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2008年09月24日 (水) | 編集 |
ジュール・ヴェルヌ原作の「地底探検」のリメイク。
監督に、懐かしのディズニーランドの立体映画アトラクション「キャプテンEO」などのVFXマンとして知られるエリック・ブレヴィッグを起用した「センター・オブ・ジ・アース 3D」は、完全な立体映画として作られている。
物語はいたってシンプルで、映画は迫力ある立体映像を楽しませるために徹底的にビジュアル重視に仕上げられており、そのためには最低限のリアリティすらあえて踏み外す作りは、映画というよりは遊園地のライドに近い。
映画館によって2D上映と3D上映があるが、観に行くなら多少遠くても3D上映を選ぶべきだ。
この内容で2D上映では、楽しさ半分、アルコールの入ってない酒を飲むようなものである。
地質学者のトレバー(ブレンダン・フレイザー)は、甥っ子のショーン(ジョシュ・ハッチャーソン)を預かる事になる。
彼は十年前に失踪した兄の子だが、ゲームにしか関心を向けないイマドキの問題児。
その頃、アイスランドに設置されている計測器が異常な数値を計測している事がわかり、トレバーはやむなくショーンを連れてアイスランドへ。
山岳ガイドのハンナ(アニタ・ブリエム)に案内されて現場のスネフェル山脈にたどり着いたものの、金属の計測器めがけて、激しい落雷が襲う。
避難のために入った洞窟に閉じ込められてしまった三人は、出口を求めて奥へと進むのだが、突如として巨大な竪穴が口を開ける。
長い長い落下の末に、彼らは驚愕の地底世界に投げ出される。
だが、人跡未踏のはずのその世界には、既に誰かが足を踏み入れた形跡があった・・・・
今まで何度も映像化されてきたヴェルヌの原作だが、さすがに100年以上前に書かれたSF小説は現在の目で見ればSFというよりはファンタジーに近く、脚色にはちょっとした工夫が凝らされている。
主人公トレバーの失踪した兄は、ヴェルヌの小説は「サイエンス・フィクション」ではなく、事実に基づいた「サイエンス・ファクト」だと信じるヴェルニアンと呼ばれるマニアで、「地底探検」は、彼が追い求めていた地底世界への手引書だという設定になっている。
地球の構造に関する科学知識が、広く一般に知れ渡った現在に、荒唐無稽な地底世界を成立させる、なかなかに上手い導入部だ。
これは、原作をそのまま映画化したというよりは、子供の頃原作を読んで、こんな世界があったらなあと夢見た作り手たちが、その夢想のプロセスを映画の中に再現した様な作品なのだ。
映像的には、最大の売りである立体映像を最大限楽しませる作りになっている。
ちょっと年配の方は立体映画というと赤青のメガネを連想するかもしれないが、こちらはメガネはメガネでも、見た目は普通のサングラス。
Real3D方式と呼ばれる最新の立体上映システムは、原理的には従来の立体技術を組み合わせて発展させた物なのだが、圧倒的に目への負担が少ないという利点がある。
今までは一時間も観ていると目がかなり疲れる感じがあったが、これは最後まで疲労感は無かった。
もっとも、元々メガネの人にとっては、二重にメガネをかける事になり、なんとも鼻が重たい事に変わりはないのだけど。
多くの遊園地やエキスポの3Dライドがそうであるように、ぶっちゃけ物語の整合性は二の次で、この作品のプライオリティはいかに立体である事を強調するかという点に尽きる。
三人が地下に閉じ込められた後は、「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」を思わせるトロッコチェイスを皮切りに、いつ果てるとも無い竪穴の落下、地底の大海の横断、古代生物との戦いと、行き着くまもなく見せ場の連続。
それもいちいち画面の奥行きを強調する空間設計が施されており、どう考えても実用上ありえないトロッコ線路の設計とか、普通に考えればおかしなところも立体演出上効果的なら御構いなし。
もちろん今までも派手なビジュアルのつるべ打ちで見せていった映画は数多いが、これは本当に遊園地の3Dライドを何度も乗り継ぐように、10分見せ場があって、休息を兼ねた5分のドラマ、また10分見せ場で5分ドラマと、機械的な構成が徹底している。
