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ベオウルフ/呪われし勇者・・・・・評価額1600円
2007年12月07日 (金) | 編集 |
ロバート・ゼメキス監督「ベオウルフ/呪われし勇者」は、8世紀ごろに書かれた北欧を舞台とした英雄叙事詩の映画化。
一見すると実写だが、実は俳優の演技は全てパフォーマンスキャプチャと呼ばれる技術によってデータ化されており、完成した画面に映っているのは3DCGによるアニメーションである。
予告編を観た時に、その完成度に驚いた一方で、何でこんな手の込んだ事をしたのか疑問だったが、完成した作品を観て納得した。
なるほど、これほど物理の法則を無視したカメラワークを駆使するなら、いっその事フルCGの方が作りやすかったのかもしれない。

6世紀のデンマーク。
老いたフローズガール王(アンソニー・ホプキンス)の催す宴の最中に、醜く乱暴な巨人グレンデルが姿を現した。
王は、宴を破壊し家臣を虐殺したグレンデルを討伐する英雄を募った。
戦士ベオウルフ(レイ・ウィンストン)は、フロースガールの呼び掛けに応じ、荒海を乗り越えて参上し、激闘の末にグレンデルを倒す。
しかし息子を殺されたグレンデルの母親(アンジェリーナ・ジョリー)が、戦勝に沸く館を襲い、ベオウルフの部下を皆殺しにしてしまう。
復讐に燃えるベオウルフは、グレンデルの母の住む洞窟に向かうのだが・・・


俳優をキャプチャしてアニメーションに置き換えるという手法は、ゼメキスの前作である「ポーラー・エクスプレス」でも試みられていたが、この三年間の技術の進歩は凄まじく、これがコンピューターによって描かれたアニメーションなのだという事を忘れてしまうほどに見事な仕上がりだ。
リアル系CGが陥りがちな「不気味の谷」も、もはや95%くらいは超えていると言って良いだろう。
それでも注視すれば実写の俳優とは微妙な違い(あえて残したのかもしれない)があるのだが、この作品ではその違和感がある種の神話性に上手く繋がっている。

J・R・R・トールキンが「ベオウルフ」の研究者であり、彼の「指輪物語」がその強い影響を受けているのは有名な話だが、「指輪」を含めた最近書かれたファンタジーと比べ、「ベオウルフ」のキャラクター造形や作劇は遥かに神話に近い。
神話の英雄の例に漏れず、ベオウルフはどちらかと言うと自分勝手で高慢な英雄で、映画ではCGなのを良いことに、やたらと脱いでマッチョな肉体を誇示したがるという変なキャラクターになっている。
決して現在の観客が積極的に感情移入して応援したくなる対象ではない。

脚本のニール・ゲイマンとロジャー・エイバリーは、このキャラクター造形をあえて現代的にすることをせず、物語も神話性を損なうことなく巧みに脚色している。
元の話は、巨人グレンデルとの戦いを描いた前半と、それから突然数十年間時間が飛んで、老いたベオウルフとドラゴンとの戦いを描いた後半に分かれていて、それぞれの戦いに明確な関連性は無い。
映画はこの構成を踏襲しつつ、圧倒的な力を持ちながら、魔物に魅入られた英雄の悲劇が、実は世代を超えて繰り返されているというアイディアを持ち込み、物語に見事に一本の芯を通した。
ベオウルフが常人には理解できないくらいの奇天烈な英雄でも、魔に魅入られる弱さは人間そのものであり、自らが招き入れた過酷な運命を、老境になって贖わざるを得ないという悲劇性は、神話的であり寓話的だが、普遍的な説得力を持っており、結果的に不思議な風格を映画に与えている。

物語の舞台となる6世紀の北欧は、キリスト教が進出し、古の魔物や神々が次第に衰退してゆく時代。
またそれは同時に英雄の時代の終わりでもある。
映画のラストで、ベオウルフが葬られるのが、原作と違って海であるのは、海からやってきた英雄を海に返す事で、この物語の神話としての永続性を強調したのであろう。
ゲイマンとエイバリーの一歩引いた視点での脚色は、ファタジー映画というよりも、一編の古典叙事詩を鑑賞したという感慨を観客に与える事に成功していると思う。

ゼメキスは、この古典のベースに現代のアイディアが入った物語を、デジタル技術で存分に描いてみせる。
限りなくリアルだが、決して現実ではない世界を、物理法則を全く無視したカメラが縦横無尽に駆け巡る。
このリアルとファンタジーの狭間に存在する神話的な世界に、CGキャラクターの持つほんの僅かな違和感が、不思議なマッチングを見せるのである。

よく比較される「300 スリーハンドレッド」が、その技術的な背景も含めて限りなくアニメーション的なアプローチで作られた実写作品だとすれば、「ベオウルフ」は実写的な要素を内包したアニメーションと言える。
考え方は真逆だが、共にほんの十年前には不可能だった表現を駆使してデジタル時代の新たな可能性をトライした作品と言えるだろうが、どちらも現実とは僅かにずれた世界観を持ち、極めて叙事詩的というか、壮麗な絵巻物を見るような感覚があるのは面白い。
思うにロバート・ゼメキスは「フォレストガンプ」でデジタルの持つ無限の可能性に目覚めたのだろう。
「ポーラー・エクスプレス」の時は、よく出来ている事は認めつつも、これなら実写でも良かったんじゃないかなと思ったが、ここまで来るとこれはこれで一つの独創的な表現手法だと認めざるを得ない。
ゼメキスの次回作はあの「クリスマスキャロル」だそうで、ジム・キャリーがスクルージと三人のゴーストを演じるという。
勿論、キャリーの肉体がスクリーンに露出することは無い。
独創のアニメーション監督、ロバート・ゼメキスがどこへ行こうとしているのか、なかなかに目が離せなくなってきた。

今回は物語の舞台となったデンマークから「アクアヴィット」をチョイス。
ジャガイモから作られる蒸留酒で、かなりきつい。
テキーラグラスのような小さなグラスで一気飲みし、カッカとほてった喉をビールで冷ますのがデンマーク流。
悪酔いしそうだが、こんな程度で酔っていては北国の英雄にはなれない。
しかし、この飲み合わせは何となく韓国の爆弾酒を連想させるのだけど・・・(笑

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