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グッド・シェパード・・・・・評価額1650円
2007年11月20日 (火) | 編集 |
マット・デイモンがCIAのエージェントを演じると言っても、出世したジェイソン・ボーンの話ではない。
ロバート・デ・ニーロ監督「グッド・シェパード」は、一人のエージェントの半生を通して、CIAの創成と、諜報という名のアメリカ裏社会の歴史を描いた、もう一つの「ゴッドファーザー」とでも言うべき骨太の大作だ。

1961年春。
亡命キューバ人たちによるカストロ政権転覆を目指したキューバ侵攻事件、所謂「ピッグス湾事件」が、支援したCIAからの情報漏えいが原因で失敗。
責任者の一人であるエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)の元に、情報源の物と思われる写真と一本の録音テープが送られてくる。
エドワードは、密かに証拠の解析を進め、組織内の裏切り者を探し始めるが、彼の脳裏には20年以上前に、CIAの前身であるOSSに身を投じた頃の思い出が蘇って来た・・・


タイトルの「グッド・シェパード」はCIAを指し、おそらく二つの意味がある。
一つ目はシェパード、つまり代表的な牧用犬の事であり、人民の忠実な僕としてのCIA。
もう一つは、元々の意味である羊飼い、牧師、あるいは統率者、つまり迷える子羊を導く「キリスト」に匹敵する力である。
映画の終盤で「CIAになぜtheがつかないのか。神にtheをつけないのと同じだ」という印象的な台詞がある。
つまり、CIAは一神教の神の如く、アンタッチャブルで神聖かつ強大な存在だということだ。

映画は、「ピッグス湾事件」が失敗し、組織内の裏切り者探しから始まる。
作戦の責任者の一人であるエドワードが組織内の裏切り者を探す物語に、彼のCIAエージェントとしての20余年間が回想形式で絡み合い、一人のエージェントと一つの組織が完成してゆく様を描いてゆく。
そこに描かれるのは、決して世間に知られる事の無い、裏の世界での信頼、友情、愛、そして裏切り

そう、お話の作り方は「ゴッドファーザー」そのまんま。
コッポラもエクゼクティブ・プロデューサーに名を連ねているし、デ・ニーロ監督は、師匠から学んだ大河ドラマの作劇・演出術を余すところ無く再現してなかなかに見事な仕上がりだ。
この作品のCIAの描き方は本国アメリカでも賛否があるようだが、徹底的に作りこまれた「時代」と、複雑に入り組んだキャラクターたちが繰り広げる愛憎劇は、少なくとも一本の映画としてはリアリティ十分で、正に「ゴッドファーザー番外編」とでも言うべき風格を備えている。

物語は若くしてCIA創設に関わったエドワードを中心に、幾つものエピソードがレイヤーのように重なりあい、対比を形作りながら繊細かつ重厚なアンサンブルを奏でている。
「フォレスト・ガンプ」「ミュンヘン」など、大河ドラマ系を得意とするエリック・ロスによる脚本は丁寧に作られていて、物語的な完成度は極めて高い。
ただ、組織人エドワードと家庭人エドワードの対比の部分はちょっと描写不足だ。
エドワードが組織と仕事に没頭して行く様は良く描かれているのだが、そもそも家庭で彼と対比を作り出す、アンジェリーナ・ジョリー演じる妻マーガレット(クローバー)の内面が殆ど描かれていないので、彼女の抱える葛藤があまり真に迫ってこない。
なんだか、突然出てきて突然怒っているように見えてしまうのだ。

思えば「ゴッドファーザー」も男たちのドラマだったが、ダイアン・キートンやタリア・シャイアといった女性陣も、出番は少ないながらも要所要所をキッチリと締めていた。
アンジェリーナ・ジョリーの出番自体は決して少なくないのだが、肝心の部分が描写されていないために、損をしている印象だ。
この家庭の不和はその後もずっと後を引くし、結果的に物語の核心部分にも繋がってゆくので、ここの描写不足はちょっと残念だ。

もっともその分、諜報と裏切りのサスペンスは見所たっぷり。
スパイ物がすっかり板に付いたマット・デイモンも、こういった大河ドラマは新境地と言えるかも知れない。
まあ童顔だから、1940年も1960年も同じに見えてしまうのはご愛嬌。
主人公のエドワード・ウィルソンは架空のキャラクターだが、彼を取り巻くCIAのリチャード・ヘイズやフィリップ・アレンといったモデルが誰か容易に推測できるキャラクターも含め、各国諜報機関のスパイたちは虚実取り混ぜており、それぞれ説得力のあるキャラクターになっている。
特に強い印象を残すのが、マイケル・ガンボン演じる英国諜報機関のフレデリックス教授。
スパイとしてのエドワードの師匠であり、エドワードに悲しみと非情の世界の住人である事の運命を強く印象付ける重要な役回りだった。
関係ないけど、マイケル・ガンボンといえばダンブルドア校長でもあり、先日J・K・ローリングスが「ダンブルドアはゲイ」という裏設定を明かしたのは、この映画を観て思いついたんじゃないの?と思ってしまった(笑

「グッド・シェパード」は久々に見応えのあるヘビー級の歴史大河ドラマであり、もう一つのアメリカ「裏」現代史として、「ゴッドファーザー」と比較して観るのも興味深い。
スパイサスペンス物としても良く出来ているが、作品の性格上あえて物語の事実関係をぼかしている部分も多く、登場人物が押並べて難しい顔をしたスーツ姿の男である事も含め、観客にはそれなりに集中力を要求する。
三時間近い上映時間だが、この手の作品が好きな観客には決して長くは感じないだろう。

肉汁の滴るサーロインステーキの様な重厚なドラマには、やはり血の様な赤を。
この作品で神にまで例えられるCIAだが、今回はそのキリスト教の修道院で醸造されていた酒をルーツに持つ「オーコートドニュイ レ ロンシエール」をチョイス。
複雑かつ上品な完成度の高いブルゴーニュで、キリスト教において神の血に例えられるワインは、ヘヴィな映画にも力負けする事はないだろう。

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