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天使と悪魔・・・・・評価額1500円
2009年05月20日 (水) | 編集 |
象徴学者ロバート・ラングドン教授を主人公とした、ダン・ブラウン原作のベストセラー小説、映画化第二弾。
原作はこの「天使と悪魔」の後に「ダ・ヴィンチ・コード」が続編として出版されたのだが、映画化の順番は逆になり、それに合わせて物語の時系列も「ダ・ヴィンチ・コード」の後という設定に変わっている。
主演のトム・ハンクス、監督のロン・ハワードをはじめとするメインスタッフは、ほぼ前作からの続投で、作品のカラーも基本的に踏襲されているが、映画としてはコンパクトなこちらの方が纏まりが良い。

ハーヴァード大学で宗教・象徴学を教えるラングドン教授(トム・ハンク)の元へ、バチカン警察から協力要請が届く。
嘗てバチカンによって迫害された、科学者たちの蜜結社「イルミナティ」が復活し、教会への報復を宣言。
折りしも、バチカンではローマ法王の逝去に伴う、新法王選出のためのコンクラーベが行われようとしており、イルミナティは新法王の有力候補である四人の枢機卿を誘拐し、バチカンのどこかに「反物質爆弾」を仕掛けたという。
それはスイスの欧州合同原子力研究機関(CERN)から盗み出された物で、核兵器級の破壊力を持っている。
イルミナティは午後八時から一時間おきに四人の枢機卿を処刑し、爆発のタイムリミットは午前零時と予告。
コンクラーベの間、法王の権限を代行するカメルレンゴのマッケンナ司祭(ユアン・マクレガー)は、ラングドンに事件の鍵を握る、ガリレオの裁判記録へのアクセスを許可し、彼はCERNのヴェトラ博士(アイェレット・ゾラー)の協力を得て、枢機卿が処刑される場所を特定しようとするのだが・・・


当たり前だが、ベストセラー小説の映像化は難しい。
多くの人が既に頭の中にイメージを持っているので、キャラクターやビジュアルに神経質にならざるを得ないし、物語がそのままでは長すぎる事も多く、脚色で何処を残して何処を切るのかの選択も、一歩間違えると原作ファンの総スカンを喰らう可能性がある。
かといって原作にあるもの全てを詰め込もうとすると、あまりにも駆け足になって結局原作既読者のための動く挿絵に成り下がってしまう。
「ダ・ヴィンチ・コード」も、個人的にはそれなりにがんばってはいたと思うが、原作になるべく忠実に、なるべく全部の要素をと欲張った結果、やや大味な作品になってしまっていた感がある。
脚本のデビッド・コープとアキヴァ・ゴールズマンは、前作で得た教訓を踏まえて、元々より映画向きな構造を持つ「天使と悪魔」を、かなり大胆に脚色している。
長大な物語から積極的な取捨選択を行い、特に登場人物のバックグラウンド説明を大幅にカットするという、かなり危険な挑戦をしているのだが、結果的にコレが物語を事件解決という明確な目標に集中させ、なかなかにタイトなサスペンスアクションとして成立させている。

今回は、とにかくラングドン教授が走る、走る。
迷路のように狭く入り組んだローマ市街を、車と自らの足で縦横無尽に駆け回る姿は、寡黙な象徴学者というよりは、まるで歳をとったジェイソン・ボーン(笑
事件は、午後八時から一時間ごとに四件の殺人が予告されており、最後の午前零時には反物質爆弾によってバチカンが吹き飛ばされるという事がはじめから判っている。
したがって、ラングドン教授一行は、連続殺人とテロを阻止するために、僅かなヒントを手がかりに、それぞれの殺人現場がどこなのか、爆弾の隠し場所がどこなのかを探し回る。
前作のダ・ヴィンチに代わって、今回ヒントになるのはガリレオの本巨匠ベルニーニの彫刻
土、空気、火、水の四元素をあらわす彫刻がローマの何処かの教会に存在しており、我らがラングドン教授が、ガリレオの残したヒントを頼りに深い知識と推理力で、それらの所在を一つずつ突き止めてゆくという寸法だ。
一箇所を見つけたら、はい次という構成で、それぞれの殺人の間隔が一時間というタイムリミットも加わって、全体としてはローマを舞台とした知的RPGという感じ。
謎の組織、イルミナティが雇ったと思しき凄腕の殺し屋が捜査を妨害し、どうやらバチカン内部にも内通者がいるらしいという疑心暗鬼も加わって、サスペンスを盛り上げる。