そう、この映画では物語を楽しむために立体効果があるのではなく、立体効果を楽しむためそのガイドとして物語が設えられている作品なのだ。
ただ、短時間で完結するライドと異なり、二時間近い時間を暗闇に留め置かなければならない映画の場合、やはりそれなりの方法論が必要なのではないだろうか。
確かにそれぞれの見せ場は迫力満点で実に楽しい物だったが、個人的にはあまりもシステマチックな作品の構造に、途中からやや中ダレを感じてしまったのも事実だ。
映画館で映画を鑑賞するというスタイルが、今後生き残ってゆくために、立体映画が大きな武器になるのは間違いないだろう。
事実、アメリカを中心にReal3D方式をはじめ立体上映が可能な映画館は嘗て無い勢いで増加しており、立体上映に対応した作品も年々増えている。
ただ多くの場合、普通の映画の付加価値として立体上映を行っているのに対して、「センター・オブ・ジ・アース 3D」は、その間逆のスタンスで作られている。
見世物としての立体映画に、付加価値としての物語。
これは19世紀終わりに、見世物として映画が発明されて、現在の形になるまでの原初の姿そのものだが、やはり上映時間のくくりがある以上、見世物としてだけ存在する映画には限界があると思う。
これはこれで楽しいが、過去何度もあった立体映画ブームがそうであったように、このスタンスの映画作りは直ぐに飽きられるだろう。
結局のところ、暗闇で平面のスクリーンに上映するという根本が変わらない限り、立体上映はあくまでも付加価値に留まるのではないだろうか。
今回は、原作者ヴェルヌの生まれ故郷、ナント市のあるロワール地方で作られるワイン
ドメーヌ・ル・ブリゾーの「モルティエ」2005年もの。
シンプルだが味の輪郭がクリアで、じんわりと余韻が後を引く。
作り手の顔の見える、良い意味で昔気質な酒である。
古い素材を使ってはいるものの、かなり今風の映画に対して、手作りの味の良さを感じさせてくれるだろう。
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監督に、懐かしのディズニーランドの立体映画アトラクション「キャプテンEO」などのVFXマンとして知られるエリック・ブレヴィッグを起用した「センター・オブ・ジ・アース 3D」は、完全な立体映画として作られている。
物語はいたってシンプルで、映画は迫力ある立体映像を楽しませるために徹底的にビジュアル重視に仕上げられており、そのためには最低限のリアリティすらあえて踏み外す作りは、映画というよりは遊園地のライドに近い。
映画館によって2D上映と3D上映があるが、観に行くなら多少遠くても3D上映を選ぶべきだ。
この内容で2D上映では、楽しさ半分、アルコールの入ってない酒を飲むようなものである。
地質学者のトレバー(ブレンダン・フレイザー)は、甥っ子のショーン(ジョシュ・ハッチャーソン)を預かる事になる。
彼は十年前に失踪した兄の子だが、ゲームにしか関心を向けないイマドキの問題児。
その頃、アイスランドに設置されている計測器が異常な数値を計測している事がわかり、トレバーはやむなくショーンを連れてアイスランドへ。
山岳ガイドのハンナ(アニタ・ブリエム)に案内されて現場のスネフェル山脈にたどり着いたものの、金属の計測器めがけて、激しい落雷が襲う。
避難のために入った洞窟に閉じ込められてしまった三人は、出口を求めて奥へと進むのだが、突如として巨大な竪穴が口を開ける。
長い長い落下の末に、彼らは驚愕の地底世界に投げ出される。
だが、人跡未踏のはずのその世界には、既に誰かが足を踏み入れた形跡があった・・・・
今まで何度も映像化されてきたヴェルヌの原作だが、さすがに100年以上前に書かれたSF小説は現在の目で見ればSFというよりはファンタジーに近く、脚色にはちょっとした工夫が凝らされている。
主人公トレバーの失踪した兄は、ヴェルヌの小説は「サイエンス・フィクション」ではなく、事実に基づいた「サイエンス・ファクト」だと信じるヴェルニアンと呼ばれるマニアで、「地底探検」は、彼が追い求めていた地底世界への手引書だという設定になっている。
