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紀元前1万年・・・・・評価額1200円
2008年03月24日 (月) | 編集 |
「紀元前1万年」というタイトルから想像した作品と、全く違っていた。
有史以前の人類の世界をリアルに再現した作品と言うと、ジャン・ジャック・アノーが1981年に発表した「人類創世」が印象深い。
失われた「火」を求めて、原始人の三人の若者が旅をする冒険映画だったが、一切の現代の言語を使わず、映画のために創作された原始語だけで表現された意欲作だった。
今回の「紀元前1万年」も、二十一世紀の映像テクノロジーを駆使して、原始の人類をリアルに再現した作品なのかと思ったが、そこはやっぱりローランド・エメリッヒ
これは決してナショナルジオグラフィック的な作品ではなくて、SFファンタジー映画ファンにはとても懐かしいタイプの、しかしある意味で生まれる時代を間違った様な石器時代ファンタジーだ。
まあ実にエメリッヒらしい作品で、予告編で何故かピラミッドが出てきたあたりで、こっちも気づけばよかったんだけど(笑

原始の世界。
寒冷地に住む若者デレー(スティーヴン・ストレイト)は、幼い時に父親が失踪し、部族の中でも孤独な存在。
だが、神秘的な青い目を持つエバレット(カミーラ・ベル)とはお互いに愛し合っていた。
ある朝、馬に乗った謎の集団に村が襲われ、多くの仲間が連れ去られてしまう。
その中にはエバレットもいた。
難を逃れたデレーは、父の友だったティク・ティク(クリフ・カーティス)と、母を殺されたカレン(モー・ジナル)と共に、誰も超えたことの無い大山脈を越えて、連れ去られたエバレットたちのあとを追う。
そこには見た事のない大ジャングル、不毛の砂漠、そして恐るべき超古代文明が存在していた・・・


映画の中で舞台が何処なのか明確な説明は無いが、主人公の男女はどう見てもヨーロッパ人種だし、物語の流れから言っても、ヨーロッパからアフリカにかけてが舞台となっていると容易に推察できる。
この映画を簡単に表現すれば、ヨーロッパからやって来た英雄が、謎のピラミッド文明に抑圧されるアフリカのヘタレな民衆を率いて立ち上がり、遂に開放するというお話である。
そう、これはエメリッヒのハリウッドにおける出世作である「スターゲイト」のプロットを、多少変形させて紀元前一万年の世界に移し変えた物だ。
またまた敵役がピラミッド文明なのは、元ネタの「スターゲイト」のアイディア自体が、旧約聖書の出エジプト記あたりにヒントを得た話だからなのだろうが、まあ実に白人至上主義的な寓話である。
「スターゲイト」の時はアメリカ軍というアイコンがあったので、単にアメリカ万歳映画にも見えたのだが、紀元前一万年の世界ともなると現在の国家は勿論、現代的な意味での民族すら存在しない訳で、よけいに人種の色分けが目立つ。

まあエメリッヒの場合、あまりにも能天気過ぎて、悪意が感じられないのが救いではあるのだが。
この人の映画は、とりあえずエイリアンの襲撃とか、天変地異とか、ハッタリの効いた壮大なホラ話をでっち上げて、後はひたすらスケールの大きな映像で見せる。
ぶっちゃけ、エメリッヒの映画はいつもただそれだけで、今回もそれは変わらない。
「紀元前1万年」というタイトルから連想するビジュアルはとりあえず詰め込まれており、壮大な自然描写はそれなりに見所になっているし、VFXを駆使したアクションシーンもまずまずの出来ばえだ。

ただ、スケールの大きさイコール大味なのは相変わらずで、特に考証は無茶苦茶である。
この時代にはとっくに絶滅しているはずの恐鳥類が、「ジュラシック・パーク」のヴェロキラプトルそっくりのやり方で人間を狩り立てたり、アメリカ大陸の動物であるはずのスミロドンがなぜかアフリカの砂漠地帯に生息していたり、15世紀以前には旧大陸に存在しなかった唐辛子がもう栽培されていたりと、動植物のリアリティ全く無視なのは、まあハリウッド的サービス精神として許せるとしても、いくらなんでも騎馬民族が登場しちゃうのはどうよ(笑
そして勿論、極めつけは紀元前1万年に超古代文明がピラミッドを作っていることだろう。
しかもこの文明には皇帝と僧侶しかおらず、市民の姿が全く描かれないのである。
まるでヤクザと情婦しかいない、東映仁侠映画の街の様だ。
要するにこの映画に描かれる紀元前1万年の世界とは、主人公たちが英語を喋っている事も含めて、懐かしのハマープロの「恐竜100万年」あたりと同じく、完全なファンタジーなのである。

しかしファンタジーとしては、これは生まれる時代を間違った作品かもしれない。
数十年前ならいざ知らず、科学知識が一通り一般の人々にも行き渡った現代において、人々は作品世界にのめり込むより先に、映画のウソに突っ込みを入れるだろう。
そうならないためには、突っ込まれないくらいリアルに作るか、開き直ったくらいのウソ話のどちらかにしてしまえば良いのだろうが、その点でこの映画は少々中途半端で、真面目にやるのかオバカに徹するのか、方向性があまり明確ではない。
どうせ考証などはなっから正確にやろうなんて思ってないだろうし、物語も主人公が予言に導かれていたり、スミロドンが味方になったりと、超自然的な要素がテンコ盛りなのだからもうちょっと開き直って、ピラミッド文明が小型恐竜を飼いならしているくらいやっちゃった方が面白かったのではないか。
そもそもこれって、恐鳥からピラミッドまで、時代に直せば紀元前6000万年から紀元前2600年頃までを無理やり一つの世界に押し込めてしまっているのだから、「紀元前1万年」なんて明言しなければよかったのに(笑

ビジュアルは確かに雄大で迫力があるものの、捉え方に工夫をしてるわけでもなく、物語全体としては最初から最後まで予定調和を崩すこともなく一本調子なため、正直なところ中ダレがけっこう激しくて、旅の描写は退屈だ。
原始動物も、スミロドンにマンモスと、後は詳細不明の恐鳥くらいしか出てこないので、「ジュラシック・パーク」的な「絶滅動物園」ムービーとしても不満が残る。
まあ、お金のかかった映画なのは見た目にも判るし、マンモス集団のスタンピードなどはさすがに観たことの無い映像なので、それなりに見応えはあるが、全体にまとまりが無くチグハグさを感じてしまう一作だ。

映画とは関係ないが、今年の二月にデンマークの学者が興味深い研究結果を発表している。
それによると、現在世界中にいる青い目を持つ人々は、約一万年前に現れた共通の先祖から枝分かれしているというのだ。
青い目の少女が重要な役回りの本作、撮影時期から言っても、エメリッヒがこの説を元にしているとは考えられないが、ちょっと面白い映画と現実の符号ではないだろうか。

今回は、古代人も飲んだ?人類の知る最古のお酒、ミード。
ドイツの「ドクター・ディムース ハニーワイン・ミード」をチョイス。
冷やしても美味しいが、暖めても良いのがミードの良いところ。
所謂ナイト・キャップにも向いている。
人類がいつミード作り始めたのかは定かではないが、恐らく最初は熊などに壊された蜂の巣に雨水がたまり、自然に醗酵した物を偶然誰かが飲んだのだろうといわれている。
狩人であった、この映画の登場人物がミードを飲んでいてもおかしくない訳だ。

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自家製ミード作りのキットもある


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