もちろん、前作同様ある種の観光地サスペンスの赴きもあり、今回も個性的な教会や芸術に溢れた、古の都ローマの魅力はたっぷり描写される。
またローマ法王選出にまつわる荘厳な儀式や、バチカン内の意外な組織の形態など、知的好奇心を刺激するとリビア的な興味も尽きない。
物語がコンパクトにまとまった分、こうした要素の配置も前作ほどばらけた印象は無く、ロン・ハワードの演出は見せるべき要素をテンポよく見せてゆく。
500年の伝統を誇るバチカンのスイス衛兵隊の兵舎に、中世さながらの斧や甲冑が装備されてるあたりは面白かった。
まあバチカン内の描写は何処までリアルなのかは知る由も無いが、確かに儀仗隊の性格もあるわけで、ああいう装備も必要なのかもしれない。
映画とは全然関係ないが、「アルプスの少女ハイジ」のアルムのおんじも元スイス傭兵っていう設定があったなあ・・・

ただ正直なところ、突っ込みどころも多々ある。
脚色によって存在意義があまりなくなってしまったキャラクターもいるし、何よりも真犯人の描写が最初から怪し過ぎとか、人物像が薄っぺら過ぎとか、計画に無理があり過ぎとか、サスペンス映画としては穴だらけだ。
これは映画の責任ではないかもしれないが、ミステリとしてのオチが一個人のチンマリした野望に収束してしまい、キリストの血脈という悠久の歴史を感じさせた前作に対してスケール感が足りないとか、例によって歴史的な事実の解釈が恣意的過ぎるという批判も出来るだろう。
計画の核心である反物質にしても、少なくとも現時点ではかなり荒唐無稽なSF的な解釈で、この話に持ってくるにはやや違和感があった。
もっとも反物質といえば、私の世代には「さらば宇宙戦艦ヤマト」であり、あの映画の刷り込み効果もあって、それなりに説得力を感じてしまったのも事実なのだけど。
また前作では、原作以上に映画版がカソリック批判的な内容になっていたが、さすがにやり過ぎたと思ったのか、今回バチカンの内情はある程度好意的に描かれている。

「天使と悪魔」は、一流の映画人によって手堅く作られた娯楽映画だ。
二作目という事で、ロン・ハワードとトム・ハンクスの監督・主演コンビは手馴れた感じでタイトなサスペンスアクションを仕上げている。
まあ宗教と科学という二つの価値観の衝突という、本作のテーマを更に追求してくれれば、作り様によってはかなり深い内容になったとは思うが、おそらくそれは映画的には諸刃の剣。
元々原作でもテーマ性にそれほど力が入っている訳でもなく、どっちつかずになってしまうよりは、単純明快な活劇と割り切った本作の作りは、これはこれで一つの見識だろう。
やや物足りない部分もあるが、2時間18分の間ダレを感じさせず、なかなかに楽しめる作品であった。

今回は、イタリアから「サンテロ・ピノ・シャルドネ・スプマンテ」をチョイス。
典型的なすっきり辛口で、どんな料理とも相性が良い。
映画でローマ観光を味わったら、ついでにイタリア料理と美味しいお酒で更に気分を高めよう。
コストパフォーマンスの高さも魅力だ。

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