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デス・レース・・・・・評価額1300円
2008年09月11日 (木) | 編集 |
「バイオハザード」「エイリアンvsプレデター」で知られるB級野郎、ポール・W・S・アンダーソンの新作は、監獄島を舞台に囚人たちが繰り広げる死のレースを描いた、その名も「デス・レース」
1975年にロジャー・コーマン製作、ポール・バーテル監督で作られた「デス・レース2000年」のリメイクという位置付けだが、キャラクターの特徴とコンセプトが受け継がれているだけで、物語的には大幅に異なる。

西暦2012年。
経済が崩壊し、社会が不安定化したアメリカ。
元レーサーのジェンセン(ジェイソン・ステイサム)は、妻殺しの濡れ衣を着せられ、凶悪犯だけが収容される監獄島、ターミナルアイランドに送られる。
そこでは、囚人たちによって死を賭けたデス・レースが行われており、レースはテレビ放送されて人々の熱狂的人気を集めていた。
刑務所の所長(ジョアン・アレン)は、ジェンセンに事故死した人気覆面レーサー、フランケンシュタインの代役としてレースに出場する事を依頼する。
優勝すれば自由、失敗すれば死が待っている。
そんな時、ジェンセンはレースに出場するメンバーの中に、妻を殺した真犯人の姿を見る・・・


この作品は、言ってみれば一昔前のB級近未来SF映画のリミックス版だ。
旧作の「デス・レース2000年」は独裁政権下となった西暦2000年のアメリカを舞台に、大衆を熱狂させる死の大陸横断レースを描いた作品だったが、今回はキャラクターこそオリジナルを踏襲しているものの、舞台を「ニューヨーク1997」の様な監獄島に限定し、そこで繰り広げられる囚人たちの、死と自由を天秤に賭けたレースが描かれる。
物語的には、旧作とやはり囚人が自由を賭けてショーアップされた逃亡劇を繰り広げる、「バトル・ランナー」を合体させた様な内容になっている。
ああ、そういえばメカ・デザインなどは、懐かしのオーストリア映画「マッド・マックス」シリーズや、その亜流作品の「バトル・トラック」あたりも入っていた。
この節操のないごちゃ混ぜ具合は、多分アンダーソン監督の好みを反映しているのだろうが、よくもまあB級映画ばっかり集めたものである。
普通ならあれもこれもと詰め込んだ挙句に破綻してしまいそうだが、そこはさすがにオタクの星、それぞれの作品からキャラ・世界観・ストーリーライン・メカといった要素をバラバラに抽出しながら上手い具合に纏めている。

しかしながら全体の印象としては、アンダーソンの興味の対象はあくまでもキャラやビジュアルといった表面的な部分だけで、物語の成り立ちやテーマ性には関心が無い様に思える。
旧作を始め、冷戦の真っ只中に作られた7、80年代のB級SF映画は、その多くが全体主義に対する強迫観念的な恐れを物語のバックボーンに含んでいる。
いかに予算が無くて映像がチープだろうが、薄っぺらな描写に留まっていようが、観終わった観客に「この作品のテーマは?」と聞けば、誰でも明確に答えられるような作りになっていたものである。
対して今回のリメイク版は、デジタル技術の発展もあって、映像的にはとてもよく出来ているものの、逆にテーマ性は極めて希薄だ。
西暦2012年という妙に近場な未来を舞台にして、経済破綻したアメリカという、これまた決してあり得なくは無い設定を持ってきているのに、この作品で描かれる血と暴力の世界の中身の無さはどうだ。
この感覚は、描写は実写と見紛うばかりにリアルなのに、いくらでもリセット出来てしまうゲームの世界の擬似的なリアリティに通じる。
まあアンダーソン自身の出世作が、ゲームの映画化である「バイオ・ハザード」だから、たぶんこの人は素直にこういうのが好きなのだろう。
逆に世界観に作り物感が漂うからこそ、旧作とは比べ物にならないくらいにグレードアップした血みどろの残酷描写も何とか見ていられるのかもしれない。

旧作でデヴィッド・キャラダインが演じた凄腕ドライバーのフランケンシュタインを、「トランスポーター」シリーズでカーアクションならお任せのジェイソン・ステイサムが演じ、彼のライバルで旧作では無名時代のシルベスタ・スタローンが演じたマシンガン・ジョーは、何とハードゲイ(笑)という設定になって、ミュージシャンのタイリース・ギブソンが演じている。
また、旧作でもそれぞれのドライバーには異性のナビゲーターが付いているという設定だったが、今回もこの設定は踏襲され、フランケンシュタインのマシンには豊かな黒髪が印象的なナタリー・マルチネスが同乗し、華を添える。
ただ、出演者で出色なのは、冷酷な刑務所所長を演じたジョアン・アレンだ。
「ジェイソン・ボーン」シリーズでの好演も記憶に新しいが、ちょっと高慢そうな女性管理職を演じさせたらピカイチであり、今回も物語的に美味しいところを持ってゆく。

アクション演出はシャープで迫力があり、1時間47分を飽きさせないが、何しろ描写があまりにも悪趣味かつ色々な意味でイタタな内容なので、個人的にはあまり好きな映画ではない。
要するに「デス・レース」の「デス」の部分に力が入りすぎており、本来志向したはずのB級SF的な大らかさよりも、殺伐としたバイオレンスだけが印象に残って、あまり爽快感を感じないのだ。
まあ、旧作もかなりオゲレツな中身ではあったが、何しろ映像が限りなくチープなので、描写不足を脳内補完せねばならず、笑って許せる範囲だった。
対して21世紀のテクノロジーで作られたこちらは、リアルすぎて想像力の介入すら許さない。
全米興行の予想外の低迷も、このあたりのスパイスの効きすぎが観客に敬遠されたからではないかと思うのだが・・・
「ワイルド・スピード」とスプラッタ映画を、同じ皿で味わいたい人にだけお勧めする。

アメリカンレースというと、無条件でビール、それもバドかミラーを想像してしまうが、今回は映画のコクの無さが気になるので、アメリカンはアメリカンでももう少し飲み応えのあるビールにしよう。
「アンカー・スチーム」はサンフランシスコの小さな醸造所で作られる、アメリカを代表する地ビール。
しっかりとしたボディにコクのある華やかさ、適度な苦味にスモーキーさを併せ持つ、味わい深い本物のビールだ。
映画で殺伐とした心を、優しく解してくれるだろう。

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