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サマーウォーズ・・・・・評価額1650円
2009年08月01日 (土) | 編集 |
3年前の夏、小規模公開ながら口コミで人気が広がり、異例のロングランヒットとなった「時をかける少女」細田守監督の最新作。
「サマーウォーズ」というタイトルが付けられたこの作品、予告編からは田舎の大家族と奇妙なヴァーチャルワールドが絡むらしいという以外、どんな話なのかさっぱりわからなかったが、なるほどこれは実に細田監督らしい異色の「戦争映画」である。

高校二年の夏休み。
数学オタクの小磯健二(神木隆之介)は、憧れの先輩・夏希(桜庭ななみ)からアルバイトを頼まれる。
二人は長野県の上田にある夏希の田舎にやって来るが、祖母の栄(富司純子)は室町時代から続く武家の名門・陣内家の当主だった。
90歳の栄の誕生祝に、全国から続々と集まってくる御親戚の皆さん。
そこで健二は、突然夏希から「フィアンセのふりをしてくれ」と頼まれる。
あっけにとられる健二の元に、その夜何者かから数学の難題がメールで送られてくる。
何かのクイズかと思った健二は、問題を解いて返信してしまうが、実はこの問題は、全世界で10億人以上が利用し、現実世界のライフラインと直結する巨大ヴァーチャル空間「OZ」のセキュリティキーだったのだ。
目を覚ました健二が目にしたのは、全国ネットのテレビで、大混乱の犯人として流されている自分の顔写真と、彼を見つめる陣内家の面々の冷たい視線だった・・・


舞台となるのは、長野県上田市にある旧家のお屋敷と、セカンドライフをもっと巨大にしたようなヴァーチャル空間、OZ
現実世界と密接に結びついたOZの中に、突如としてある「怪物」が現れた事で、現実世界が崩壊に向かってしまい、デジタルとは一番縁遠そうな田舎の日本屋敷で、世界を救う戦争が遂行されるというのが物語の骨子だ。
たぶんこの設定でピンとくる人も多いだろうが、本作のアイディアのベースとなっているのは、細田監督の出世作である「劇場版デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」だろう。
ネットの世界に現れた怪物の暴走を止めるために、二人の子供が活躍する「デジモン」を、基本設定はそのままに拡大・改良し、「時をかける少女」の青春物の要素を組み合わせ、細田監督が一貫して描いてきた人間同士の絆をテーマに纏め上げたのが「サマーウォーズ」と言える。

「デジモン」は、二人の子供の戦いだったが、今回は健二と中学生ゲーム王から90歳のおばあさんまで、陣内家の個性的な面々がそれぞれの方法で世界の危機と戦う。
何でも、大家族物というアイディアは、細田監督が上田にある奥さんの実家に食事に行った時に、思いがけず親戚一同が集まった結婚披露宴になってしまった事から思いついたらしい。
まずは前半に、デジタル人間の健二の無意識の過ちが世界を大混乱に落とし入れ、さらに問題の根本に陣内家のはみ出し者である侘助の野望が絡んでいる事がわかると、当主の栄が今や骨董品の黒電話という超アナログなツールを駆使して混乱を最小限に抑えにかかり、お次は様々なジャンルのスペシャリストが揃った陣内家が結束して混乱に立ち向かう。
戦う陣内家のモデルになっているのは、もちろん信州上田から戦国の世に名を轟かせた真田氏だろう。
数々の数的劣勢の合戦を、団結と知略で生き抜いてきた真田軍団の戦いを、現代のヴァーチャル戦争に投影したという事か。

この作品は、まあSFと思えばSFなんだろうけど、描かれている世界は既に荒唐無稽な絵空事とは言えず、現実とSFの境界線上の物語と言えるかも知れない。
テクノロジーの発達によって世界がどんどん便利になる反面、希薄化する生身の人間同士の触れあいや、全ての情報が一元化されるシステムの脆弱性に対する危機感には十分なリアリティがありる。
ここまで来ると、デジタル技術に過度に依存した現代社会を批判したくなるところだが、単純な文明批判に持っていかないあたりが、なかなか思慮深いところ。
何しろOZは鯨の姿をしたジョンとヨーコが守護するラブ&ピースな世界であり、その世界を崩壊させるのは「ラブマシーン」(笑)という名の野望の塊。
ハイテクだろうがローテクだろうが、結局人間の作り出した物は、それを生かすのも殺すのも人間であり、ラブマシーンだって使い方次第で世界を滅ぼせるのである。
物語のクライマックスでは、文字通り仮想と現実が一体となって、OZの世界にも決して諦めない人々の善意が溢れ出す事で、人間の絆というのは社会の変化と共に、常に新しい形が出来てくるのだという事をキッチリと描いてくるのはさすがである。
本作と同じく貞本義行がキャラクターデザインを手がけた、「エヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズとは違った意味で、現在の日本社会を希望的に捉えた作品と言える。

田舎の大家族の織り成すホームドラマと、高校生の甘酸っぱい青春物、さらにはみ出し者の野望が生み出した怪物とのヴァーチャル戦争と、「サマーウォーズ」を構成する要素は一見脈役が無いくらいに盛りだくさんだ。
だが2時間弱の上映時間の中に整然と纏まった物語は、「全世界のハッカーは、混乱の間一体何をしているのか?」など多少の突っ込みどころはあるものの、全体にテンポ良く快調に進み、無理やり詰め込んだ感はあまり無い。
これは作者の頭の中で、物語が収束するポイントが明確に定まっており、幾ら風呂敷を広げたとしても畳む手順がキッチリと計算されているからだろう。
ある種の群像劇なのに、メインの登場人物それぞれに個性を発揮する見せ場が用意され、手持ち無沙汰なキャラがいないあたりも含めて、奥寺佐渡子が担当した脚本は構成力の高さが際立つ。
「学校の怪談」シリーズ以来少年少女の描写には定評のある人だが、間違いなくベストワークだろう。

技術的なクオリティも極めて高い。
まるで頭のネジが飛んじゃった人が描いた様な、OZのサイケデリックな世界はフルCGで描かれ、昔ながらの手描きアニメで表現される、現実世界の生活観たっぷりの日本の夏との対比は、作品の内容ともリンクしており、試みとしても面白い。
ジブリ作品でもお馴染みの武重洋二の素晴らしい美術は、まるで夏草の香りまでスクリーンを通して漂ってくる様だ。
もちろん、細田演出の特徴でもある、キャラクターたちの演技の細やかさは今回も健在で、ちょっとした衣装の拘りや所作でその人物の人となりが観る者にリアルに伝わってきて、この作品に独特の生っぽさを与えている。
内容的にも映像的にも、日本のアニメーション映画のレベルの高さを十二分に堪能できる秀作であり、夏休み映画として老若男女に進められる作品だ。

今回は、真夏の戦いの後にサッパリ飲みたい「サッポロ ラガービール」をチョイス。
劇中の宴会にも登場していたが、ビールと言うのは不思議と土地柄の出る飲み物で、日本の夏にはスッキリした日本のビールが一番合う。
力の入った夏休み映画の後には、キンキンに冷やしたビールで乾杯!

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