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2007年06月12日 (火) | 編集 |
ウルヴァリンVSバットマン。
若き異才、クリストファー・ノーランが二大アメコミヒーロー俳優を主役に迎え、二人の天才マジシャンの交錯する運命の皮肉を描いた「プレステージ」は、良くも悪くもノーランらしいひねりの効いた佳作と言える。
何しろミステリーだと思って観に行ったら、SFだったのだから(笑
※映画のラストに触れていますよ
19世紀末のロンドン。
新進の奇術師アンジャー(ヒュー・ジャックマン)は、脱出トリックの失敗でアシスタントだった愛する妻を亡くす。
その原因を作ったのがライバルの奇術師ボーデン(クリスチャン・ベール)だと考えた彼は、ボーデンの舞台を失敗させて復讐する。
一方のボーデンも、自分を憎悪しことごとく邪魔をするアンジャーに対して、憎しみの感情を抱いていく。
ボーデンの編み出した瞬間移動のトリックが解けないアンジャーは、愛人のオリヴィア(スカーレット・ヨハンソン)をスパイとしてボーデンの元に送り込むのだが・・・・
凝った構造の作劇である。
クリストファー・ノーランの作劇は、いつも何かしら特徴があるが、今回は二人の日記を軸にした回想形式だ。
映画は、アンジャーの瞬間移動マジックが失敗し、舞台下に置かれていた水槽でアンジャーが死亡、彼とライバル関係にあったボーデンが、水槽を移動してアンジャーを殺害した容疑で逮捕されるところから始まる。
彼らは長年憎しみ合うライバル関係にあり、互いにマジックのタネを探り合う中だったのだ。
獄中のボーデンは、アンジャーの日記を入手して、彼のマジックの秘密を探ろうとするのだが、それ以前にアンジャーもまたボーデンの日記を手に入れて、彼のタネを探ろうとしている。
要するに、この作品はまるで合わせ鏡のように似た者同士である二人のマジシャンが、互いの秘密を探りあい、出し抜こうとする騙し合いで構成されている。
同時に彼ら二人のキャラクターの違いが、反作用となって物語を動かしてゆくという寸法だ。
ボーデンの小さな自尊心が、アンジャーの妻の命を奪い、そこから紡がれて行く愛憎入り混じった二人の歴史はなかなか面白い。
冒頭でアンジャーの死とボーデンの逮捕を先に見せているので、物語がどう転んであのような結末に行き着くのかという興味も加わり、飽きさせない。
もちろん、冒頭の事件が本当に物語の結末なのかという興味も含めてだが。
マジシャンはある意味で嘘が商売であり、いったい何が本当で何が嘘なのか、そもそも彼らの人生に真実が存在するのかという問いも含め、ノーランの複雑なプロットは観客と作り手の間にヴァーチャルな掛け合いを楽しませる。
作り手の問いにこちらが答えを考え、また作り手がそれをひねって問い掛けるという様な感覚だ。
一方通行の映画が多い中、画面の向こうから観客にコンゲームを仕掛けるようなノーランの個性は貴重である。
この映画の前半は、まるでよく出来た推理小説を読んだ時の様に、知的好奇心を擽って小気味良い。
しかし、映画が提示するであろう結末を想像しているうちに、物語はとんでもない方向転換をするのである。
テスラコイルの発明で知られる実在のマッドサイエンティスト、ニコラ・テスラの登場と共に、マジックにまつわるミステリー映画は突然SF映画になってしまうのだ。
これではマジックの仕掛けもへったくれも無い。
これを壮大な飛躍ととるか、大いなる破綻ととるかで、この映画の評価は180度変わるだろう。
見方によっては、物語纏める事を放棄したととれなくも無いのだから。
個人的には、この突拍子もない物語の展開もまたノーランの仕掛けであると、これは好意的に評価したい。
マジックの秘密にまつわるミステリー的興味は霧散したが、逆に物語の象徴性や寓話性がクリアになったことも確かであると思う。
脚本家・監督クリストファー・ノーランは、観客との対話を楽しみつつ、物語る者としてもしっかりした仕事をしている。
もっとも、予告編や広告でしつこく告知されている、どんでん返しに関しては大した驚きも感動も無かった。
これはこの映画だけに限らないのだが、最後の最後まで観客を騙そうと思ったら、もっと不親切にならなければ。
一言で言えばファロン怪しすぎ(笑
正直言って、このラストはかなり前から読めてしまうので、タネのわかっているマジックと同じで、最後はその確認をしているという印象だった。
ただ、マジックに使う鳥の巣箱と死体の入った水槽を重ね合わせたビジュアルイメージはなかなかに秀逸で、決してラストが悪い訳ではない。
良く考えられた、見応えのある作品である。
今回はマジックつながりで、「マジック・トレース」をチョイス。
バーボンを36ml、ドランブイを24ml、それにベルモット、オレンジジュース、レモンジュースをティースプーン1杯づつ。
これらの材料をシェイクして完成。
バーボンの濃厚なコクと柑橘類の酸味が、頭を使う映画の後にぴったりだ。
「プレステージ」を観ると、こんなお酒を飲みながら、クローズアップマジックでも鑑賞したくなる。
