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イーグル・アイ・・・・・評価額1450円
2008年10月20日 (月) | 編集 |
謎が謎を呼ぶサスペンス・アクション大作。
平凡な主人公が、突然掛かってきた一本の電話によって、訳も判らない間に巨大な陰謀に加担させられる展開は、嘗てアルフレッド・ヒッチコック監督が最も得意とした典型的な巻き込まれ型サスペンスのハイテク版だ。
9.11以来対テロ戦争の名目の下に作り上げられた過剰な監視社会を風刺する一面も持ち、「テイキング・ライブス」のD・J・カールソー監督の演出も歯切れ良く、118分を一気に見せる。
ただし、謎が明かされる後半は正直なところ少々難ありだ。

(※以下、重大なネタバレあり)

コピーショップで働く店員ジェリー(シャイア・ラブーフ)は、エリート軍人だった双子の兄を交通事故で亡くす。
ある日家に帰ると全く見覚えの無い武器弾薬が山積みされていた。
そこへ突然携帯に非通知の電話がかかって来て、女の声で「FBIが逮捕に向かった、直ぐに逃げなさい」と警告される。
同じ頃、ワシントンの議会で開かれるコンサートに出演する息子を駅まで送ったシングル・マザーのレイチェル(ミッシェル・モナハン)もまた、謎の電話によって脅迫されていた。
「言う通りにしないと、息子の乗った列車を脱線させる」
謎の女の声によって、ジェリーとレイチェルはFBIの捜査官(ビリー・ボブ・ソートン)から逃げ回る羽目になる。
しかし彼らの存在は、仕組まれた巨大な陰謀のほんの一部に過ぎなかった・・・


監視社会の恐ろしさを描いた作品としては、トニー・スコット監督の「エネミー・オブ・アメリカ」を連想させられるが、監視の手段が静止衛星からの画像中心だったあちらに対して、こちらは街角の監視カメラ中心。
とは言え「エネミー・オブ・アメリカ」の作られた1998年に比べて、監視カメラの量は全世界的に飛躍的に増え、何よりもネットワーク化された事で先進国の大都市においては殆ど死角が無い様な状況にあるのも事実。
ネットワークを支配する事さえ出来れば、衛星よりも遥かに近い距離で常時監視する事が可能な訳で、こちらの方がより現代的なのかもしれない。
携帯電話で一方的に命令を伝えられ、拒否すればネットワークで繋がったありとあらゆる都市機能によって抹殺されるという恐怖は、なるほど一定のリアリティがあり、特に電話の声の正体が判らない前半は、先の読めない展開と相俟って非常にスリリング。
良い意味で派手過ぎない、シャイア・ラブーフミッシェル・モナハンのコンビネーションも良く、キャラクターのリアリティという点でも合格点だ。

しかし、物語の中盤で謎の電話の声「アリア」の正体が明かされると、この作品はリアルなサスペンスから半分SFになってしまう。
まああまりにも万能過ぎるアリアの行動から、途中で何となく予想は出来るものの、この部分の受け止め方次第で、作品の印象はだいぶ変わって来るだろう。
実際、海外批評などを読むと、アリアの正体が非現実的で陳腐だとして、否定的な評を書いている評論家も少なくない様だ。
確かに、治安の維持というスローガンの下、推し進められてきた監視社会化の危険性を、コンピューターの反乱という古典SFの様な世界に落としこんでしまったのは、私も疑問に思わざるを得ない。
日本物理学界が誇るニュートリノ検出施設「スーパーカミオカンデ」からデザインのヒントを得たと思われるアリアの能力はなかなかに凄そうだが、やっていることは「2001年宇宙の旅」のHALとあまり変わらず、単なる欠陥コンピューターによって監視社会が象徴されてしまう事で、作品のテーマが薄味になってしまった感は否めない。
実際にアメリカを中心に英語圏の国々が行っている全地球規模の盗聴システム、エシュロンなどを考えれば、意思を持ったコンピューターなど持ち出さなくても「誰かの意思」さえ介在させれば十分に監視社会の恐怖は描く事が出来ただろう。

また、アリアの正体が明かされて、物語の謎に対する興味が無くなった瞬間、今度は物語のアラが気になってくる。
最大の疑問は、こんなややこしい陰謀をめぐらせなくても、アリアの能力を持ってすれば、ジェリーを呼び寄せる事など、もっと簡単に出来るはずではないかと言う点だ。
ただ単に偽IDでも用意して、ペンダゴンのB36に来るように命じれば良いではないか。
同じことはミッシェルに対しても言え、爆弾のクリスタルは別に彼女以外の人物が身に着けていても良い訳で、何でコンピューターのクセにわざわざリスクのある人選をしているのか気になってしまう。
それに兄の声がデータに残っているなら、それを組み合わせて合成した方が早い気もする。
何よりも根本的に、コンピューターの判断に背いたら抹殺なんて、アリアのプログラムを作った奴はいくらなんでもバカ過ぎだろう(笑
アリアの正体を中途半端に早く明かしてしまったことで、この辺りの矛盾点が一気に噴出してしまった。
この設定で行くならば、もう少し構成を考えるべきだった。

先日、グーグルのストリートビューで、知り合いの店を除いてみたら、顔にぼかしはかかっているものの、彼らの姿がばっちり映っていた。
まああれはリアルタイムじゃないけど、誰もがカメラに写り、誰もがそれを見ることの出来る社会は、既に存在している。
「イーグル・アイ」は、そこそこ良く出来たサスペンス映画だが、少々懲りすぎた設定で損をしている様に思う。
テーマ的には実にタイムリーだったが、現実の世界が既に十分SF的なのにもかかわらず、過剰にぶっ飛び過ぎてしまって、かえって乖離してしまっているのだ。
ただ、前半の展開は正に息をも吐かせぬ面白さだし、後半も設定上の矛盾に目をつぶればアクションもサスペンスも盛りだくさんで、決して飽きる事は無いだろう。

イーグルの名を持つ酒としては、カリフォルニアの「スクリーミング・イーグル」が有名だが、あまりもバカ高いので、ぐっとリーズナブルな大衆ワイン「イーグルホーク メルロー」をチョイス。
「ブラックラベル」で有名なオーストラリアのウルフ・ブラウズの銘柄だが、深みはそれほど感じられないものの、飲みやすく香りもそれなりに楽しめるので、娯楽映画のあとの軽い食事に合わせるにはピッタリだろう。

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