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デトロイト・メタル・シティ・・・・・評価額1500円
2008年08月24日 (日) | 編集 |
クラウザーさん、ナイスです! 
「デトロイト・メタル・シティ」は、気弱なミュージシャン志望の青年が、本人の意思とは関係なく、デスメタルのカリスマに祭り上げられてしまうという、若杉公徳原作の人気漫画の映画化。
邦画、洋画問わず、娯楽映画にもヘヴィーなテーマを盛り込んだ作品が多い今年の夏休みにあって、貴重な超オバカコメディだ。
マニアックな音楽を扱った作品ということで、二の足を踏む人もいそうだが、物語は実に判りやすく、強烈に立ったキャラクターのおかしさは、原作読者でなくても十分楽しめる。

オシャレ系ミュージシャンを目指して上京した根岸崇一(松山ケンイチ)は、事務所の方針で悪魔系デスメタルバンド、デトロイト・メタル・シティのボーカル、ヨハネ・クラウザー二世として売り出されてしまう。
図らずも、本人も気づかなかったメタルの才能を開花させた崇一は、一躍インディーズシーンのカリスマとなるものの、自分のやりたかった音楽とのギャップに、悩みは深まるばかり。
ある日、大学時代の憧れの同級生、相川さん(加藤ローザ)と再開した崇一は、相川さんがメタル嫌いと知って、ますます自分がクラウザー二世である事に負い目を感じてしまう。
そんな時、デスメタルの帝王と呼ばれた伝説の男、ジャック・イル・ダーク(ジーン・シモンズ)が引退を表明、最後のワールドツアーで、自分と対決するバンドにDMCを指名するのだが・・・


人気漫画を映画化する場合、方向性は主に二つあると思う。
一つは漫画をあくまでも物語の原作と割り切り、ビジュアル面での追求はしない場合。
もう一つは、キャラや世界観を含めて、漫画の世界を徹底的に再現する場合。
「DMC」は明らかに後者で、松山ケンイチ演じるヨハネ・クラウザー二世こと根岸崇一は、まるで漫画から抜け出してきた様に、ルックスから身のこなしまで漫画のキャラそのものだ。
バンドメンバーのジャギ様やカミュ、松雪泰子演じるデスレコーズの社長などもほとんどコスプレ状態と言っていい。
メインキャラだけではなく、限りなくエキストラに近いバンドのファンまで漫画そっくりにしてあるのだから、その徹底ぶりは相当なもの。
まあ、元々原作漫画自体の面白さが、クラウザー二世のキャラにあるのだから、この方向性は正解だろう。
とにかくこのキャラクターが強すぎて、殆ど彼を描写しているだけで画面が持ってしまう。
あの格好で、普通の街に立っているだけで笑いがこみ上げてきてしまうのだから、大したものだ。

物語から見ると、この作品の構造はアメコミ・ヒーロー物のパロディに近い。
気弱で真面目な根岸崇一とメタルモンスターのクラウザー二世、そして崇一が恋する相川さんの関係を、クラーク・ケントとスーパーマン、ロイス・レインに当てはめてみればわかりやすいだろう。
辞めたいけど、辞められないという主人公の葛藤も、アメコミヒーローにお馴染みな物だ。
現在まで6巻出ている原作漫画も、全体としての流れはあるものの、基本的には一話完結的な作りになっている。
映画は第1巻に描かれている、DMCとメタルの帝王ジャック・イル・ダークとの対決をクライマックスに持ってきて、後は原作の細かなエピソードを分解して再構成する事で起承転結を作り出しているが、大森美香による脚色はなかなか良く出来ており、それほどツギハギ感を感じさせない。
実は映画版の後半の展開は、流れとしては原作からはかなり離れているのだが、使われているエピソードのパーツ自体は原作から持ってきているので、元を読んでいる人にも違和感があまりない。
未完結の原作を使いながら、映画単体でキッチリとオチをつけた、なかなかに良い仕事だと思う。
監督の李闘士男は、「お父さんのバックドロップ」という、地味ながら注目に値する作品を作っている人だが、この人は元々テレビのバラエティ出身。
まるでお笑いの舞台かのような超ハイテンション演出に、最初戸惑う人もいるかもしれないが、結果的にこの作品にはあっていたと思う。

もちろん、いかにギャグと言えども、バンドが主人公の音楽映画である限りは劇中の楽曲の出来も映画の重要な要素となり、ここが弱ければ映画全体がショボイ印象となってしまう。
この作品の場合は、この点もまず合格点と言っても良いのではないか。
DMCの楽曲は、漫画を読みながら想像したイメージ通りだったし、崇一のオシャレ系音楽の方はカジヒデキ、MC鬼刃のラップはKダブシャインと抜かりはない。
おかげで崇一の曲が、それほど酷くは聞こえなかったりもするのだけど・・・
しかし、そんな参加アーティストの中でも、よく引っ張りだしたなあと感心したのは、やはりKISSのジーン・シモンズ
KISSは、ビジュアル系メタルの元祖の一つというか、その奇抜なメイクから70年代の小学生に大人気だったバンドで、当時クラスに何人かはKISSの切抜きを下敷きに挟んでいたメタルな子供がいたものだ。
元々「デトロイト・メタル・シティ」というタイトルそのものがKISSの「デトロイト・ロック・シティ」のパロディだし、原作のジャック・イル・ダークもシモンズとアリス・クーパーを合わせたようなキャラクターだったから、この役柄にはピッタリで、私くらいの世代から上の人は懐かしさも感じさせるキャラクターであった。

「デトロイト・メタル・シティ」は、ぶっちゃけ観終わって何も残らない。
しかし漫画のファンも、松ケンのファンも、別に何のファンでもない人も、大いに笑って、ちょっとホロリとさせられて、楽しい時間を過ごす事が出来るだろう。
ただ、もしかすると、本当にデスメタルというジャンルが好きな人には、ある意味彼らの愛する物をコケにして笑い物にするこの作品は受け入れられないかもしれない。
因みに「DMC」には「蟲師」の長濱博史監督によるアニメ版もあり、こちらもなかなか良く出来た作品なので、実写版と見比べるのも楽しいだろう。

今回はベルギーのビール「デュベル」をチョイス。
その名の意味はズバリ悪魔だ。
ベルギービールらしく、高めのアルコール度数に、適度な苦味とスパイシーな香りを楽しめる。
非常に泡立ちが良いのが特徴で、うま過ぎて泡の中に悪魔が潜んでいるといわれる。
ギフト用に、「メタル・チューブ」と呼ばれる金属の缶に入った物もある(笑

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