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若き異才、クリストファー・ノーランが二大アメコミヒーロー俳優を主役に迎え、二人の天才マジシャンの交錯する運命の皮肉を描いた「プレステージ」は、良くも悪くもノーランらしいひねりの効いた佳作と言える。
何しろミステリーだと思って観に行ったら、SFだったのだから(笑
※映画のラストに触れていますよ
19世紀末のロンドン。
新進の奇術師アンジャー(ヒュー・ジャックマン)は、脱出トリックの失敗でアシスタントだった愛する妻を亡くす。
その原因を作ったのがライバルの奇術師ボーデン(クリスチャン・ベール)だと考えた彼は、ボーデンの舞台を失敗させて復讐する。
一方のボーデンも、自分を憎悪しことごとく邪魔をするアンジャーに対して、憎しみの感情を抱いていく。
ボーデンの編み出した瞬間移動のトリックが解けないアンジャーは、愛人のオリヴィア(スカーレット・ヨハンソン)をスパイとしてボーデンの元に送り込むのだが・・・・
凝った構造の作劇である。
クリストファー・ノーランの作劇は、いつも何かしら特徴があるが、今回は二人の日記を軸にした回想形式だ。
映画は、アンジャーの瞬間移動マジックが失敗し、舞台下に置かれていた水槽でアンジャーが死亡、彼とライバル関係にあったボーデンが、水槽を移動してアンジャーを殺害した容疑で逮捕されるところから始まる。
彼らは長年憎しみ合うライバル関係にあり、互いにマジックのタネを探り合う中だったのだ。
獄中のボーデンは、アンジャーの日記を入手して、彼のマジックの秘密を探ろうとするのだが、それ以前にアンジャーもまたボーデンの日記を手に入れて、彼のタネを探ろうとしている。
要するに、この作品はまるで合わせ鏡のように似た者同士である二人のマジシャンが、互いの秘密を探りあい、出し抜こうとする騙し合いで構成されている。
同時に彼ら二人のキャラクターの違いが、反作用となって物語を動かしてゆくという寸法だ。
ボーデンの小さな自尊心が、アンジャーの妻の命を奪い、そこから紡がれて行く愛憎入り混じった二人の歴史はなかなか面白い。
冒頭でアンジャーの死とボーデンの逮捕を先に見せているので、物語がどう転んであのような結末に行き着くのかという興味も加わり、飽きさせない。
もちろん、冒頭の事件が本当に物語の結末なのかという興味も含めてだが。
マジシャンはある意味で嘘が商売であり、いったい何が本当で何が嘘なのか、そもそも彼らの人生に真実が存在するのかという問いも含め、ノーランの複雑なプロットは観客と作り手の間にヴァーチャルな掛け合いを楽しませる。
作り手の問いにこちらが答えを考え、また作り手がそれをひねって問い掛けるという様な感覚だ。
一方通行の映画が多い中、画面の向こうから観客にコンゲームを仕掛けるようなノーランの個性は貴重である。
この映画の前半は、まるでよく出来た推理小説を読んだ時の様に、知的好奇心を擽って小気味良い。
しかし、映画が提示するであろう結末を想像しているうちに、物語はとんでもない方向転換をするのである。
テスラコイルの発明で知られる実在のマッドサイエンティスト、ニコラ・テスラの登場と共に、マジックにまつわるミステリー映画は突然SF映画になってしまうのだ。
これではマジックの仕掛けもへったくれも無い。
これを壮大な飛躍ととるか、大いなる破綻ととるかで、この映画の評価は180度変わるだろう。
見方によっては、物語纏める事を放棄したととれなくも無いのだから。
個人的には、この突拍子もない物語の展開もまたノーランの仕掛けであると、これは好意的に評価したい。
マジックの秘密にまつわるミステリー的興味は霧散したが、逆に物語の象徴性や寓話性がクリアになったことも確かであると思う。
脚本家・監督クリストファー・ノーランは、観客との対話を楽しみつつ、物語る者としてもしっかりした仕事をしている。
もっとも、予告編や広告でしつこく告知されている、どんでん返しに関しては大した驚きも感動も無かった。
これはこの映画だけに限らないのだが、最後の最後まで観客を騙そうと思ったら、もっと不親切にならなければ。
一言で言えばファロン怪しすぎ(笑
正直言って、このラストはかなり前から読めてしまうので、タネのわかっているマジックと同じで、最後はその確認をしているという印象だった。
ただ、マジックに使う鳥の巣箱と死体の入った水槽を重ね合わせたビジュアルイメージはなかなかに秀逸で、決してラストが悪い訳ではない。
良く考えられた、見応えのある作品である。
今回はマジックつながりで、「マジック・トレース」をチョイス。
バーボンを36ml、ドランブイを24ml、それにベルモット、オレンジジュース、レモンジュースをティースプーン1杯づつ。
これらの材料をシェイクして完成。
バーボンの濃厚なコクと柑橘類の酸味が、頭を使う映画の後にぴったりだ。
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