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レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで・・・・・評価額1650円
2009年01月28日 (水) | 編集 |
待望の、と言っていいだろう。
「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」は、映画史上空前絶後のヒット作「タイタニック」の主演コンビ、11年ぶりの再共演作。
とは言っても、華やかなラブロマンスやスペクタクルな大作を期待してはいけない。
「アメリカン・ビューティー」で、郊外のミドルクラスの崩壊を描いた英国人、サム・メンデス監督が今回作り上げたのは、満ち足りた日常に溺れ、幸せの本質を見失ってしまった、ある夫婦を巡る異色のホームドラマだ。

第二次世界大戦後、パーティで出会った復員兵のフランク・ウィーラー(レオナルド・ディカプリオ)と女優志望のエイプリル(ケイト・ウィンスレット)は、すぐに恋に落ち結婚。
レボリューショナリー・ロード沿いの美しい家で、二人の子供と共に満ち足りた生活を送っている。
しかし、何も変わらない平凡な毎日は、嘗て輝かしい未来を信じていたエイプリルの心に、言いようの無い倦怠感を齎していた。
ある日、彼女はフランクに、若い頃夢見ていたパリへの移住を提案する。
最初は躊躇していたフランクだったが、やがてエイプリルの考えに同意する。
しかし、計画が佳境に差し掛かったとき、エイプリルの体にはある変化が起こって・・・・


出世作となった「アメリカン・ビューティー」以来、一貫してアメリカの暗部を描いてきたサム・メンデスは、アメリカ社会の本質は郊外にあると思っている様だ。
この作品の舞台となる1950年代は、いわばアメリカの輝かしい豊かさが世界の憧れだった時代。
主人公のフランクとエイプリルのウィーラー夫妻には、美しい家も、十分な報酬を齎してくれる仕事も、愛する家族もあり、理屈の上では満ち足りて成功した人生を送っている。
しかしハリウッド映画のセットを思わせる豊かな生活の裏で、判で押したような平凡な毎日の繰り返しに、何かが間違っているのではないか、自分たちにはもっと別の可能性があるのではないかという葛藤を抱えており、それは時と共に次第に大きくなってくる。
そして、それは全てを捨ててパリへ移住するという、人生の「革命」として噴出するのである。

主演の二人、特にレオナルド・ディカプリオが良い。
思えば、役者としての彼のイメージを確立したのは「タイタニック」だったと思う。
以来、昨年の「ワールド・オブ・ライズ」に至るまで、「痛々しいくらいにひたむきな若者」を演じ続けて来た訳だが、今回のフランク役は、子供のように直情的な顔と、停滞をあえて受け入れる、くたびれた大人の顔もあるという複雑な役。
ディカプリオは二面性のギャップを巧みに使い分け、フランクのキャラクターをリアルで深みのある物にしている。
一方で、「タイタニック」のイメージを早々に拭い去る事に成功していたケイト・ウィンスレットは、とにかくキャラクターに圧倒的な説得力がある。
地に足をつけているはずなのに、何故か閉塞感から逃れられない、この手の迷えるマダム役をやらせたら恐らく今は世界一で、特に終盤の朝食のシーンで見せる穏やかな緊張感は本編の白眉だ。

メンデスは、レボリューショナリーロードの郊外ソサエティに、ウィーラー夫婦に加え、同世代で近所に住むシェップとミリーのキャンベル夫妻、家を紹介した不動産屋のヘレンとハワードの老夫婦、そして精神を病んでいるヘレンの息子のジョンというキャラクターを配し、それぞれに象徴的な役割を与えている。
キャンベル夫妻と不動産屋の夫妻は、彼らには成し得なかった選択をしたウィーラー夫妻に対する、羨望と嫉妬を象徴する役回りで、表面的には彼らの決断を賞賛するが、内心では恐らく計画の失敗を望んでいる。
また、彼らはウィーラー夫妻にとっての合わせ鏡であり、同時にIfの姿でもある。
こちらも「タイタニック」組のキャシー・ベイツが演じる、不動産屋のヘレンとハワードの姿は、もしもエイプリルが別の選択をしていたら、ウィーラー夫妻の未来の姿だったのかもしれないのである。
だからこそ、本心を仮面に隠す登場人物たち中で、唯一本音でのみ生きているヘレンの息子、ジョンの吐く言葉は、痛烈な皮肉となって、ウィーラー夫妻、そして彼らの姿にどこか自分を重ねている我々観客に突き刺さる。
物語のトリで、それまで一切アップを抜かれなかった夫のハワードの、ヘレンの独白を見つめる人生への諦めすら感じさせる空虚な目線は、なんとも言えない余韻を残す秀逸なラストであった。

「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」は、報われない幸せを探す若い夫婦の切ない物語だ。
メーテルリンクの「青い鳥」では、チルチルとミチルが幸せの青い鳥を捜し求めて長い冒険をするが、結局その鳥は初めから家の鳥かごにいた。
だが、ひと夏の葛藤の末に、エイプリルはたぶん知ってしまったのだ。
彼女の鳥かごには、初めから何も入っていなかったという事を。
レボリューショナリー・ロードは、その名とは逆に決して「革命」の起こらない場所。
そこに住む人は、理想と現実を天秤に架け、例えそれが命の無い剥製だとしても、それぞれに「青い鳥はいた」と思い込み、やがて虚像と現実は一体になる。
その残酷な人生の現実に、フランクは何とか折り合いを付け、エイプリルは付けられなかったという事なのだろう。

しかし、宣伝につられてラブロマンスだと思って観に行った観客は、あまりにも絶望的な内容に、あっけにとられる事必至。
特に今結婚を考えているカップルには決してお勧めしない。
まさに「結婚は人生の墓場」という格言の、リアルな例を見せ付けられる(笑

悪酔いして観た悪夢のようなこの映画、二日酔いの迎え酒として知られる「レッド・アイ」で締めよう。
ビールとトマトジュースを1:1でタンブラーに注ぎ、ステアする。
タバスコなどを加え、生卵を割り入れる場合もあるが、それだと精が付き過ぎるという場合はシンプルに飲んでも良いだろう。
ネーミングには赤いビールに浮かぶ卵が目玉に見えるからという説と、その色自体が二日酔いの赤い目を連想させるからという二つの説があるが、いずれにしてもボーッとした頭をスッキリさせてくれる。

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