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ブレイブ ワン・・・・・評価額1400円
2007年11月03日 (土) | 編集 |
女タクシー・ドライバー。
ジョディ・フォスターが、アイルランドの鬼才ニール・ジョーダンと組んだ「ブレイブ ワン」は、1976年にフォスターが12歳の娼婦を演じてオスカーにノミネートされた、「タクシー・ドライバー」を思わせる。
あの作品でロバート・デ・ニーロが演じたトラビスは、急激に治安が悪化した70年代のニューヨークで、犯罪者処刑人として喝采を浴びた狂気のヒーローだったが、30年後に作られた「ブレイブ ワン」でフォスターが演じるのは、9.11テロ後の徹底的な治安対策で「世界で最も安全」になったはずのニューヨークで、恐怖と復讐を内包しながら暗躍する新種の処刑人だ。

NYでラジオのパーソナリティーをしているエリカ(ジョディ・フォスター)は、恋人のデビット(ナヴィーン・アンドリュース)との仲も順調で、幸せな日々を送っていた。
ところがある夜、散歩中に暴漢に襲われ、デビットは撲殺され、エリカも瀕死の重傷を負う。
数週間後に意識を取り戻したエリカだったが、デビットを失った喪失感と、事件への恐怖感から外出すらままならない精神状態になってしまう。
恐怖を封じ込めるために、不法に銃を手にしたエリカだったが、ある時偶然入ったマーケットで、銃撃事件に巻き込まれてしまい、犯人を射殺してしまう。
事件現場に駆けつけたマーサー刑事(テレンス・ハワード)は、犯人を殺して金に手をつけずに立ち去った第三の「男」に興味を覚えるのだが・・・


ニール・ジョーダンは、過去にも社会的アウトサイダーを好んで描いてきた映画作家だが、今回もエリカを通して現在のNY、そしてアメリカのメンタリティ表現しようとしている。
9.11テロの後、当時のルドルフ・ジュリアーニNY市長は、NYを「世界で最も安全な大都市」にすると公約した。
大幅な警察官の増員などを柱とした治安対策によって、実際にNYの犯罪発生率は減少しているのだが、この作品ははたして本当に安全になったのか、実は人々は恐怖から逃れられていないのではないか、と問いかける。
主人公エリカは、幸福の絶頂で暴力によって全てを奪われ、その恐怖の記憶から逃れるための抑止力として銃を手にするのだが、ある犯罪に巻き込まれた事をきっかけに、今度は法で裁けぬ犯罪者を抹殺する処刑人と化してゆく。
このあたりはおそらく意図的に「タクシー・ドライバー」を意識させる演出が成されており、エリカが性的倒錯者の車から売春婦を救出する下りなどは、30年前の作品でフォスター自らが演じた売春婦アイリスのエピソードを思い起こさせる。
ただ、「タクシー・ドライバー」のトラビスが、自分の存在を世間に認めさせるために私刑に走ったのに対して、エリカの行動のベースにあるのは「恐怖」だ。
恐怖に対抗するために、銃という力で武装し、対象を抹殺しようとしているその姿は、正しく9.11以降のアメリカの姿に重なる。
似たモチーフを選びながら、しっかりと時代性を作品に反映させているあたりは、秀逸と言っていい。

非合法の処刑人となったエリカと、表層的にはあくまでも法と理性の守護者であるマーサー刑事の関係を軸にした作品の構造は、現在アメリカの縮図としてもなかなか興味深い。
しかしながら、脚本にはご都合主義が目に付く。
エリカは暴漢に襲われた後も、「偶然」にも僅かの期間に何件もの犯罪に巻き込まれる。
幾らNYでもこれは出来すぎの設定だし、作為性を強く感じさせてしまう。
描きたいテーマは明確なのだが、そのために物語の流れがやや紋切り型になってしまっていて、複雑なエリカの心情を描く邪魔になってしまっている部分もある。
第一の事件はこの心理状態、第二の事件はこれ、第三の事件の時はこれ、と非常に段階的なので、心理状態は判っても、なぜそうなっていったのかという説得力には疑問がある。
話の流れにキャラクターの心理が引きずられている印象だ。
まあそれでも、彼女が徐々に処刑人としてのメンタリティに支配されてゆくプロセスは、しっかりとしたテーマ性がバックボーンにあるだけに、十分興味を惹きつける。

ところが、恋人を殺した犯人が検挙され、エリカに復讐のチャンスが巡ってくると、「タクシー・ドライバー」は突然チャールズ・ブロンソン主演の家族を殺された男のB級復讐譚「狼よさらば」になってしまうのだ。
もちろん、「狼よさらば」は傑作だし、それがいけない訳ではないのだが、それまでの物語のカラーからいきなり脱線してしまったような違和感があった。
復讐者エリカと処刑人エリカが今ひとつ噛合わない。
極めつけはラスト5分の展開で、マーサー刑事の唐突な行動などは、犯人じゃなくても「オイオイ、あんたそういうキャラじゃなかったやん!」と突っ込みたくなってしまった。
あれでは、作品のテーマとしてオチていない
これは本当にニール・ジョーダンの意図したラストなのだろうか。
どうも「ハリウッドの法則」を感じてしまったのだが・・・またハリウッド流に反発してアイルランドに帰ってしまうのじゃないだろうか。

「ブレイブ ワン」は恋人を暴漢に殺された一人の女性が、処刑人へと変貌してゆく様を描いた異色の社会派サスペンスだが、彼女の行動が内包する複雑なテーマを、十分に描ききっているとは言いかねる。
ジョディ・フォスターは熱演しているし、物語も興味深いものだが、肝心のクライマックスでB級ハリウッド映画に変身してしまうので、最後の最後でうっちゃりをかまされた気分だ。
総合的に観ればまずまずの作品だが、特にニール・ジョーダン作品として期待すると、今ひとつ満足度は低い。

今回は寝苦しい夜の悪夢のような映画なので、鑑賞後は爽やかに。
ニューヨーク発生のカクテル、「ロングアイランドアイスティー」をチョイス。
ジン15ml、ウォッカ15ml、ホワイトラム15ml、オレンジ・キュラソー 15ml、レモンジュース 30ml、シュガーシロップ1tsp、スパークリングミネラルウォーター適量を、クラッシュドアイスを入れたグラスに注いでステアする。
最後にスライスオレンジ飾って完成。
季節的には夏向きのカクテルだけど、濃い映画の鑑賞後の口直しにもちょうど良いだろう。

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