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2009年11月20日 (金) | 編集 |
「Disney's クリスマス・キャロル」は、デジタルアニメーション映画の世界で、独自のスタイルを追求しているロバート・ゼメキス監督による最新作。
ホリデーシーズンの定番中の定番、ディケンズの「クリスマス・キャロル」の映画化である。
ジム・キャリーが主人公のスクルージを始め複数のキャラクターを演じるなど、やはりクリスマスを題材にトム・ハンクスが一人五役を演じた2004年の「ポーラー・エクスプレス」を彷彿とさせる。
2億ドルの巨費を投じた映像の出来栄えも素晴らしく、見た目も美味しい豪華なクリスマスケーキの様に、ビジュアルと物語の両面で老若男女が楽しめる良作と言える。
凍てつく氷の様な心を持つエベネーザ・スクルージ(ジム・キャリー)は、ロンドンの下町に事務所を構え、書記のボブ・クラチット(ゲイリー・オールドマン)を薄給で雇い、強欲な商売で利益を上げ続けている。
愛情には無縁で金が全ての人生を送っているスクルージは、人々が訳も無く幸せそうに振舞うクリスマスが大嫌い。
甥っ子からのディナーへの招待も、恵まれない人々への寄付の願いも全て断ってしまう。
ところがイブの夜、彼の元へ嘗てのビジネスパートナーであるマーレイの幽霊がやってきて、これからスクルージの元に三人の精霊がやってくると告げる。
それは過去・現在・未来のクリスマスの精霊だというのだが・・・
クリスマスを題材にした文学は数多いが、1843年にイギリスで出版された「クリスマス・キャロル」はその中でも最も有名な作品と言って良いだろう。
映画やテレビなどで映像化された回数も数知れず、何と記録に残る最初の映像化は、映画の黎明期である1901年にまで遡るのだ。
キリスト教圏はもちろんのこと、日本人でも一度くらいは何らかの形で観た事、読んだ事のある物語なのではないかと思う。
まあ日本で言えば師走の定番「忠臣蔵」に匹敵するくらい、あまりにも有名な小説であり、今回の映画化も物語的には原作にかなり忠実な作りで、特に奇を衒って脚色された部分は無い。
お話その物は面白さの保障がついているような物なので、映画としての興味はやはり定番の物語をどのように映像化しているかという点になるだろうが、ロバート・ゼメキスは彼独自のデジタルアニメーションのスタイルをさらに進化させ、非常にゴージャスな新しい「クリスマス・キャロル」を作り出している。
現在のデジタルアニメーション、特に3DCGはピクサーに代表される漫画チックなカリカチュアを追及したキャラクターアニメーションと、実写映画のVFXに代表される徹底的なリアリズムにほぼ二極化しているが、ゼメキスは「ポーラー・エクスプレス」以来、そのどちらでも無い第三の道を歩んでいる様に思う。
簡単に言えば、フルCGによる現実にはあり得ないロケーションとカメラワークと、実写俳優によるハイレベルな演技力の融合である。
ピクサー作品などの場合、キャラクターの演技はアニメーターによって手付けされるが、こちらではパフォーマンスキャプチャという技術によって、細かな表情までもコピーされた俳優の演技がCGキャラクターに移し変えられる。
これにより、超一級の俳優の演技をそのままCGワールドに取り込む事が可能となり、本作でもジム・キャリーが少年から老人までの各年代のスクルージと、過去・現在・未来のクリスマスの精霊を全て一人で演じている他、ゲイリー・オールドマンやゼメキス作品では御馴染みのロビン・ライト・ペンらがそのパワフルな演技をデジタルキャラクターに提供している。
もちろん手付けによるアニメーションにもパフォーマンスキャプチャとは違った良さがあるし、演出的な考え方も異なってくると思うが、ピクサー型アニメーションがディズニー出身のジョン・ラセラーらによって、セルアニメの延長線上で発展してきたのに対し、こちらは実写出身のゼメキスが実写の延長上に作り上げてきたスタイルと言えるかもしれない。
またゼメキスはCGというツールを、テーマをストレートに語れる寓話的、神話的な世界を作り上げるのに向いていると考えているフシがあり、実写の考え方をベースとしながらも異世界感を感じさせる画作りも彼の作品の独自性を際立たせている。
その映像は、とにかく贅沢だ。
フルCG作品でも、実は引きの背景などはアナログなマットペインティグで処理している作品が多いのだが、これは一体どこまで作りこんでいるのか。
19世紀中ごろのロンドンを再現したビジュアルは見事で、特にスクルージの帰路にあわせてカメラがワンカットでロンドン中を縦横無尽に駆け抜けるシーンは圧巻。
これを作るだけでも、どれだけのマン&マシンパワーが必要になったのかを想像すると、なるほど2億ドルという巨額のバジェットも納得である。
演出的には立体上映に早くから取り組んできたゼメキスらしく、全体に立体である事を強く意識した演出がなされており、立体感そのものも「ポーラーエクスプレス」「ベオウルフ/呪われし勇者」からさらに進化が感じられ、観賞するなら3D立体上映版をお勧めする。
最近の映画に立体上映の作品が多いのは、どちらかというと海賊版防止のためであるので、立体版があっても演出的必然を感じない作品も少なくないが、これは間違いなくプラス料金を出しても立体版の方が楽しめるだろう。
「Disney's クリスマス・キャロル」は、誰もが知っている物語を、美しく神秘的な映像で再現したホリデーシーズンに相応しい豪華なファミリー映画である。
ディケンズの原作は、娯楽小説としても非常に良く出来ているが、なによりも良きキリスト教精神を表した優れた寓話で、普遍的なテーマ性を持つ。
