取るとは思えないが、とりあえずこのシリーズの1より2の方が好きという人にはお勧めだ。
劇場を出る頃には、ハンス・ジマーのテーマ曲を口ずさみ、都会の人海が冒険の大海原に見えてくるだろう。
それと絶対、ディズニーランドに行きたくなる(笑

鑑賞後は今回もラム。
カリブ海のグアドループ産の長期熟成ラム、「ダモワゾーラム」の15年もの。
原料のサトウキビから直接ジュースを搾り取る、アグリコールという製法で作られたお酒は香りは柔らかく、味はまろやか。
南国の陽気な太陽の下で、酔っ払ってひっくりかえったら、海賊ならずとも最高だろう。
メジャー大作の仮面の下に、アングラ魂とアナーキーさを隠し持つ「海賊映画」に乾杯!

・・・ところで、エリザベス的には十年に一日で良いのか?(笑

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