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キングダム 見えざる敵・・・・・評価額1350円
2007年10月17日 (水) | 編集 |
アラビア半島に広がる広大な王国、サウジアラビア
そこは中東の親米国家にして、アメリカ向け原油の最大の輸出国。
同時に原理主義の影響が強いイスラム教国であり、オサマ・ビンラディンを初めとする多くの国際テロリストの母国でもある。
ピーター・バーグ監督の「キングダム 見えざる敵」は、この掴み所の無い不思議の王国に潜入したFBI捜査官たちが、異文化の壁にぶち当たりながらテロ事件の真相に迫る社会派サスペンス大作。
作品の志は高いが、仕上がりは少々中途半端な結果となった。

サウジアラビアにある外国人居住区で大規模なテロ事件が発生。
米国系石油会社の駐在員たちが犠牲となり、さらに救出活動中に第二のテロが起こったことから、100人以上が犠牲になる大惨事となる。
FBI捜査官フルーリー(ジェイミー・フォックス)は、爆発物専門家のサイクス(クリス・クーパー)、法医学者のメイズ(ジェニファー・ガーナー)、情報分析官レビット(ジェイソン・ベイトマン)らとスペシャルチームを組んでサウジアラビアに乗り込むが、そこに待っていたのはぶ厚いイスラム文化の壁だった・・・


オープニングが秀逸だ。
タイトルバックに、建国から現在に至るまでのサウジアラビアの歴史、石油利権やアメリカとの複雑な関係が、デザイン化された怒涛の映像として紹介され、観客の期待を煽る。
そして、サウジアラビアの外国人居住区で起こるおぞましいテロ。
背後に大物テロリストの存在を確信した、ジェイミー・フォックス扮するFBI捜査官は、外交ルートから恐喝技までを駆使してサウジに捜査チームを送り込む。
しかし彼らは、閉鎖的な「キングダム」の政治と文化の壁に阻まれ、アメリカの常識の通用しない世界で予想以上に困難に直面する・・・あたりまでの展開はなかなか興味深く、期待を裏切らない。
ただし、それも事件の核心に迫るまでの話。
事件の全貌が一応の形を見せ始めると、映画はキングダムの奥底に潜むテロリズムの本質へのアプローチを放棄してしまう。
そこからの展開はぶっちゃけ普通のアクション映画だ。

ビーター・バーグ監督の演出はサスペンス・アクション映画としては水準以上、しかしテーマを追求しようとする姿勢は弱い。
バーグと脚本のマシュー・マイケル・カーナハンは、迷宮のキングダムで捜査している間に、これが何を描く映画なのかを忘れてしまった様だ。
テロリスト探しはスリリングだし、一刻を争う救出劇も手に汗握る。
しかし、テロを生み出す温床が何なのかという本質には、捜査チームは遂に迫ることは無いのである。
カーナハンの脚本はテロリスト組織へサウジ王族の資金が流れていること、そのサウジ王族をアメリカが庇護している事、サウジ国内での地域・部族対立など、この地域の混乱の要因をチラリチラリと物語に織り込んでいるが、それはあくまでもディテールに留まり、フルーリー捜査官らの追う映画の本筋には絡んでこない。
このあたりの政治的、民族的な暗部をあっさりスルーせずに物語に織り込んで欲しかった。
現状ではテーマと絡んで観客には迫ってこない。

キャストにもジェイミー・フォックス、ジェニファー・ガーナー、クリス・クーパーと芸達者を揃えているが、総じて印象は薄い。
物語の中で割り振られた役割を忠実に演じているだけで、正直なところ彼らのベストアクトとは言いかねる。
むしろ彼らの「バディ」となるサウジアラビア国家警察の捜査官、ファリス・アル・ガージー大佐を演じるパレスチナ人俳優、アシュラフ・バルフムが人間味溢れる演技でハリウッドスター達を喰ってしまい、強い印象を残す。

「キングダム 見えざる敵」は、例えば「ブラッド・ダイヤモンド」が社会的なテーマ性と娯楽性を高度な次元で融合させていたのに比べると、正直なところ薄っぺらな印象は拭えず、かなり喰い足りない。
サウジアラビアという(アメリカ人から見れば)エキゾチックで得体の知れない異郷で、困難に直面しながら頑張るアメリカ人を主人公とした普通のアクション映画になってしまっている。
ただ、この映画のラストは、おそらくイラク戦争が泥沼化する以前に作られたとしたら、違った物になっていただろう。
そう考えると、ここまで状況が混沌として、ようやくアメリカの視点に変化が出てきたとも言えるのかもしれないが、二時間を費やしてようやく描き出したのが「復讐の連鎖」止まりでは、9.11以降の世界を描いた秀作が多数作られている現在では、今更という感は否めない。
アラブの内部で起こった対欧米人テロというモチーフは興味深いし、アプローチの仕方によっては、もっとずっと深みのある作品に成り得たと思うと少し残念な仕上がりだ。
ただ、テーマの部分に目を瞑り、ハラハラドキドキするサスペンス・アクションだと考えれば、その部分での満足度はそれなりに高い。

今回は、アルコール厳禁の国の話なので、ちょっと反則技を。
アメリカの代表的なノン・アルコールビール、「テキサスセレクト」をチョイス。
まあノン・アルコールとは言っても、0.5%は含まれているので、厳格に考えればダメだろう。
私の知っている信心深いムスリムは、醸造の過程でアルコールが発生するので、醤油さえダメだと言っていた。
まあそこまで厳格な人は珍しいけど。
ちなみに私はノン・アルコールビールと知らずにこれを飲んで、何でこんなに酔えないのだろうと悩んだ事がある(笑

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