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モンゴル・・・・・評価額1550円
2008年04月09日 (水) | 編集 |
ヘビー級の歴史絵巻。
セルゲイ・ボドロフ監督「モンゴル」は十二世紀から十三世紀にかけて、人類史上空前絶後の大帝国を築いたチンギス・ハーンの半生を描いた大作である。
シリーズ化が予定されているらしく、この作品では妻ボルテと出会った少年時代から、若き日のライバルであるジャムカとの決戦までの二十数年間が、史実と神話的な要素を取り混ぜて描かれる。

十二世紀のモンゴル平原。
九歳の少年テムジン、後のチンギス・ハーン(浅野忠信)は、部族の有力者であった父に連れられて嫁探しのために母方の部族につれて来られる。
そこで聡明な少女ボルテ(クーラン・チュラン)と出会い、五年後の結婚の約束をする。
しかしその後父が急死して一族は瓦解、テムジンは仇敵によって命を狙われる身となる。
流浪の最中に彼を助けたのが、盟友(アンダ)となるジャムカ(スー・ホンレイ)だった。
苦難の末に成人したテムジンは、ようやくボルテを妻として迎え入れ、幸せな生活を始めるが、今度はメルキト族によってボルテが連れ去れてしまう。
ジャムカの加勢を得たテムジンは、メルキトとの合戦に勝利しボルテを奪還するが、この時兵を公平に扱うテムジンに魅了されたジャムカの部下が、主をテムジンに変えた事から、テムジンとジャムカの間に小さな亀裂が入る。
やがてそれはテムジンとジャムカの一族を超えて、モンゴル平原全体を揺るがす抗争に発展してゆく・・・


チンギス・ハーンの伝記映画というと、日本でも去年「蒼き狼 地果て海尽きるまで」という作品があったが、正直なところかなりアレな出来ばえであった。
モンゴル人が日本語を喋っているあたりは、ハリウッド映画を考えればそれほど問題にもならないと思うが、何だか映画全体が芝居がかっていて、コスプレショーに見えてしまったのは辛かった。
対して「モンゴル」は、ちゃんと800年前の世界に見える。
同じ題材を扱っても、作り手のセンスでこれほどの差が出来てしまうという好例だろう。
この二作に共通しているのは、チンギス・ハーンの物語であるという事と、主人公を演じているのが日本人の俳優だという事だ。
日本映画の「蒼き狼」の主役が日本人なのはともかく、ドイツ・カザフスタン・ロシア・モンゴルの合作映画である本作で、チンギス・ハーンを演じるのが浅野忠信なのは、日本映画で織田信長をモンゴル人が演じる様な物で、ある意味でとても不思議だ。
もっとも浅野テムジンは、モンゴル語の発音などは判断できないものの、内面の芯の強さとナイーブさを併せ持つ、800年前の心優しい英雄を自然に演じ、少なくとも日本人の我々には違和感は無い。
むしろライバルのジャムカを演じるスー・ホンレイの方が、マッチョな肉体とヘアスタイルのせいもあって、今風の雰囲気だ。
ただ、これはテムジンとのキャラクターの対比にもなっているので、意図されたキャラクター造形だと思う。
主人公を演じるのは日本人、ライバルは中国人、ヒロインはモンゴル人、そして監督はロシア人という多国籍軍のような布陣を考えると、この映画自体がバラバラだったモンゴル平原を平定したテムジンの様に、汎アジア的な才能の結集を図る意図があったのかもしれない。
そういえば昔、ジョン・ウェインがテムジンを演じた「征服者」という無理やりな映画もあった。さすがにアレは酷かったけど・・・

監督のセルゲイ・ボドロフは、「モスクワ・天使のいない夜」「コーカサスの虜」などで知られる現代ロシアの巨匠だが、スケールの大きな、しかし大味に陥らない丁寧な演出で物語を引っ張る。
とにかくエピソードの多い人物だから、脚本は非常に難しかったと思うが、物語の起点に妻ボルテとの出会いを置き、彼女との絆を物語の芯においたのは成功していると思う。
大平原の雄大な風景の中、騎馬軍団同士の合戦シーンも見所で、実写とCGを上手く使い分けなかなかに迫力がある。
アクションシーンのカット割りが最近流行の細切れの映像ではなく、しっかりと何が起こっているのかを見せてくれるので、古典的なチャンバラの面白さがあるのも良い。
脚本も演出も、良い意味で風格のある伝統的なスタイルである。
惜しむらくは前半に対して後半がやや駆け足な事で、特に一度ジャムカに敗れて虜囚にまで辱められ、たった一人になってしまったテムジンが、巨大な軍団を作り上げるまでの数年間がナレーションだけで片付けられてしまったのは少々残念だ。
120分という、この手の歴史物にしては短めの上映時間が後30分延びても良いから、この下りは描いて欲しかった。
またチンギス・ハーン伝説の神話的な要素を強調する様に、物語の節々に超自然的な現象が織り交ぜられているのだが、どちらかというとリアリズム志向の映画のタッチに必ずしもマッチしておらず、話を論理的に説明するのを端折られてしまった様に感じてしまう。
史実に伝説を取り混ぜるのは良いと思うが、その表現方法は一考の余地ありではなかっただろうか。

「モンゴル」は、チンギス・ハーンという歴史と神話の両方の領域に存在する巨大な偶像を正面から描き、一定の成功を収めている力作だ。
それにしても、映画のテムジンの人生は周り中敵だらけ。
私を含めて、今時の日本の男ならこんな環境では直ぐに死んじまうだろうなあと思うが、まるで品物の様に奪い奪われる女性はもっと大変だ。
まあそんな状況に苦しめられつつ、徐々に変革者としての信念を育ててゆくテムジンのキャラクターはよく描けていると思う。
劇中で印象的な台詞に「モンゴル人は○○だ、だが俺は違う」という物がある。
○○の部分は所謂既成概念であり、それにとらわれず信ずる我が道を行くというテムジンの信念を表している。
はたして、続編でこの後のテムジンがどう描かれて行くのか、世界帝国を築いた英雄、大虐殺を行った非情な征服者、あるいはその両面が描かれるのか、どちらにしても興味深い作品になりそうだ。

今回は、蒼き狼チンギス・ハーンにちなんで、米焼酎「天の狼 創世記」をチョイス。
天の狼とは中国で天上でもっとも明るく輝くシリウスの事。
丁寧に作られた蒸留酒ならではのきりりとした風味と、シンプルで深い味わいを持つ。
度数42°というホンモノのスピリットだ。
ヘビーな映画の後には、このぐらい本格的な酒が飲みたくなる。



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