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XX エクスクロス 魔境伝説・・・・・評価額1200円
2007年12月12日 (水) | 編集 |
観る前はホラーだと思っていたのだけど、こりゃアクションコメディ?
ケータイ小説のベストセラーを、深作健太が映画化した「XX エクスクロス 魔境伝説」は、山奥の村に伝わる人身御供の奇祭というホラー然とした設定を使いながら、まるで70年代の香港映画の様な、デタラメなサービス精神が詰まった大バカアクションが展開するという、今年の邦画でも群を抜いて珍妙な一本だ。

女子大生のしより(松下奈緒)は、親友の愛子(鈴木亜美)に誘われて、山奥にあるひなびた温泉地、阿鹿里村(あしかりむら)を訪れる。
彼氏の浮気で傷ついたしよりにとっては傷心旅行だったが、この村の住人はどこか奇妙で、しよりは不安を募らせる。
露天風呂に愛子を残して、一人で宿に戻ったしよりは、前の客が残していったと思われる携帯電話が鳴っているのを見つける。
「そこからすぐに逃げるんだ。足を切られるぞ!」
電話の男は、しよりにそう告げるのだったが・・・・


故深作欣ニ監督「バトルロワイヤルⅡ」の撮影時に死去した時、その後を引き継ぐ形で監督デビューしたのが息子である本作の深作健太監督。
しかしながらそのデビュー作は、ラジー賞級の散々な出来栄えで、一本目にしてダメ監督のレッテルを貼られてしまった。
世に親子監督はそれほど珍しくないが、これほど酷いデビュー作は、イタリア恐怖映画の巨匠マリオ・バーバを父に持ちながら、Z級ホラーばかりを連発する息子のランベルト・バーバ以来だったのじゃなかろうか。
実際「バトルロワイヤルⅡ」は、褒めるべきところの殆ど無い酷い代物だったが、昨年の「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」を経て今回の「エクスクロス 魔境伝説」までくると、深作健太の演出にもある種のスタイル(?)が確立されてきているのが面白い。

深作父は、B級プログラムピクチャーから文芸大作までこなす器用な演出家だったが、息子は言ってみれば父親の持つ最もB級なセンスだけを抽出して、エスカレートさせたような大バカ映画作家になりつつある。
それも例えば堤幸彦の「大帝の剣」あたりが、露骨に狙ってバカ映画を作ろうとしているのに比べて、深作健太はどちらかと言うと、大真面目に娯楽映画を作ろうとして、結果的にバカ映画になってしまっているフシがある。
本作の場合、山奥の秘境に人知れず恐るべき人身御供の儀式が残っているという、設定だけ考えれば、例えば英国の孤島に残る奇祭を描いた70年代の名作カルトシネマ「ウィッカーマン」の様な渋い作品にすることも出来ただろう。
が、実際に出来上がったものはホラーとアクションとコメディをごちゃ混ぜにして、勢いだけで見せ切るような豪快な一本だ。

物語は、奇妙な因習に囚われた村を舞台に、不気味な村人たちから人身御供に捧げられそうになる松下奈緒の逃亡劇と、鈴木亜美と彼女を追ってきた恋敵らしい小沢真珠演じる謎のハサミ女の延々続くバトルアクションが中心となり、そこに村の秘密や二人を村に誘い込んだ黒幕探しが絡む。
面白いのは松下奈緒の逃亡劇と、鈴木亜美vs小沢真珠の戦いは同じ時間軸の中で視点を変えた別々の物語として描かれている事で、この二つの物語を一つにまとめるキーアイテムとして携帯電話が効果的に使われている。
一つの事件を視点を変えて描くと言うのは、まるでイーストウッドの硫黄島二部作の様だが、まさかあの高尚な映画の作劇がこんなバカ映画で応用されているとは、流石のイーストウッドでも想像がつかないだろう。

もっともイーストウッドを連想させるのは作品の構造だけで、物語はあきれるほどに荒唐無稽だし、キャラクター造形はギャグそのものだ。
村まで直通の車道があるのに、主人公たちがわざわざ車からロープウェーに乗り換えていたり、ひなびた村のくせにやたらと豪華なバンガローが並んでいたり、ご都合主義もはなはだしいし、そもそもあんな不気味な村が観光で成り立つ訳がない(笑
もっともそんなのは序の口で、村の秘密とは全く関係なく登場する、ハサミ女の小沢真珠のキャラクターなんて完全に頭のネジが飛んでしまっているし、大体あのバーニングなハサミはどこから持ってきたんだ(笑
ハサミ女と因縁の対決をする鈴木亜美も、最初は逃げ回っているのに、突如としてアクションに目覚め、「死霊のはらわた」のブルース・キャンベルよろしく、「偶然」置いてあったチェンソーでハサミ女と戦うのだ。
いやはや、これはもう物語を追うのではなく、その場その場でのぶっ飛んだ展開を楽しむ作品なのだろう。

この作品の原作は未読だが、私はケータイ小説というのは、従来の文学とは似て非なる物だと思っている。
私がいくつか読んだ物に共通するのは、見事なまでの物語の整合性への拘りの無さと、次から次へという矢継ぎ早な展開である。
おそらくそれは、同じ読むという作業でも、一冊の本のページを捲る事で展開する従来の活字小説と、ごく小さな液晶画面をスクロールするケータイ小説の、スタイルの違いから来るものだろう。
故にケータイで読んでいる時は面白くても、塊として活字の本になって読むと、ほぼ例外なく話のアラが目立ってつまらない。
しかし、ひたすら展開だけに頼った作劇というのは、考えてみれば娯楽映画の原初の姿でもあり、案外ケータイ小説と映画の相性は悪くないのではないかとも思える。
この映画の整合性などまるで無視して、次に何が起こるかの面白さだけに振った作劇は、ある意味でエンターテイメントとして潔い。

「XX エクスクロス 魔境伝説」には血も凍る様な恐怖はないし、アドレナリンが沸騰する様な見事なアクションも無い。
ただ、イーストウッドもどきの凝った構成と、次に何が起こるのか全く予測できない、良くも悪くもぶっ飛んだ展開はそれなりに楽しく、1時間半の間飽きる事は無いだろう。
積極的に評価したい作品ではないが、暇つぶしに観るならこれはこれでという感じだ。

今回は、深作父の故郷茨城から「一人娘 吟醸さやか」をチョイス。
鬼怒川に面した常総市で八代続く老舗の酒蔵。
日本酒度は+5とそれほど辛口ではないが、やわらかい膨らみとキレのある喉越しを併せ持つ、爽やかなお酒。
映画とは対照的に洗練された味だ。

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