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レッドクリフ Part1・・・・・評価額1550円
2008年11月04日 (火) | 編集 |
中国歴史文学の中でも、汎アジア的な人気を誇る「三国志」中の、前半部分のクライマックス「赤壁の戦い」の映画化。
ジョン・ウー監督が長年温めていた念願の企画だそうで、その気合の入り具合はスクリーンからも熱気となって伝わってくる。
本来は一本で収まる予定で、実際その様にアナウンスされていたが、作ってみたらあまりにも長大となってしまったので、公開直前になって急遽二部作とする事が発表された。
実際に観てみると、この判断は正解で、お馴染みの登場人物をファンの納得する様に生かし、尚且つ壮大な戦争を俯瞰するという事を考えれば、前後編合せて5時間という上映時間でも決して余裕のあるものではない。

西暦208年。
漢王朝が力を失い、群雄割拠の戦国時代。
曹操孟徳(チャン・フォンイー)は、朝廷を後ろ盾に全権を握り、徐々に中国全土を制圧しつつあった。
漢の王族劉氏に連なる劉備玄徳(ヨウ・ヨン)は、長坂の戦いで曹操に大敗し、大勢の民を連れて夏口に避難する。
劉備は、江南を支配する呉の孫権(チャン・チェン)と同盟を結ぶため、軍師の諸葛孔明(金城武)を孫権のもとに遣わすが、呉では曹操の圧倒的な戦力を前に降伏論が強く、同盟の成立は難しい。
そこで孔明は、孫権が兄と慕う軍の総司令官・周瑜(トニー・レオン)と会うために彼が布陣する長江のほとり、赤壁へ赴く。
孔明と周瑜は、直ぐに互いの人徳と才能を感じ取り、共に曹操と戦う決意をする。
周瑜の説得を受けた孫権も開戦を決断し、遂に劉備・孫権連合軍5万は80万とも言われる曹操軍と赤壁で対峙するのだが・・・・


本編が始まる前に、日本の配給会社が付けた解説映像が流れる。
物語の背景となる「三国志」の世界を紹介する物だが、これはとても親切。
まあ普通だったら、完成した映画に後から映像をくっつけるなど許されない事だが、何しろ三つの国の興亡を描いた一大叙事詩のごく一部だけを映画化した作品なので、一見さんには敷居が高すぎる。
基本的に、観客は話のあらすじとメインの登場人物くらいは当然知っているという前提で作られているので、解説映像が無いと原作を全く知らない人には、誰が誰だかわからずに、あれよあれよという間に物語が流れていってしまうだろう。
劇中の字幕でも、キャラクターの名前がしつこいくらいに何度も表示されるが、これも致し方なかろう。
解説映像のおかげで、原作を知らなくても何とかついてゆく事は出来るだろうが、最低限の基礎知識くらいは持っていた方が楽しめる事は確かだ。

「三国志」とは言っても、この頃はまだ三国は成立しておらず、劉備・曹操・孫権の三人が勢力争いを繰り広げていた時代。
赤壁の戦いは、曹操の圧倒的有利に傾きつつあった情勢を覆し、所謂「天下三分の計」が第一歩を踏み出した歴史的な合戦であり、「三国志」中でも最も人気が高い見せ場の一つ。
元々「三国志」には、一般に「正史」として知られている三世紀に書かれた歴史書「三国志」と、これを元に十四世紀の明代に羅貫中が小説化した「三国志演義」の二つがある。
日本でお馴染みの吉川英治や横山光輝の描いた「三国志」は、基本的に「演義」の翻訳脚色版であり、本国中国でも一般に「三国志」と言えば「演義」であるという認識は変わらない様だ。
劉備や曹操、孔明や関羽といった人気キャラクターの造形やそれぞれの見せ場は、殆ど全て「演義」によって作られたイメージといって良い。
今回の映画化でも、基本的にそれは同じ。
劉備は草履を編んでいるし、関羽は義人だし、孔明はイケメンで頭脳明晰。
趙雲には長坂の戦いでの、劉備の息子・阿斗救出の見せ場もばっちり描かれる。
張飛は素手で突撃して大声で敵をびびらせるという、まるでジャイアンみたいなキャラになっているが、まあルックスも含めてイメージどおり。
小説や漫画で三国志に親しんだ人も、映画のキャラクターには納得できるだろう。

