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おっぱいバレー・・・・・評価額1550円
2009年04月24日 (金) | 編集 |
たぶん、映画史に残る凄いタイトル(笑
正直、このタイトルを劇場の窓口で言うのはかなりの拷問だと思うのだが、今はネットでチケットが買える時代なので、窓口スルーで観賞する予定だった。
いつもの様に発券機でチケットを受け取ろうとすると、モニターに「チケットをおとりください」と表示されるのに、いつまでたっても出てこない。
こ、こんな時に限って紙詰まり?!
「お客様大変申し訳ありません。で、何という映画のチケットでしょうか?」と、ニッコリ微笑む結構カワイイ窓口のお姉さん。
「えっと・・・・・『おっぱいバレー』です・・・・」
ああ、無情。

1979年、北九州。
中学校の教師として赴任してきた美香子(綾瀬はるか)は、バカ部と揶揄される弱小男子バレー部の顧問を引き受ける事になる。
美香子は、全くやる気の無い部員たちを何とか奮い立たせようとするのだが、なんと「試合に勝ったらおっぱいを見せる」というとんでもない約束をさせられてしまう。
子供たちには頑張る気持ちを知ってほしい、でもおっぱいは見せたくない。
戸惑う美香子だったが、おっぱいという最強のニンジンをぶら下げられた部員たちは、人が変わった様に練習に打ち込み、どんどん強くなって行く・・・・


この作品、タイトルのインパクトも凄いが、予告編の出来が素晴らしく、かなり前から楽しみにしていた一本だ。
典型的なスポコン物のプロットに、「おっぱい」という最強アイテムを放り込んだら、予想外にキュートでノスタルジックな、青春映画の佳作が出来上がった。
先生のおっぱいを見たいという欲望から、初めてバレーに真剣に取り組み、動機は不純ながらも徐々に何かに夢中になる事の楽しさ、尊さを知ってゆくバカ部の面々。
バレーの試合のシーンは、時間的には短いものだが、物語の中で効果的に配置されており、この作品が一応スポコン物でもある事を忘れさせない。
でも、「おっぱい!」が掛け声のチームと戦うのは、相手の立場ならちょっと嫌だぞ(笑
そして、生徒に一生懸命になる事の素晴らしさを知ってもらいたいものの、自分のおっぱいが彼らの夢になってしまっている事に戸惑う新米教師、美香子先生。
彼女の過去に纏わるエピソードが物語の背景として描かれ、美香子にとっても成長ストーリーとなっており、ヲバカな笑い以外に普遍的な要素もちゃんとある。
ただ、かなり楽しい作品だったが、予告編で期待したほどの弾け感は無かった。
おそらく、作り手の感覚的には完全に元男子中学生の視点で世界観を構築しているのに、物語的には女性教師の視点で進行するあたりが、やや作品世界から引いて観る感覚につながっているのではないかと思う。
もっとも、それは同時に元男子中学生以外の観客にとっては観やすさにつながっているはずなので、一概に欠点とは言えないのだが。

キャスティングもなかなか良い。
美香子先生を演じる綾瀬はるかは、ここ数作の主演作の中では、一番魅力的に撮られている。
この役は、誠心誠意お願いすれば、もしかしたらおっぱいを見せてくれるんでは・・・という妄想が成立する人でなければならないが、人の良さそうな雰囲気があり、尚且つサイボーグ役が出来るほどプロポーション抜群の綾瀬はるかは正にドンピシャ。
本人的に嬉しいかどうかは判らないが、代表作になったのではないだろうか。
美香子を困らせる6人のバカ部員たちも、まるで70年代からタイムスリップしてきた様でリアル。
それぞれが、クラスに一人はいたよな~こんな奴と思わせる説得力があった。
さりげなく美香子を支える堀内先生役の青木崇高や、元実業団選手役の仲村トオルも物語に上手く絡み、キャラクターに深みは無いものの、役割は良く考えられている。

監督の羽住英一郎と言えば、「海猿」の人であり、他の作品を含めても漫画チックで熱血な世界の印象が強い。
だが、この作品では思いのほか力が抜けて良い塩梅だ。
たぶん、60年代生まれの監督にとって、70年代末を舞台としたこの作品は、自分自身の少年時代をそのまま描いたという感じなのではないだろうか。
ファーストカットの掌が、一体何を表しているのか、男性なら5秒で判っただろう。
正にヲバカな男子中学生の妄想が炸裂したような、本作を象徴するような秀逸なオープニング。
この映画には、男性なら誰もが一度は経験した事のある、恥ずかしいエピソードが満載だ。
笑いや泣かせの大仕掛を組むというよりも、細かな描写までもが非常にリアルで、世の中の元男子中学生にとってはまるで自分の心の中のアルバムを密かにめくって見るような楽しさがある。
バカ部の面々が、一応成長の跡は見せつつも、最後までおっぱいへのこだわりを忘れないのも良かった。
最後の美香子先生への手紙はつまり、見るよりも感触という事だろうが、映画のファーストカットと上手くリンクしていた。

思うに、この映画は現在が舞台では成立しにくいだろう。
もちろん男子中学生の生態など、時代が変わっても大した変化は無いとは思うが、人間よりも環境の方が劇的に変わってしまった。
映画に描かれている様に、当時はおっぱいを見たくても、せいぜい河原で拾ったエロ本くらいで、深夜のお色気番組を親に隠れて見るのが精一杯。
ビデオもインターネットも無い時代において、おっぱい、特に動くおっぱいの付加価値というものは、現在よりも遥かに高かったのである。
全世界のエロを、クリック一つでダウンロードできる今の中学生に、この作品に描かれているおっぱいへの熱意を理解してもらうのは難しいだろう。
その意味で、この作品を一番楽しめるのは、今青春真っ只中という世代よりも、嘗ての自分を懐かしみつつも笑って眺める事の出来る大人たちだと思う。
カテゴリー的には青春映画だが、その視点はかなりノスタルジックで、時代設定を含めて良い意味で懐古趣味である。
感覚的には、「ALWAYS 三丁目の夕日」を観た時の感慨に近いのではないだろうか。

今回は、おっぱいゆえにπ
フランスはボジョレーから無限に続く円周率の名を持つ酒、「モルゴン キュヴェ 3.14π」の2004をチョイス。
当りはふくよかでやわらかく、その味わいはとても深く複雑。
正にワイン界のおっぱいである。

うーん、しかしこんなに「おっぱい」という単語を書いたのは始めてかもしれない(笑
正直、元中学生男子以外の人には、お勧め出来る作品なのかイマイチわからないのだけど、とりあえず、ナーイスおっぱい!

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