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ナルニア国物語~第2章:カスピアン王子の角笛~・・・・・評価額1500円
2008年05月26日 (月) | 編集 |
C・S・ルイス原作「ナルニア国物語」のシリーズ第二弾。
2006年に公開された「第1章:ライオンと魔女」に続く「第2章:カスピアン王子の角笛」は、前作から1300年後のナルニアを舞台に、侵略者である人間の王国とナルニアの戦いを描く。
子供たちの成長と共にビジュアルは大幅にグレードアップし、物語もぐっと大人の関心が持てる物になった。

ナルニア暦2303年。
ナルニアが人間の王国テルマールに征服されてから、長い歳月が流れ、言葉を話す動物や妖精たちといったナルニア人たちは深い森の中に隠れて細々と暮らしていた。
おりしも、テルマールでは、亡き王の一人息子であるカスピアン王子(ベン・バーンズ)暗殺を狙う叔父のミラース卿(セルジオ・カステリット)の陰謀によってお家騒動が勃発し、カスピアン王子はナルニアの森の奥深くに逃亡する。
追っ手に追われたカスピアンは、そこで古の王を呼び戻すと言う角笛を吹き鳴らす。
それは1300年の昔、ナルニアの黄金時代を築いた四人の王、ピーター(ウィリアム・モーズリー)、スーザン(アナ・ポップルウェル)、エドマンド(スキャンダー・ケインズ)、ルーシィ(ジョージー・ヘンリー)のペベンシー四兄妹を再びナルニアに召還する事になるのだが・・・


「ナルニア国物語」は優れた児童文学であり、年少の子供でも物語が理解できるように、元々ストーリーラインはとてもシンプルだ。
だが映画化にあたっては、そのシンプル過ぎる物語が仇となり、前作「第1章:ライオンと魔女」では、映像的には迫力があって楽しめるものの、話が単純な割に無駄に長くて中身が無いという、あまり芳しくない結果となってしまった。
今回の「第2章:カスピアン王子の角笛」では、王位継承権をめぐるお家騒動が物語の中心に座り、征服者と被征服者の軋轢といった生々しい要素が織り込まれて、大人も興味がもてる内容になっており、物語の脚色としてもよく出来ている。

アンドリュー・アダムソンの演出も、二作目ともなるとこなれてきて、売り物の戦闘シーンはますます派手になり、地形や建物の構造をいかしたテルマール軍VSナルニア軍の合戦や、ピーターとミラースの一対一の決闘は見ごたえ十分。
一作目の敵役であった白い魔女の再登場の使い方、見せ方も上手い。
子供たちは、劇中では一年だが、現実には制作期間が二年半開いているのでかなり成長著しい。
タイトルロールのカスピアン王子は、原作よりも年齢をあげているにも関わらず、行動やメンタリティは原作と同じなのでかなり頼りないが、前作の経験値を生かしたペベンシー兄妹はそれぞれの個性を生かして活躍し、特にスーザンはレゴラスばりの弓の腕を披露し、かなり唐突ながらカスピアン王子とのロマンスまで描かれ、主役と言っても良い存在感だ。
もっとも最終的に危機を救うのは、やはり「たのもしのきみ」ことルーシィで、最年少だっただけに、一番見た目で成長を感じるキャラクターにもなっている。

では、私がこの作品を心底楽しめたのかというと、そうでもないのだ。
前作で指摘した幾つかの欠点は、ほぼそのまま引き継がれてしまっている。
ニュージーランドのロケーション中心の世界観は、異世界というには明るすぎ、リアルすぎてファンタジーの深遠を感じない。
また物語がリアルになればなるほど、子供が戦場で戦う痛々しさは増幅するばかりだ。
だが、「ナルニア国物語」に共通する最大の難点は、やはり感情移入の対象がいない事だろう。
物語の内容が王位継承にまつわるドロドロしたお家騒動だったり、ある種の民族対立だったりと、非常に生々しく大人っぽい反面、メインとなる登場人物に大人はいない。
「LOTR」では王となる運命に葛藤を抱えるアラゴルンは勿論、小人であるホビットのフロドも中身は十分大人であり、大人が感情移入する対象には事欠かなかった。
対照的にナルニアの世界では、悪役ミラース卿を始めろくな大人が出てこないし、善玉は妖精か喋る動物か子供ばかり。
大人は、この世界に身の置き所が無くて、ある程度引いて観るしかないのがこのシリーズの辛いところなのだ。

しかし、観ているうちに「ナルニア国物語」はこれで良いのではないかと思えてきた。
ナルニアというのは言わば子供が大人の役割を要求される国
役割は大人でも中身は子供、だから大人にとっては彼らの行動はもどかしく、素直な感情移入の対象にはなりにくい。
カスピアン王子はいかにも優柔不断で王に相応しくなく思えるし、前回の経験値である程度王者らしい風格を持つピーターにしても、やはり大人のふりをした子供には違いない。
だが、別の言い方をすれば、それは物語が「子供だまし」では無いと言う事でもある。

英国の児童文学には、人には誰でも果たすべき役割があり、それを見つけ、成し遂げるために人は成長するということを強調したものが多い。
物語を通して主君としての責任を負ったピーターにしてもカスピアンにしても、試練が過酷であればあるほど成長は著しい。
ナルニアは、子供たちが成長するステージとしての装置なのだ。
だからこそ、ラストのアスランの台詞の様に、物語を通じて十分に成長したピーターとスーザンは、もはや現実世界での果たすべき役割を見つけられるだけ成熟したので、もはやナルニアを必要としないし、ナルニアにも居場所は無い。
純粋に大人が鑑賞する一本の映画として観るなら、未だに多くの欠点を持った本作だが、原作と同じベクトルを持った、キリスト教精神を伝えるための児童映画として観れば、これはこれで良いのだと思う。
本来、大人はお呼びでない世界なのだから。

子供たちの成長は早い。
ピーターとスーザンはナルニアの冒険から卒業し、残る二人も恐らくあと一作が限界だろう。
もっとも原作でもペベンシー兄妹が活躍するのも、次の「第3章:朝びらき丸 東の海へ」で終わりなので、丁度良いタイミングで映画を作っているとも言える。
次回作に期待したい。

今回はイギリスのお隣、アイルランドを代表するビールであり、三世紀を超える歴史を持つギネスベースのカクテル「ギネス・カシス」をチョイス。
ちなみにギネス社は現在はイギリスの酒造会社と合弁し、本社はロンドンに置かれている。
ギネス・スタウトをジョッキに注ぎ、クレーム・ド・カシスを1tspを加え、軽くステアして完成。
適度な甘さと口当たりのよさが特徴だが、カシスを入れすぎるとしつこくなるので注意。
酒器はやはりパブっぽくジョッキを選びたい。
ギネスはカクテルのベースとしても優れたお酒で、シャンパンで割ったり、爆弾酒にしたりと様々な飲み方が楽しめる。

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