面白いのは、映画の主役が呉の周瑜となっている事で、これはたぶん多くの人にとって意外だったのではないだろうか。
「演義」の中では、孔明をライバル視して様々な策略を巡らせながら、結局最後には「天は、なぜ周瑜を生まれさせながら、孔明までも生まれさせたのだ!」と叫んで死んでしまうという、半悪役的な役回りのキャラクターだし、実際赤壁の戦いから僅か二年後に病死しているので、「三国志」全体の中ではとても主役になるようなキャラクターではない。
ただ、実在の周瑜は、知力・武力・政治力のいずれにも優れた人物だったようで、この作品での周瑜のキャラクターは、どちらかと言うと「演義」よりも「正史」に近く、トニー・レオンのキャスティングもその意味ではピッタリだ。
同じことは金城武演じる諸葛孔明にも言え、「演義」では妖術を使って天候を変えるなど、殆どファンタジーの魔法使いと化していたが、映画では頭脳明晰ではあるものの、軍師として周瑜をサポートする普通の人間として描かれている。
まあ確かに、赤壁の戦いというモチーフを観察すれば、一番中心にいたのは呉軍の司令官である周瑜であり、「三国志」全体ではなく赤壁の戦いのみを描いた事で、意外な人物が主役に抜擢されたのだろう。
他にも、原作とキャラクター設定や展開が異なる部分は幾つかあり、全体的には「演義」をベースに「正史」をミックスした上で、さらに映画オリジナルの脚色を加えたという感じだ。

戦争映画であるから当たり前だが、戦闘シーンは長くて多い。
たぶん2時間30分の半分ぐらいは戦っていたような気もするが、それ以外のところも色々と工夫されていて飽きさせない。
孔明が周瑜に会いに行った時、言葉ではなく琴の合奏でお互いの胸の内を探り合うあたりは、いかにも中国らしい詩情のある表現で面白い。
冒頭の漢の宮廷のシーンで、室内にもかかわらず猛烈に霧が渦巻いていたり、キャラクターの感情を表すのに、掟破りのズームレンズを多用するなど、静かなシーンも含めて、良くも悪くもジョン・ウー節の強烈な作品なので、あくまでもアクションを中心に世界を広げる、彼のテイストに乗れるかどうかが作品の評価の分かれ目になるだろう。
何しろ三世紀の赤壁にも白い鳩を飛ばしてしまう人だ。
一体何処で「教会」が出てくるのだろうとドキドキしてしまった(笑

ビジュアル的に面白いのは、孔明が繰り出すユニークな陣形。
特に「Part1」のクライマックスとなる戦いで使われる、亀の甲羅の様な形の「八卦の陣」の奇抜さは、本編の白眉だ。
「ロード・オブ・ザ・リング」以来、人海戦術による騎馬戦の表現は出し尽くされた感があり、やや食傷気味だったが、陣形そのものを戦場の形にしてしまうという発想は、いかにも東洋的なビジュアルと相まって、非常にインパクトがある。
確か原作では、赤壁の戦いで八卦の陣は用いられておらず、ずっと後年に魏の仲達と戦う時に出てきた陣形なので、これは映画オリジナルの脚色だろう。
外連味たっぷりのジョン・ウー節が、最大限に発揮された見事な戦闘シーンだった。

映画は、これから盛り上がるという所で「To be continued」になってしまうので、これ単体で評価するのは難しいが、少なくともこれだけの張尺を飽きさせないし、キャラクターを含め「三国志」の映像化としてはまずまず納得できる仕上がりだ。
「Part2」では、有名な「苦肉の策」十万本の矢を船で奪い取るエピソードが描かれるのだろうが、果たしてどのような脚色がなされるのか、「Part1」でイマイチ目立たなかったキャラクターたちの活躍も楽しみだ。
いずれにしても、傑作「フェイス/オフ」以来、ハリウッドでは今ひとつ足踏みしている感があったジョン・ウーが、久々に思う存分腕を振るった超大作。
アジア圏では軒並み大ヒットしているようだし、どうせならピーター・ジャクソンみたいにスペシャル・エクステンデット版を作って、時間を気にせず暴れてもらっても良いと思う。

今回は静岡の三和酒造の「臥龍梅」をチョイス。
臥龍とは、劉備が司馬徽を尋ねて軍師に相応しい人物はいないか聞いた時、司馬徽が諸葛孔明を眠れる龍に例えて推薦した言葉。
それが後年、日本で人質時代の徳川家康を指す言葉になり、転じて今はまだ知られていないが、いつか天下を取る酒という意味で名づけられたと言う。
生産量が少なく、あまり知られていない酒だが、ふくよかで透明感があり、とても飲みやすい。
やや腹にもたれるジョン・ウー節の後にはピッタリだ(笑

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