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セックス・アンド・ザ・シティ・・・・・評価額1400円
2008年09月08日 (月) | 編集 |
なんともインパクトのあるタイトル・・・・
観たくても劇場の窓口でこのタイトルが言えずに、モジモジしているシャイな男性が結構いそうな気がする。
この夏、世界中の女性たちを熱狂させている「セックス・アンド・ザ・シティ」は、1998年から2004年にかけて放送された、4人のニューヨーカー女性を描いたテレビドラマのザ・ムービーだ。
初めに言っておくと、私はテレビ版を観た事が無い。
筋書きも雑誌の記事などで何となく知っいてる程度だ。
だが、そんな私が観ても、4人の主人公のキャラクターはわかりやすく説明され、それぞれの置かれたシチュエーションも自然に紹介されているので、若干の脳内補完だけで十分ついて行く事が出来た。

キャリー・ブラッドショー(サラ・ジェシカ・ハーパー)は、ニューヨーク在住の人気コラムニスト。
恋人のMr.ビッグ(クリス・ノース)と新しい家への引越しを控えた彼女は、思いもかけぬプロポーズを受ける。
長年の親友のミランダ(シンシア・ニクソン)、シャーロット(クリスティン・ディビス)、サマンサ(キム・キャトラル)も祝福してくれて、キャリーの気分も段々と盛り上がってくる。
最初はジミ婚にしようとしていたものの、婚約が新聞記事になったり、雑誌社が彼女のウエディングで特集記事を作るという事になったり、段々と大事に。
これが三度目の結婚であるMr.ビッグは、その盛り上がりに腰が引けてしまう。
結婚当日、式場に到着したキャリーだったが、そこに花婿の姿は無かった・・・


ちょっと雰囲気的に「プラダを着た悪魔」の年長版という感じもある。
ビジュアルイメージが似ているなあと思ったら、両方で重要な要素となるコスチュームデザインの担当がどちらもパトリシア・フィールドだった。
ファッションがそれほど前面に出るくらいだから、あとは恋にバカンスに結婚と、完全に女性向けの映画だが、別に男が観てもイケナイ訳ではないし、実際結構面白く観る事が出来た。
主人公となるのは今40代の4人の女性。
彼女たちは20代の頃に、「ブランドと恋」を求めてニューヨークにやって来て知り合い、以来無二の親友となって、人生の喜びも悲しみも分かち合ってきた仲。
その中でも、ドラマの中心となるのはコラムニストのキャリーだ。
「セックス・アンド・ザ・シティ」というのは、どうやら彼女が女性たちの本音を赤裸々に綴った著作という設定らしく、つまりは本作のストーリーテラーの役割も持つ。
リアリストのセレブで靴フェチでハイテク嫌い、お金持ちの優しい彼氏がいて、恋には夢も希望も失っていない。
たぶん、同世代独身女性の理想を体現しているキャラクターなのではないだろうか。

キャリーを含めた4人のキャラクターは、色々な意味で明確に個性が付けられ、性格や人生観、実際におかれたシチュエーションもバラバラだ。
性にワイルドで、狙った男は落とさずにはいられない、セックス依存症(?)のサマンサ
多忙な弁護士である一方、アルツハイマーの義母の世話や、幼い子供の母親としての日常にも追われているミランダ
健康オタクで不潔なものが嫌いで、やや天然の性格なのは、ただ一人専業主婦であるシャーロット

世の女性たちは、この異なった性格、人生のステージを生きる4人の中の誰かに自分を重ね、たっぷりと感情移入してこのドラマを観るのだという。
なるほどね。
彼女らのキャラクターは、ある程度わかりやすくするためにステロタイプ的にカリカチュアされているものの、たいていの人が似た部分を見つけられる様に設定されている。
演じる俳優たちも、テレビシリーズを知らない私が観ても、長年役と共に生きてきた一体感のようなものが感じられて、十分に魅力的だ。
映画版にはもう一人、セントルイスからニューヨークにやって来た「セント・ルイーズ」というキャリーの歳若き新たな「友達」を、あの「ドリーム・ガールズ」ジェニファー・ハドソンが演じ、強い存在感を感じさせる。
やはりこの人は只者ではない。

私はなんとなく、観客の女性たちの多くは、どちらかというとこのルイーズのような視点、つまり4人に自分をある程度重ねると同時に、憧れの友達を見るような感じでこの作品に浸っているのではないかと思った。
何しろ、色々問題は出てくるものの、キャリーたちは言わば人生の勝ち組だ。
彼女たちは皆、少なくとも経済的には満ち足りていて、それぞれのやり方で彼女たちを心から愛してくれる、優しい男たちに囲まれている幸せ者なのだ。
その意味で、センセーションを感じさせるタイトルとは対照的に、物語そのものは保守的とも言える定番の展開で、それ自体に新しさは特に感じない。
もっとも、40代女性が本音で語る恋愛物という作品コンセプトに忠実であろうとすると、たぶんそんなに奇を衒う必要はないのだろう。
感情移入できる恋愛なんて、それ自体が特別である必要はどこにも無い。
実際この作品の物語はベタベタではあるものの、2時間半近い長尺を飽きさせず、男が観てもそれなりに共感できる物だった。

それにしても、本作の場合完全にサブである4人の夫や彼氏たちの良い人っぷりはどうだ。
Mr.ビッグの敵前逃亡はさすがにどうかと思うが、一回の浮気を馬鹿正直に告白して半年間も謝り続けるミランダの夫スティーブや、年上の彼女のわがままを優しく受け止めるサマンサの彼氏のスミスの人間的なことと言ったら、男として泣けてくる。
主人公の4人が、この世代の女性がこうありたいと思う存在だとしたら、男性キャラクターたちも、こんな彼氏がいたらなあという理想の姿なのかもしれない。

しかし、これだけ女性のハートを踊らす作品が、男性クリエイターによって作られているのは面白い。
テレビシリーズから続投の監督・脚本のマイケル・パトリック・キングとプロデューサーのダーレン・スターには、是非女心を掴むコツを聞いてみたいものである。

今回はその名も「ニューヨーク」というカクテルを。
バーボン45ml、ライムジュース15ml、グレナデン・シロップ1tsp、パウダーシュガー1tspをシェイクする。
ビターな蒸留酒とフルーツのハーモニーが、巨大都市の夜の彩を感じさせて、映画の華やかさを更に盛り上げてくれるだろう。

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