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2009年01月23日 (金) | 編集 |
「007/慰めの報酬」は、シリーズ史上初の続き物。
前作「カジノ・ロワイヤル」のラストシーンから、そのまま話が続いており、脚本チームも当然続投。
なのに、なぜか監督だけはマーティン・キャンベルから、どう考えてもアクション畑の人とは言えないマーク・フォスターに交代している。
このあたりは、大人の事情がありそうだが、基本的に作品のイメージは前作を踏襲しており、新世代「007」のカラーが大体固まってきたという感じだ。
愛する女、ヴェスパーを失ったボンド(ダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(ジェスパー・クリステンセン)を捕らえ、背後にいる組織の全貌を暴こうとする。
しかし、MI6に潜入していた敵の工作員によって、ミスター・ホワイトはあっさり逃亡。
ボンドは手がかりを求めてハイチに飛び、組織とつながりのある女カーミュ(オルガ・キュリレンコ)を通じて、謎の男グリーン(マチュー・アマルリック)に接近する。
表向きは、環境関連企業のトップであるグリーンだが、裏ではボリビアの反政府クーデターの計画に資金援助している。
ボリビアの広大な砂漠を取得しようとするグリーンの計画を知ったボンドは、彼の真の狙いを探り出そうとするのだが・・・
「カジノ・ロワイヤル」は、旧シリーズの遺産を受け継ぎながらも、アクション映画の原点に帰り、何よりも大幅に若返ったボンドのキャラクターを徹底的に立て、シリーズに新しい風を吹き込む事に成功していた。
今回、ポール・ハギス、ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイドの脚本陣は、イアン・フレミングの原作を元にした前作に、オリジナルの続編を付け加えるという形で、「新007シリーズ」の世界観を形作ろうとしている様に見える。
謎だらけだった強大な敵の組織の正体が徐々に明らかになり、恐らくこのいかにも今風な曖昧な悪のネットワークが、今後旧シリーズのスペクターのような役割を担ってゆくのだろう。
すっかり役が板についた、ダニエル・クレイグ演じるジェームス・ボンドのキャラクターも、より明確に性格付けがなされ、まさに命を削る様に荒々しく、内面に暗い情念を抱えた人間臭いボンド像を確立している。
要するに今回は、愛する者を殺されたボンドの復讐譚であり、愛する者を失ったショックを引きずり、ヴェスパー・マティーニを浴びるほど飲んでしまう、見方によっては青臭いスパイには、旧シリーズのようなお戯れの恋愛はあまり似合わず、結果的にそれで更なる心の傷を負ってしまう痛々しさが印象的だ。
ギミック満載の秘密兵器を使い、漫画チックな悪役たちを倒してゆく、ダンディでどんな危機にも冷静沈着な、男の夢を具現化したようなボンド像はここには無い。
敵役にしても、嘗てはバカバカしいロマンがあったが、前作のル・シッフルも本作のグリーンも、要するに経済ヤクザの様な物であって、別に世界征服を狙っている訳でも、政治的イデオロギーのために活動してる訳でもなく、リアルではあるものの、古くからのシリーズのファンには、「007」と似て非なる物を観ている様な一抹の寂しさも感じるかもしれない。
もっとも大胆なイメチェンで、本来の活劇としての魅力を確実に取り戻したのは紛れも無い事実で、今回も冒頭の激しいカーチェイスから、息つく間もないアクションシーンの連続だ。
ただ、残念ながらマーク・フォスターの演出は、少なくともアクションの見せ方に関しては、マーティン・キャンベルには及んでいない。
追跡シーンなどで、ボンドと敵役を同一画面に捉えた画が極端に少なく、位置関係が把握しにくいので追いつ追われの緊張感が上手く出ていないし、格闘シーンでも編集が細かすぎて、画面上で何が起こっているのかよくわからない。
