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転校生 さよならあなた・・・・・評価額1400円
2007年07月10日 (火) | 編集 |
大林宣彦が故郷尾道を舞台に、山中亘の児童小説「おれがあいつであいつがおれで」を原作とした「転校生」を撮ってから、今年で四半世紀。
当時の映画では珍しいジュブナイルファンタジーで、映画版「A MOVIE」とテレビ編集版「A TELEVISION」を同時に作り、映画館の封切りとテレビ放映をほぼ同時に行うなど、興行形態までアヴァンギャルドな一作で、大林マニアと呼ばれるファン層を作り出した秀作だった。
その大林自身が、2007年の今になって「転校生」をセルフリメイクするという。
サイレントとトーキーで「十戒」を二度作ったセシル・B・デミル、パイロット版から含めると、徐々に予算を増やしながら「死霊のはらわた」を四回も作ったサム・ライミ。
映画監督が自作をリメイクする理由は色々あるだろうが、今回極めて高い完成度を持つ「転校生」という作品をリメイクする理由ははたして?

※ネタバレ注意!

離婚した母と共に尾道から母の故郷、長野へ転校してきた斉藤一夫(森田直幸)は、高校で幼馴染の斉藤一美(蓮佛美沙子)と再会する。
再開した二人は思い出の場所である聖地「さびしらの水場」を見に行くのだが、柄杓で水を飲もうとして二人ともバランスを崩して水中に転落してしまう。
ようやく水から上がったとき、二人の体には驚くべきことが起こっていた。
何と一夫と一美の心と体が入れ替わってしまったのだ。
慣れない異性の体に戸惑いながら、二人はそれぞれの家で奇妙な新生活を送りはじめるのだが・・・・


み、観難い・・・・
何しろ画面がずっと傾いているのである。
90年代以降の大林映画にしばしばみられる、異様に早口で芝居の間を見せない演技・編集も相俟って、旧作と同じ「A MOVIE」のタイトルからこの映画の世界に慣れるまでのしばらくの間は、なんだかスクリーンから拒絶されているかのような違和感を味わう事になる。
しかもそれに何の意図があるのか良く判らないので、観ている方としては戸惑うしかない。
あえて言えば大林宣彦の世界への通過儀礼みたいなものであろうか。
物語は尾道から長野へ舞台を移しているが、旧作とほぼ同じ展開。
主人公が尾道からの転校生であるという設定など、随所に旧作を連想させる味付けがしてあるのは、オールドファンに一定の感慨を抱かせる。
しかし、変な画作りはともかくとして、映画の印象としてはあえてリメイクをするほどではないなあ・・・・と思っていたら、映画はいきなり方向転換
まるでフェリーニか、クストリッツァか、はたまた寺山かという幻想の世界のなかで、命を賭した逃避行を描いてゆく。
いや、これはやはり大林宣彦の世界としか言いようが無いのだろう。

旧作の「転校生」は、斉藤一夫と斉藤一美の人生が、思春期の一時期だけ交錯し、やがて二人は少しだけ成長して元の体に戻り、それぞれの人生を歩んでゆく。
したがって物語はそこで閉じている
対して、「さよならあなた」というサブタイトルがついているリメイク版「転校生」では、二人は肉体的には元に戻るものの、一美の死によって精神的には永遠に一つとなる。
「おれ」でも「あいつ」でもない「あなた」へのさようなら。
物語の結末における主人公は、冒頭の主人公と同じではなく、「あなた」との別離の結果生まれたある意味で新しい人格だ。
ここでは、物語は閉じていない

「転校生 さよならあなた」は大林宣彦版の「ビッグフィッシュ」とも言うべき作品だ。
この映画で描かれるのは、「物語」そのもの。
エンディングのやや過剰とも思える説明の字幕にもあるように、旧作の「転校生」をその一部に取り込んで、受け継ぎ再生してゆくことで、永遠に終わらない「物語」を象徴している作品なのだ。
一夫と一美は肉体を取り替えたのではなく、あの瞬間互いを取り込んで一体となった。
一つの映画には終わりの時間があるように、一つの肉体にも終わりがある。
しかし、その生命の物語は受け取った者の血となり肉となり、語り告がれることで永遠となる
大林はあえて自作をリメイクする事で、物語の永遠性そのものを描写しようとしたのだろう。

そう考えると、えらく特徴的でしばし観難さすら感じさせる画作りも、全くリアリティのない登場人物の造形も、酷く強引であり得ない展開すら、これはこれでアリだと思えてくる。
何しろこれは大林宣彦の「物語」なのだから。
一人の映画作家の脳内で展開し、映画として観客に問いかけられているこの物語に、どんな意味を感じ取るのか、あるいは自らの中に物語を受け取るか否かは受け手次第だ。
正直言って、一本の映画として観たら旧作の方があらゆる点で完成度が高く、出来は良い。
ただ、この作品は旧作をダシにして、全く違ったテーマを描いた作品なので、比較そのものに意味が無いだろう。
「転校生 さよならあなた」は、四半世紀前に作られた旧作を内包する新しい解釈の作品であり、映画作家大林宣彦の物語論という点で、極めてユニークで印象深い作品である。

今回は長野の地酒、「真澄 七號」をチョイス。
映画の通り、長野県は豊かな水に恵まれた酒どころ。
豊かな果実香を持つ、すっきりとして滑らかな喉ごしのお酒。
思春期に、旧作を見た世代としては、感じるのはやはりノスタルジー。
優しい日本酒を飲みながら、自らの物語を思い出すのも良いだろう。

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