地球の構造に関する科学知識が、広く一般に知れ渡った現在に、荒唐無稽な地底世界を成立させる、なかなかに上手い導入部だ。
これは、原作をそのまま映画化したというよりは、子供の頃原作を読んで、こんな世界があったらなあと夢見た作り手たちが、その夢想のプロセスを映画の中に再現した様な作品なのだ。
映像的には、最大の売りである立体映像を最大限楽しませる作りになっている。
ちょっと年配の方は立体映画というと赤青のメガネを連想するかもしれないが、こちらはメガネはメガネでも、見た目は普通のサングラス。
Real3D方式と呼ばれる最新の立体上映システムは、原理的には従来の立体技術を組み合わせて発展させた物なのだが、圧倒的に目への負担が少ないという利点がある。
今までは一時間も観ていると目がかなり疲れる感じがあったが、これは最後まで疲労感は無かった。
もっとも、元々メガネの人にとっては、二重にメガネをかける事になり、なんとも鼻が重たい事に変わりはないのだけど。
多くの遊園地やエキスポの3Dライドがそうであるように、ぶっちゃけ物語の整合性は二の次で、この作品のプライオリティはいかに立体である事を強調するかという点に尽きる。
三人が地下に閉じ込められた後は、「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」を思わせるトロッコチェイスを皮切りに、いつ果てるとも無い竪穴の落下、地底の大海の横断、古代生物との戦いと、行き着くまもなく見せ場の連続。
それもいちいち画面の奥行きを強調する空間設計が施されており、どう考えても実用上ありえないトロッコ線路の設計とか、普通に考えればおかしなところも立体演出上効果的なら御構いなし。
もちろん今までも派手なビジュアルのつるべ打ちで見せていった映画は数多いが、これは本当に遊園地の3Dライドを何度も乗り継ぐように、10分見せ場があって、休息を兼ねた5分のドラマ、また10分見せ場で5分ドラマと、機械的な構成が徹底している。
そう、この映画では物語を楽しむために立体効果があるのではなく、立体効果を楽しむためそのガイドとして物語が設えられている作品なのだ。
ただ、短時間で完結するライドと異なり、二時間近い時間を暗闇に留め置かなければならない映画の場合、やはりそれなりの方法論が必要なのではないだろうか。
確かにそれぞれの見せ場は迫力満点で実に楽しい物だったが、個人的にはあまりもシステマチックな作品の構造に、途中からやや中ダレを感じてしまったのも事実だ。
映画館で映画を鑑賞するというスタイルが、今後生き残ってゆくために、立体映画が大きな武器になるのは間違いないだろう。
事実、アメリカを中心にReal3D方式をはじめ立体上映が可能な映画館は嘗て無い勢いで増加しており、立体上映に対応した作品も年々増えている。
ただ多くの場合、普通の映画の付加価値として立体上映を行っているのに対して、「センター・オブ・ジ・アース 3D」は、その間逆のスタンスで作られている。
見世物としての立体映画に、付加価値としての物語。
これは19世紀終わりに、見世物として映画が発明されて、現在の形になるまでの原初の姿そのものだが、やはり上映時間のくくりがある以上、見世物としてだけ存在する映画には限界があると思う。
これはこれで楽しいが、過去何度もあった立体映画ブームがそうであったように、このスタンスの映画作りは直ぐに飽きられるだろう。
結局のところ、暗闇で平面のスクリーンに上映するという根本が変わらない限り、立体上映はあくまでも付加価値に留まるのではないだろうか。
今回は、原作者ヴェルヌの生まれ故郷、ナント市のあるロワール地方で作られるワイン
ドメーヌ・ル・ブリゾーの「モルティエ」2005年もの。
シンプルだが味の輪郭がクリアで、じんわりと余韻が後を引く。
作り手の顔の見える、良い意味で昔気質な酒である。
古い素材を使ってはいるものの、かなり今風の映画に対して、手作りの味の良さを感じさせてくれるだろう。

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