演出がアクションを流れで捉えられていないので、どうしても細かいカット割りに頼ってしまっている感じだ。
まあそれでもVFXの出来の良さも手伝って、描写そのものは非常に迫力があるし、とりあえず見せ場のテンコ盛りなので、決して飽きる事は無いのだけど。
物語的には、世界中を飛び回っているうちに、何となく形を作ってしまう強引さは相変わらずだが、今回は特にアクションの比重が高く、殆どアクションシーン合間にドラマがあるくらいの勢いだ。
個人的には、これほど人間ドラマを薄味にするなら、渋い人間ドラマの人であるマーク・フォスターを起用する意味は余り感じられず、アクションに定評のあるキャンベル監督のままでもよかった様な気がする。
まあ、敵の隠れ蓑が環境関連企業だったり、大儀を失い、国益という名の拝金主義に塗れた政府に翻弄されるCIAやMI6の内情を自虐的に描くなど、ドラマに時代性をリンクさせた新しい切り口を模索している部分もあるので、このあたりはもう少し突っ込んで膨らませても良かったかもしれない。
たまたま「チェ 28歳の革命」を観たばかりだったので、ボリビアのクーデター計画にCIAが絡むくだりはなんだかそれなりにリアリティを感じた。
ゲバラが武力革命思想に目覚める大きなきっかけになったのも、CIAの介入でグアテマラの革命政権が崩壊したからで、彼が死んだのはまさにボリビアのジャングルだった。
「007/慰めの報酬」は、さすがに前作ほどのインパクトは感じられないものの、アクション満載のスパイ活劇として、十分楽しめる内容だ。
過去のシリーズとの装いの違いはますます明確になってきたが、少なくともダニエル・グレイグがボンドを演じるであろう、今後数作はこの路線で作られるのだろうし、21世紀の「007」としては、これはこれでありだと思う。
今回は、というかボンド映画の場合はこれしか思い浮かばないのだが、ヴェスパー・マティーニをチョイス。
ゴードン・ジン3、ウォッカ1、キナ・リレ1/2でシェイクし、薄切りのレモンピールを加える。
かなり強いので、一般人がボンドの様に7杯も飲んだら確実に酔っ払う。
もてるスパイは酒豪でなければならないらしい。
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前作「カジノ・ロワイヤル」のラストシーンから、そのまま話が続いており、脚本チームも当然続投。
なのに、なぜか監督だけはマーティン・キャンベルから、どう考えてもアクション畑の人とは言えないマーク・フォスターに交代している。
このあたりは、大人の事情がありそうだが、基本的に作品のイメージは前作を踏襲しており、新世代「007」のカラーが大体固まってきたという感じだ。
愛する女、ヴェスパーを失ったボンド(ダニエル・クレイグ)は、彼女を操っていたミスター・ホワイト(ジェスパー・クリステンセン)を捕らえ、背後にいる組織の全貌を暴こうとする。
しかし、MI6に潜入していた敵の工作員によって、ミスター・ホワイトはあっさり逃亡。
ボンドは手がかりを求めてハイチに飛び、組織とつながりのある女カーミュ(オルガ・キュリレンコ)を通じて、謎の男グリーン(マチュー・アマルリック)に接近する。
表向きは、環境関連企業のトップであるグリーンだが、裏ではボリビアの反政府クーデターの計画に資金援助している。
ボリビアの広大な砂漠を取得しようとするグリーンの計画を知ったボンドは、彼の真の狙いを探り出そうとするのだが・・・
「カジノ・ロワイヤル」は、旧シリーズの遺産を受け継ぎながらも、アクション映画の原点に帰り、何よりも大幅に若返ったボンドのキャラクターを徹底的に立て、シリーズに新しい風を吹き込む事に成功していた。
今回、ポール・ハギス、ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイドの脚本陣は、イアン・フレミングの原作を元にした前作に、オリジナルの続編を付け加えるという形で、「新007シリーズ」の世界観を形作ろうとしている様に見える。
