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ワールド・オブ・ライズ・・・・・評価額1550円
2008年12月27日 (土) | 編集 |
激動の中東を舞台に、リドリー・スコット監督が、レオナルド・デ・カプリオラッセル・クロウの二大スター共演で描くスパイサスペンス大作。
「007」などのアクション系とは違って、こちらはあくまでも頭脳戦が中心なので、ホリディシーズンのお気楽娯楽大作と思って観に行くと、困惑するかもしれない。
スパイ同士の騙し合いが見所の、ある種のコン・ゲーム映画だ。

中東で活動するCIAエージェント、ロジャー・フェリス(レオナルド・デ・カプリオ)は、ヨーロッパで発生した連続爆破事件の黒幕が、大物テロリスト、アル・サリーム(アロン・アブトゥブール)である事を掴む。
現場のフェリスを管轄するのは、遠く離れたアメリカ本国で、平和な日常を送りながら電話で指示を出すエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)。
ホフマンの指示でヨルダンに飛んだフェリスは、ヨルダン情報機関トップのハニ・サラーム(マーク・ストロング)の協力を得て、サリームの居場所を探ろうとするのだが・・・


スパイ物と言っても、アクション映画とは明らかにジャンルが違うし、かといって中東の今を描く社会派映画でもない。
フィーチャーされているのは、同じ目的を持ち、同じ組織に属しながら、仕事内容があまりにも対照的な二人の男。
まあどの組織にも、現場と本部の軋轢というのはあるらしく、一言で言えばスパイ版の「踊る大捜査線」か(笑
現場で死の危険にさらされながら、必死で情報を追うフェリス
そんな彼を遥か上空の無人偵察機で眺めながら、殆どゲーム感覚でアメリカ本国から指示をだすホフマン
中東を舞台にした緊迫した諜報戦を通して、やがて彼らは協力しつつも互いに騙し合うようになる、というのが本作の骨子。

物語的にも、捻りがある。
立場は違えど、世界を動かしていると自負するCIAの二人に対して、中盤以降もう一つの個性が割ってはいる。
CIAにとっては、彼らの描く戯曲の登場人物の一人に過ぎない、ヨルダンの情報機関トップ、ハニ・サラームだ。
膨大な人員と資金、ハイテク機器を駆使して情報戦を行い、地球のフィクサー気取りのCIAに対して、サラームが生きているのは昔ながらの「諜報」の世界だ。
完全ネタバレになるので詳しくは書けないが、物語の後半はこのハニの登場で大きく物語が動く。
そして、それまで観ていた物語が、実は物事のある面に過ぎないという事を浮かび上がらせてくるのである。
ハニが繰り返しフェリスに言う「私に嘘はつくな」という言葉の意味が、最後の最後で生きてくるのだが、このあたりは観てのお楽しみ。

フェリスを演じたレオナルド・デ・カプリオは、この手の必死に生きる青年が良く似合う。
出世作のタイタニックもそうだったが、昨年の「ブラッド・ダイヤモンド」や「ディパーテッド」も痛々しいくらいに懸命に、自らの使命を全うしようとする姿が印象的だった。
本作もそれは変わらないのだが、そろそろもう一つ演技の引き出しが欲しいところ。
対するラッセル・クロウは、今ひとつ影が薄い。
これは彼のせいではなくて、物語がCIA内部の対比から、彼らを取り巻く世界へとどんどん広がりを持ってしまうためで、クロウは基本的にデ・カプリオに電話で指示を出す役なので、単独で物語を引っ張って行けるキャラクターではないのだ。
もっとも、与えられた役柄に対するアプローチという点では、20キロも体重を増やし、嫌みったらしいメタボ上司を巧みに演じており、オスカー俳優の面目躍如。
ただ、この作品のテーマを真に体現するのは、三人目の主役とも言うべき、ハニ・サラームを演じたマーク・ストロングだろう。
冷静沈着で昔気質ながら、戦慄すべき残酷さも併せ持つ。
まあ物語的にも、最終的に一番美味しいところを持ってゆくのはこのキャラクターだ。

邦題は「ワールド・オブ・ライズ」つまり、「嘘の世界」だが、原題は「Body of Lies」となっている。
この「Body」には「体」の他にも「機関」や「実質」など様々な意味があるという事を知っておくと、本作の描こうとした事もわかりやすいだろう。
リドリー・スコットは、複雑に入り組んだ騙し合いを通して、バーチャルなパワーで世界を支配していると信じ込んでいたアメリカに対する、イギリス人らしいシニカルな寓話を作り上げている。
眩暈を覚えるほどスピーディーに場面が展開し、二時間を越える上映時間の間、緊張感がずっと持続する。
運命的に絡み合う、対照的な二人の男の物語、という点では傑作「アメリカン・ギャングスター」を思わせるところもあり、この手のサスペンスを撮らせたら、スコットはさすがに上手い。
ただ、凝りに凝った作劇が裏目に出て、テーマへのアプローチは全体に浅く、わかり難くなってしまっている。
中東という生々しい舞台も、結局のところ舞台装置以上には描かれておらず、良くも悪くもシニカルなコン・ゲームという以上の印象は薄いのが残念なところだ。

渋いサスペンス映画には、渋いシングルモルトウィスキーが似合う。
今回は英国から「スプリングバンク 100プルーフ」の10年物をチョイス。
パワフルなボディでアルコール度数は57度もあり、冬の寒さも一気に吹き飛ぶ。
水割りやロックもいいが、この季節はホットで飲むのも良いだろう。

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