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プロヴァンスの贈りもの・・・・・評価額1500円
2007年08月11日 (土) | 編集 |
恋とワインと人生と。
映画史に残る傑作、「グラディエーター」の監督・主演コンビによる久々の新作「プロヴァンスの贈りもの」は、前作とは打って変わった大人のロマンチックコメディ。
南仏プロヴァンスを舞台に、テンポの良いウィットに富んだ会話と、過剰なくらい魅力的に描写される、フランスのハートランドでのスローライフが心地よい。

ロンドンのシティーで働く敏腕トレーダー、マックス・ミリオン(ラッセル・クロウ)は、ある日フランスのプロヴァンスに住んでいたおじのヘンリー(アルバート・フィニー)が亡くなったという知らせを受ける。
少年時代のマックスは毎年夏になると、シャトーの主だったヘンリーを訪ねていたのだが、大人になってからはすっかり疎遠になっていた。
シャトーを相続する事になったマックスは、出来るだけ高値で売却しようと、十数年ぶりにプロヴァンスを訪れる。
主を失ったシャトーで過ごすうちに、マックスの中で徐々にヘンリーに教えられた人生の哲学が蘇ってくる。
そして、彼の前にプロヴァンスのレストランで働く、ファニー(マリオン・コティヤール)と、ヘンリーの隠し子だというクリスティ(アビー・コーニッシュ)という二人の女性が現れた事で、マックスの人生は大きく変わってゆく・・・・


物語のキーとなるヘンリーおじさんを、アルバート・フィニーが演じているからだろうか、どことなくティム・バートン監督の「ビッグ・フィッシュ」を思い出してしまった。
マックスの少年時代を「チャーリーとチョコレート工場」のフレディ・ハイモアが演じている事もあり、キャラクターはバートンの映画を思わせる。
「ビッグ・フィッシュ」では、ホラ吹きオヤジの人生を息子がたどる事で、彼の人生の真実の姿が見えてくるが、「プロヴァンスの贈りもの」では、仕事人間のマックスがユーモラスなおじさんと過ごした少年時代の思い出をたどる事で、真に豊かな人生の哲学を学び取る。
キャラクターはそれぞれの役割に非常に解りやすく色分けされ、ある種の寓話的登場人物として機能している。
ピーター・メイルの創造した物語は、豊潤なプロヴァンスを流れる風のように、さわやかでよどみが無い。
観客は、撮影監督フィリップ・ル・スールの切り取った、素晴しく美しい風景の中で繰り広げられる恋と人生の優しい物語を心地よく楽しむ事が出来るだろう。

ただし、別の見方をすればキャラクターはステロタイプで深みが無く、ヘンリーの人生を象徴するプロヴァンスを過剰に美化していると言えなくも無い。
英国人であるメイルは、プロヴァンスの人と自然に引かれてこの地に移住、ベストセラーとなった「南仏プロヴァンスの12ヶ月」は記憶に新しい。
リドリー・スコットもまた、この地に別荘としてシャトーを所有しているという。
この映画は言わば、英国の広告業界という戦場で生きていた二人のクリエイターが、自らの安らぎの場としてのプロヴァンスを見つける過程を、そのまんま寓話にして描いた自伝なのかもしれない。
プロヴァンスを愛するが故に、その世界は逆に現実感の薄い理想郷となっている。
もちろん、私はプロヴァンスに住んだことは無いから、もしかしらた本当に映画のような理想郷なのかもしれないが、サムライオタクのエドワード・ズィックが理想化された日本を描いた「ラスト・サムライ」に感じた気恥ずかしさと同様な感傷を、この映画からは少し感じた。
フランス人の感想が聞いてみたいものである。

自らの人生を思い入れたっぷりに描いたからか、この映画はある意味でとてもマニアック
人生を象徴するワインは勿論、映画に登場する物やキャラクターにも、作り手が密かに込めた象徴性を見ることが出来る。
ワイン醸造者のデュフロの飼い犬が「タチ」というのは、劇中のデートのシーンで、寓話的休暇を描いたジャック・タチ監督の名作「ぼくの伯父さんの休暇」が映し出される事で、先人に対するオマージュとわかる。
また土地っ子のファニーの愛車が、フランスの古きよき時代を思わせるルノー・キャトルで、よそ者であるマックスが乗って来るのが、独仏スイスの合作であり、21世紀の統合ヨーロッパを象徴するスマートなのは、この二人の体現する異なる価値観を、さりげなく描写している。
他にも、英国人のマックスとアメリカ人のクリスティと言ったアングロサクソン系登場人物と、フランス人たちの細かい台詞の応酬による意地の張り合いも楽しい。
この映画は全編にわたって、こうした小ネタが散りばめられていて、全部を理解するには相当な雑学が必要で、観に行くならヘンリーおじさんみたいな趣味人と行った方が良いかもしれない。
もっとも、そんな事は知らなくても十分楽しめるし、逆にこれら象徴性の強調は、一面では映画のステロタイプ化を強めてしまっているとも言えるのだが。

「プロヴァンスからの贈りもの」は、仕事人間が恋とワインによって人生の真実を再発見する過程を描いた、軽妙な寓話である。
画面に映し出される数々の「美しいもの」を観ているだけでも、画面にさりげなく隠された「楽しいもの」を見つけるだけでも、十分に楽しめるが、反面あまりにも話が出来すぎていて、心の奥底までは今ひとつ迫ってこない。
本物の人生を取り戻したはずのマックスにしたところで、シティーでの仕事人間な生活も十分エネルギッシュでイキイキしていたじゃないか、という突っ込みも出来てしまう。
だがいずれにしても、猛暑の日本からひと時離れて、南仏の心地よい風に吹かれる映画的時間は、誰にとっても気分の良いものだと思う。
夏向きの映画だ。

この映画をワインに例えるならば、フルボディな赤というよりは、軽やかで涼を感じさせるロゼ
という訳で、今回はプロヴァンスからドメーヌ・タンピエの「バンドール・ロゼ」をチョイス。
美しい桜色で、桃やバラを思わせる繊細な果実香、僅かに苦味を残したドライなフィニッシュまで、日本人の感性には訴える物がある。
真夏の赤も悪くは無いけど、やはりこの高温多湿な夏に素直に飲んで美味しいのは白かロゼだと思う。
美味なる映画とワインがあれば、夏の夜も十分心地良い。

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