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三周年+容疑者Xの献身・・・・・評価額1300円
2008年10月25日 (土) | 編集 |
東野圭吾の人気小説からドラマ化された、天才物理学者湯川学が難事件に挑む「探偵ガリレオ」シリーズのザ・ムービー・・・なのだけど、その前にご挨拶。

2005年にこのブログを開設してから、そろそろ3年。
初めは自分の勉強のためにと書いていたのですが、今までに延べ100万人もの人に訪れていただきました。
まことに有難い事で、私の記事が、少しでも読んでくださっている方々の映画ライフのスパイスとなっていれば幸いです。
今後もぼちぼちアップしてゆきますので、よろしくお願いいたします。


閑話休題。
正直なところ、この作品は劇場スルーするつもりだったのだが、「カリスマ映画論」の睦月さんの熱烈プッシュを受けて、観に行ってみた。
内容的には予想通りだったが、結果的にまあまあ楽しめた。
睦月さんはこの映画を「堤真一の映画」だと仰っていたが、なるほどその通りで、役者の好演と演出的にも徹底的にキャラクターに振った心理劇とする事で、何とか持っている作品である。

私がこの作品を敬遠しようとした理由はただ一つ。
原作の出来が悪く、この話を誰がどういじろうが映画的に面白くする事は至難の業だろうと思ったからだ。
物語の筋書きはこうだ。
嘗て将来を嘱望された天才数学者・石神は、高校の数学教師として落ちぶれ、しがないアパート暮らし。
娘と二人暮らしの隣人・花岡靖子に淡い恋心を抱いている。
ある日靖子の別れた夫が彼女の元へ押しかけ、トラブルの末に靖子と娘は元夫を殺してしまう。
その様子を隣で察した石神は、靖子に協力を申し出て、絶対に突破できない完璧なアリバイを用意する。
どうしても靖子のアリバイを崩す事の出来ない警察は、大学時代石神のライバルでもあった物理学者・湯川学に捜査協力を依頼する、という物だ。

元々「ガリレオ」は一話完結の短編小説なのだが、この映画版の原作「容疑者Xの献身」はシリーズ初の長編で、短編シリーズとは色々な点で異なる。
短編は、常識では謎が解けない難事件を、湯川教授が科学の知識を駆使して解決するのが一つのパターンとなっているが、この作品では科学知識はあまり前面に出る事は無く、殺人事件の顛末も冒頭で全部見せてしまっているので、犯人探しも関係ない。
アリバイを巡る湯川学と石神という、因縁の二人の天才の火花散るせめぎ合いが見どころであり、その過程を通して石神という孤高の男の心理が徐々に明らかになる。

その意味で、これを石神を中心とした心理劇として映像化したのは正解であり、実際映画は原作以上に丁寧にキャラクターを描写し、原作には無い冬山登山のエピソードも加えて、石神という男の内面を描いてゆく。
確かにこの映画は石神が完全に主役である。
堤真一は、正直なところ原作の印象とは全く違うし、最初の頃はあまりにも役を作りすぎではないかと思ったのだが、時間が進むに連れてどんどんと引き込まれてゆく。
内面に幾つもの仮面を被り、本心が見えないこの複雑な役を、実に味わい深く演じている。
観客がいつの間にかこの寡黙な男に感情移入しているからこそ、ラストの慟哭は、深く胸を打つのだ。
ライバル湯川を演じる福山雅治は、テレビからの続投なので新たに出来る事は多くなかったと思うが、完全に受けの役柄を抑制を利かせて演じていたと思う。
石神の仄かな情念の炎を感じ取り、戸惑う花岡靖子を演じる松雪泰子も良い。
「フラガール」あたりから、この人は脂が乗り切っている感がある。
深く掘り下げられたキャラクターたちの織り成すドラマは、なかなかに見応えを感じるのは確かだ。

ただ、役者で何とか持ってはいるものの、観る前に思っていた通り、物語の抱える欠陥まではカバーできていない。
オリジナルのエピソードなどを作ってはいるものの、展開らしい展開の殆ど無い作劇は冗長で、かなり中ダレを感じるし、何よりもこの作品はミステリとして致命的な矛盾があるのだ。
それによって、石神が天才という設定まで疑わしくなってしまい、この作品に説得力をあまり感じられなくなってしまうのである。
簡単に言えば、事件とは第三者が認知して、初めて事件になるのである。
この作品の被害者の設定などから考えれば、死体が見つからなければ、事件はそもそも無かった事になったはずで、実際石神は完璧に最初の死体を消し去っていたし、劇中でも発見するのはほぼ無理だという本人の台詞もある。
それなのに、なぜ彼は複雑なトリックを駆使してわざわざ事件を発覚させる必要があるのか。
石神のやった事は、1+1=2という結論を得るのに、複雑な方程式を駆使する様な物で、劇中の台詞を借りれば「全く美しくない回答」という事になる。
犯人がマヌケな設定ならまだ良いが、石神は「天才」ではなかったのか(笑
東野圭吾は心理描写に夢中になって、ミステリとしての整合性を忘れてしまったのだろうか。
調理の方はなかなかなだけに、素材の質の悪さが残念な作品である。

この作品に合うのは、やはりしんみり飲める日本酒だろう。
映画版には、原作に無い登山シーンが付け加えられているが、ロケーションは白馬。
という事で、長野県は薄井商店の「白馬錦 ひやおろし」をチョイス。
冬に搾った酒を、七倉ダム近くの湖洞トンネルに5ヶ月間貯蔵して熟成したのが名前の由来。
どちらかというと甘口だが、まろやかで旨みが強い。
個人的には食事の前に、ちょっとしたオードブルと、あるいは食後の締めに調度いい酒だと思う。

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