謎だらけだった強大な敵の組織の正体が徐々に明らかになり、恐らくこのいかにも今風な曖昧な悪のネットワークが、今後旧シリーズのスペクターのような役割を担ってゆくのだろう。
すっかり役が板についた、ダニエル・クレイグ演じるジェームス・ボンドのキャラクターも、より明確に性格付けがなされ、まさに命を削る様に荒々しく、内面に暗い情念を抱えた人間臭いボンド像を確立している。
要するに今回は、愛する者を殺されたボンドの復讐譚であり、愛する者を失ったショックを引きずり、ヴェスパー・マティーニを浴びるほど飲んでしまう、見方によっては青臭いスパイには、旧シリーズのようなお戯れの恋愛はあまり似合わず、結果的にそれで更なる心の傷を負ってしまう痛々しさが印象的だ。
ギミック満載の秘密兵器を使い、漫画チックな悪役たちを倒してゆく、ダンディでどんな危機にも冷静沈着な、男の夢を具現化したようなボンド像はここには無い。
敵役にしても、嘗てはバカバカしいロマンがあったが、前作のル・シッフルも本作のグリーンも、要するに経済ヤクザの様な物であって、別に世界征服を狙っている訳でも、政治的イデオロギーのために活動してる訳でもなく、リアルではあるものの、古くからのシリーズのファンには、「007」と似て非なる物を観ている様な一抹の寂しさも感じるかもしれない。
もっとも大胆なイメチェンで、本来の活劇としての魅力を確実に取り戻したのは紛れも無い事実で、今回も冒頭の激しいカーチェイスから、息つく間もないアクションシーンの連続だ。
ただ、残念ながらマーク・フォスターの演出は、少なくともアクションの見せ方に関しては、マーティン・キャンベルには及んでいない。
追跡シーンなどで、ボンドと敵役を同一画面に捉えた画が極端に少なく、位置関係が把握しにくいので追いつ追われの緊張感が上手く出ていないし、格闘シーンでも編集が細かすぎて、画面上で何が起こっているのかよくわからない。
演出がアクションを流れで捉えられていないので、どうしても細かいカット割りに頼ってしまっている感じだ。
まあそれでもVFXの出来の良さも手伝って、描写そのものは非常に迫力があるし、とりあえず見せ場のテンコ盛りなので、決して飽きる事は無いのだけど。
物語的には、世界中を飛び回っているうちに、何となく形を作ってしまう強引さは相変わらずだが、今回は特にアクションの比重が高く、殆どアクションシーン合間にドラマがあるくらいの勢いだ。
個人的には、これほど人間ドラマを薄味にするなら、渋い人間ドラマの人であるマーク・フォスターを起用する意味は余り感じられず、アクションに定評のあるキャンベル監督のままでもよかった様な気がする。
まあ、敵の隠れ蓑が環境関連企業だったり、大儀を失い、国益という名の拝金主義に塗れた政府に翻弄されるCIAやMI6の内情を自虐的に描くなど、ドラマに時代性をリンクさせた新しい切り口を模索している部分もあるので、このあたりはもう少し突っ込んで膨らませても良かったかもしれない。
たまたま「チェ 28歳の革命」を観たばかりだったので、ボリビアのクーデター計画にCIAが絡むくだりはなんだかそれなりにリアリティを感じた。
ゲバラが武力革命思想に目覚める大きなきっかけになったのも、CIAの介入でグアテマラの革命政権が崩壊したからで、彼が死んだのはまさにボリビアのジャングルだった。
「007/慰めの報酬」は、さすがに前作ほどのインパクトは感じられないものの、アクション満載のスパイ活劇として、十分楽しめる内容だ。
過去のシリーズとの装いの違いはますます明確になってきたが、少なくともダニエル・グレイグがボンドを演じるであろう、今後数作はこの路線で作られるのだろうし、21世紀の「007」としては、これはこれでありだと思う。
今回は、というかボンド映画の場合はこれしか思い浮かばないのだが、ヴェスパー・マティーニをチョイス。
ゴードン・ジン3、ウォッカ1、キナ・リレ1/2でシェイクし、薄切りのレモンピールを加える。
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