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大いなる陰謀・・・・・評価額1350円
2008年04月22日 (火) | 編集 |
今年はアメリカ大統領選が行われる年。
言い換えれば二期八年のブッシュ政権の総決算がされる年でもある。
ロバート・レッドフォード監督「大いなる陰謀」は、ブッシュ政権の負の遺産とも言うべき対テロ戦争を題材に、三つの物語を重層的に絡ませることによって、アメリカが今直面する本当の危機を浮き上がらせようとした意欲作である。

ワシントンDC、午前10時。
権力への野望を抱くアーヴィング上院議員(トム・クルーズ)は、ベテラン記者のロス(メリル・ストリーブ)に、アフガニスタンでの対テロ戦争の戦況を劇的に転換させる、新戦略について熱弁をふるっていた。
ロスは、アーヴィングの言葉の裏に不穏な臭いを感じ取り、彼の言葉に隠された真実を読み取ろうとしていた。
同じ頃、アフガニスタンの山岳地帯では、アーヴィングの仕掛けた作戦によって二人の若い兵士アーネスト(マイケル・ベーニャ)とフィンチ(デレク・ルーク)が危機に陥っていた。
そしてロスの大学では、苦渋の思いで二人の教え子を戦場へ送り出した大学教授(ロバート・レッドフォード)が、目標を見失った一人の学生を呼び出して信念を語ろうとしていた・・・


特異な映画である。
アフガニスタンでの戦争に纏わる三つの物語が、ほぼ実際の上映時間と同じ1時間35分の時間軸の中にリアルタイムで描かれ、明確な結論に向かう物語構造は持たない。
「踊る大捜査線」風に言えば事件は会議室、あるいは現場で起きている。
「会議室」がワシントン、「現場」がアフガニスタン、そしてそこで起こっている戦争という事件の意味を、ベトナム帰還兵のレッドフォード教授のいるロスの大学での会話が一歩引いた視点で考えさせる。
そう、これはレッドフォード教授のポリティカルサイエンス講座であり、観客は受講生だ。
ワシントンとアフガニスタンの物語が浮かび上がらせる対テロ戦争の本質を考え、「君はどうすべきなのか?」と問いかける。
映画は、教授との会話で深い葛藤を抱えた学生の、苦悩する表情のアップで終わるが、この表情こそ、レッドフォードが観客に期待した物だろう。

この映画は、明らかに民主党よりのリベラル派の視点を感じるが、同時に断定的なプロパガンダになることは慎重に避けている。
民主党大統領候補の予備選の争点の一つにもなっていたが、開戦当時にイラク戦争へ賛同したリベラル派の責任、政府と共に若者を戦場へ送るキャンペーンを張りながら、その事を忘れた様にブッシュバッシングに転じたジャーナリスト達といった事実もフォローされている。
見るからに権力欲に溺れたネオコン然としたアーヴィングの主張にも、一定の正論はあるし、観客という学生たちがレッドフォード教授からの課題を考えるのには、比較的公平な材料がそろっていると言えるだろう。
もっとも最終的には、アメリカの現状に対して大いなる憂いを感じさせる作品であることは間違いなく、その意味でこの作品は明確な政治映画であることは一目瞭然なのだが。

この映画を通して、観客にアメリカの行く末を自分自身の生き方の問題として捉えさせると言う作品の意図は判る。
しかし、それが映画として上手く機能しているかというと、正直なところ疑問だ。
ワシントンの政治家とジャーナリスト、アフガニスタンの兵士、そしてそこからテーマを浮かび上がらせるためのロスの大学教授と生徒。
作品のロジックが余りにも型にはまりすぎていて、言いたいことは良くわかるが心に響いてこない。
まるで本当に、大学でポリティカルサイエンスの講座を受講している様な気分になってしまうのだ。
力のある作家は、言いたいテーマが明確にあればあるほど、凝ったロジックで訴えたくなって、結果作品が妙に説教臭くなってしまう
それをいかに映画的に語るかが作品の成否の鍵なのだが、レッドフォードはあれほど詩情あふれる作品を作っている人なのに、この作品に関していえば、ロジックの魔力から逃れられていない。
まあこのテーマは、作り手からしてそれだけ考え込んでしまう題材なのかもしれないが、日々伝えられる世界の現実はこの映画で語られるよりもずっと広く複雑で、映画そのものが箱庭的に見えてしまうのは作品のあり方として余り幸福とは言えまい。

この映画は、本国では大コケ。
その理由は明確で、わざわざ政治的な映画を観に映画館へ足を運ぶ層は、この映画に描かれているテーマはとっくに自分の中で考えているからだ。
またそうでない人々を惹きつけるには、映画のスタイルがあまりにも硬すぎる。
政治に無関心な人は、あからさまな政治映画など最初から観に行かないのである。
本国でもそんな感じだから、正直なところ日本人にとって内容との距離感は更に遠い。
まあ大物スターがそろっての熱演は見ものだし、語り口は丁寧でよく考えられているので決して飽きることは無いと思う。
アメリカ人の政治的なメンタリティに興味がある人なら、観て損は無いだろう。

原題は「Lions for Lambs」で、これは劇中の説明によれば、第一次大戦中にイギリス軍兵士の勇敢さと、指揮官の無能さを見たドイツの将軍が「この様な愚鈍な羊たちに率いられた、勇敢なライオンを私は見たたことが無い」と皮肉たっぷりに語ったことから取られているという。
で、今回はライオンならぬマーライオンの国から(笑)、「シンガポール・スリング」をチョイス。
ドライ・ジン45ml、レモンジュース20ml、砂糖1tsをシェイク、氷を入れたタンブラーに注ぎ、ソーダでわってステアする。
そこにチェリー・ブランデー15mlを加えて、お好みでチェリーやパインといったフルーツを添えて完成。
ミスマッチの様だが、余りにも生真面目な映画の後に生真面目な酒は辛い。
このくらい華やかな酒で、気分をほぐしたい。

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