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ミス・ポター・・・・・評価額1600円
2007年09月23日 (日) | 編集 |
「Potterさん」と言っても、眼鏡を掛けた魔法使いの少年ではない。
英国の児童文学者で画家、というよりは世界一有名なウサギ、ピーター・ラビットの生みの親として知られるビアトリクス・ポターの半生を描いた「ミス・ポター」は、彼女の紡いだ物語の様に、優しく穏やかな佳作。
子供の頃に彼女の作品に親しんだ人なら、きっと心の琴線に触れるところがあるだろう。

ヴィクトリア朝時代が終わり新世紀が始まったものの、まだまだ封建社会のムードが色濃く残る1902年のロンドン。
上流階級の娘に生まれたビアトリクス・ポター(レネ・ゼルウィガー)は、絵本作家になる夢を追って、自作を出版社に持ち込む日々を送っていた。
それは子供のころからの彼女の「友達」、ピーター・ラビットを主人公とした物語。
ある日、ウォーン兄弟の経営する出版社を訪れたビアトリクスは、編集者ノーマン・ウォーン(ユアン・マクレガー)と運命の出会いをする。
ビアトリクスの才能を見抜いたノーマンは、早速「ピーター・ラビットのおはなし」を出版し、たちまちベストセラーとなる。
やがてビアトリクスとノーマンは愛し合うようになるが、労働を蔑むビアトリクスの両親は、身分違いの結婚を許さなかった・・・


色々な意味で非常に丁寧に作られた作品であるけれど、所謂伝記映画として観ると、物足りなさを感じるかもしれない。
92分というコンパクトな上映時間からも分かるように、ビアトリックス・ポターという人物の人生全てを描こうとした作品ではないのだ。
女性の児童文学者として果たしたパイオニア的役割もナショナルトラスト運動への大きな貢献も、非常にあっさりとしか描かれないし、作りようによっては幾らでも抑揚をつけて盛り上げられる、ノーマン・ウォーンとの恋の顛末すらあっけないくらいにシンプルに描かれる。

「べイブ」以来11年ぶりの監督作品となるクリス・ヌーナンの演出も、極めて抑制が効いていて全体に淡々としており、物語の抑揚はあえて抑えられていることもあっ、て「ドラマチック」という言葉を感じる所はあまり無い。
ただ物語の起承転結は極めて明確で、それが主人公の感情の流れと密接に結びついているので、ヴィアトリックスの心情はとても素直に観るものの心に流れ込んでくる。
思いっきり人生に後ろ向きの両親に育てられ、子供時代に第二の故郷である湖水地方で過ごした思い出を、大切に内面で育てて物語を創造にするような、どちらかと言えば内行的な性格の女性として描かれるビアトリクスが、作家としての成功により自信を得て、また一つの恋の物語を初めから終わりまでを経験する事で、物質的にも精神的にも自立してゆく。
これは、封建時代の空気が残る20世紀初頭という時代を生きた一人の女性が、彼女の人生のステージに登場する様々な人々に影響されながら、ゆっくりと、しかし確実に自らの生き方を確立してゆく物語なのだ。
その意味で、この作品は極めて私小説的な方法論で作られており、タイトルが未婚女性を表す「ミス・ポター」なのも、物語の内容を考えると実に象徴的。
このゆったりとした物語の流れを、抑揚がなくて退屈と受け取るか、大人のセンスと受け取るかで、この作品の評価は大きく変わってくるだろう。

タイトルロールのビアトリクス・ポターを演じるレネ・ゼルウィガーが素晴しい。
彼女は、本作では主演とエグゼクティブ・プロデューサーを兼務するほど、思い入れたっぷりにビアトリクスを演じているが、しっかりと一世紀前の英国女性に見える。
その演技は表情から立ち振る舞い、絵画を描き出す指先まで神経が行き届き、優美さすら感じさせる。
そういえば彼女は出世作の「ブリジット・ジョーンズの日記」でも英国人の役をやっていたけど、これは天性の才能と丁寧な役作りが結実した、彼女のもう一つの代表作と言っても良いと思う。
ビアトリクスの人生を彩るバイブレイヤーたちも、でしゃばらず、薄すぎず、絶妙の存在感で物語を彩る。
ポターを人間的に成長させる悲恋の相手、ノーマン・ウォーン役のユアン・マクレガーはしっとりとした良い感じの英国紳士だし、ノーマンの妹で、ビアトリックスの親友となるミリー・ウォーンを演じるエミリー・ワトソンも、相変わらず変な目力で強い印象を残す。
そしてもちろん、出番は少ないものの、美しいアニメーションで描写されるピーター・ラビットやあひるのジマイマら、ビアトリックスの「友達」たちも命をもって動き出す。
彼らの「物語」を生み出す作家としての喜びが、控えめながらもしっかりと描写さているのもこの作品の深みになっている。

画作りも丁寧に、良い仕事をしている。
ビクトリア様式が残る100年前のロンドンのビジュアルも見事だが、何よりもビアトリクスが創造した様々な物語の故郷である、湖水地方の風景が美しい。
アンドリュー・ダンのカメラは、この地方の空気感を上手く写し取っているが、それは正にビアトリクスの紡いだ作品の世界そのもので、この風景を彩るナイジェル・ウェストレイクのスコア、ケイティ・メルアの主題歌も心地良い。

「ミス・ポター」は、湖水地方の草原を流れる風のような、控えめでゆったりとした、優しい映画だ。
日本とは全く違う風景なのに、どことなくこの映画の世界に郷愁を感じたとしたら、それは観る者の心のどこかに、ピーター・ラビットがまだ住んでいるからだろう。
作家の人生は作品の中に残るものだけど、もし彼女の作品が好きで、その背景にあるものを少しだけ知りたいと思った人は、観て損の無い映画だと思う。
この映画を観たら、ピーターやジマイマやロビンソンの事を、きっと今までよりも好きになる。

今回は、梅酒のチョーヤのHPでその名も「ピーター・ラビット」というカクテルが紹介されていたので、作ってみた。
梅酒30mlに、適量のダージリンティー、オレンジスライスを添えて完成。
多分、ダージリンティーを使っているあたりが、ピーター・ラビットなんだろうけど、確かに上品で優しいお味。
個人的にはダージリンティーが多めの方が、甘すぎず風味が立って美味しいと思う。
ダージリンティーは元々色々なお酒と相性が良いから、この組み合わせも納得だ。

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