産業革命による資本主義の無秩序な拡大によって、急激に持てる者と持たざる者の間の格差が広まっていた当時のイギリス社会に、クリスマスの寓話を通して慈善と友愛の精神を訴えた物語は、出版されてから160年以上を経た現在も、その存在意義は薄れるどころかむしろ高まっているように思える。
貧富の差が無く「世界一成功した社会主義国」と言われていたのも今は昔、いつの間にかOECD加盟国中で、国民の貧困率がワースト4位にまでなってしまった格差社会日本においても、この作品の提示するテーマは十分な説得力を持つだろう。
はたして、この国にいる沢山の「スクルージ」の元に、クリスマスの精霊はやってくるのだろうか。
今回はクリスマスに飲みたい華やかな酒。
カリフォルニアはアンダーソンヴァレー産のスパークリング「シャッフェンベルガー・ブリュット/カリフォルニアスパークリング」をチョイス。
ホワイトハウスのディナーでもしばしば提供される、アメリカを代表するスパークリングの一つであり、相対的に値段は高めだが、同程度のシャンパーニュに比べれば遥にコストパフォーマンスは高い。
はじける泡と余韻のある複雑でフルーティなテイストは、クリスマスの夜を盛り上げてくれるだろう。
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ホリデーシーズンの定番中の定番、ディケンズの「クリスマス・キャロル」の映画化である。
ジム・キャリーが主人公のスクルージを始め複数のキャラクターを演じるなど、やはりクリスマスを題材にトム・ハンクスが一人五役を演じた2004年の「ポーラー・エクスプレス」を彷彿とさせる。
2億ドルの巨費を投じた映像の出来栄えも素晴らしく、見た目も美味しい豪華なクリスマスケーキの様に、ビジュアルと物語の両面で老若男女が楽しめる良作と言える。
凍てつく氷の様な心を持つエベネーザ・スクルージ(ジム・キャリー)は、ロンドンの下町に事務所を構え、書記のボブ・クラチット(ゲイリー・オールドマン)を薄給で雇い、強欲な商売で利益を上げ続けている。
愛情には無縁で金が全ての人生を送っているスクルージは、人々が訳も無く幸せそうに振舞うクリスマスが大嫌い。
甥っ子からのディナーへの招待も、恵まれない人々への寄付の願いも全て断ってしまう。
ところがイブの夜、彼の元へ嘗てのビジネスパートナーであるマーレイの幽霊がやってきて、これからスクルージの元に三人の精霊がやってくると告げる。
それは過去・現在・未来のクリスマスの精霊だというのだが・・・
クリスマスを題材にした文学は数多いが、1843年にイギリスで出版された「クリスマス・キャロル」はその中でも最も有名な作品と言って良いだろう。
映画やテレビなどで映像化された回数も数知れず、何と記録に残る最初の映像化は、映画の黎明期である1901年にまで遡るのだ。
キリスト教圏はもちろんのこと、日本人でも一度くらいは何らかの形で観た事、読んだ事のある物語なのではないかと思う。
まあ日本で言えば師走の定番「忠臣蔵」に匹敵するくらい、あまりにも有名な小説であり、今回の映画化も物語的には原作にかなり忠実な作りで、特に奇を衒って脚色された部分は無い。
お話その物は面白さの保障がついているような物なので、映画としての興味はやはり定番の物語をどのように映像化しているかという点になるだろうが、ロバート・ゼメキスは彼独自のデジタルアニメーションのスタイルをさらに進化させ、非常にゴージャスな新しい「クリスマス・キャロル」を作り出している。
現在のデジタルアニメーション、特に3DCGはピクサーに代表される漫画チックなカリカチュアを追及したキャラクターアニメーションと、実写映画のVFXに代表される徹底的なリアリズムにほぼ二極化しているが、ゼメキスは「ポーラー・エクスプレス」以来、そのどちらでも無い第三の道を歩んでいる様に思う。
簡単に言えば、フルCGによる現実にはあり得ないロケーションとカメラワークと、実写俳優によるハイレベルな演技力の融合である。
ピクサー作品などの場合、キャラクターの演技はアニメーターによって手付けされるが、こちらではパフォーマンスキャプチャという技術によって、細かな表情までもコピーされた俳優の演技がCGキャラクターに移し変えられる。
これにより、超一級の俳優の演技をそのままCGワールドに取り込む事が可能となり、本作でもジム・キャリーが少年から老人までの各年代のスクルージと、過去・現在・未来のクリスマスの精霊を全て一人で演じている他、ゲイリー・オールドマンやゼメキス作品では御馴染みのロビン・ライト・ペンらがそのパワフルな演技をデジタルキャラクターに提供している。
もちろん手付けによるアニメーションにもパフォーマンスキャプチャとは違った良さがあるし、演出的な考え方も異なってくると思うが、ピクサー型アニメーションがディズニー出身のジョン・ラセラーらによって、セルアニメの延長線上で発展してきたのに対し、こちらは実写出身のゼメキスが実写の延長上に作り上げてきたスタイルと言えるかもしれない。
またゼメキスはCGというツールを、テーマをストレートに語れる寓話的、神話的な世界を作り上げるのに向いていると考えているフシがあり、実写の考え方をベースとしながらも異世界感を感じさせる画作りも彼の作品の独自性を際立たせている。
その映像は、とにかく贅沢だ。
フルCG作品でも、実は引きの背景などはアナログなマットペインティグで処理している作品が多いのだが、これは一体どこまで作りこんでいるのか。
19世紀中ごろのロンドンを再現したビジュアルは見事で、特にスクルージの帰路にあわせてカメラがワンカットでロンドン中を縦横無尽に駆け抜けるシーンは圧巻。
これを作るだけでも、どれだけのマン&マシンパワーが必要になったのかを想像すると、なるほど2億ドルという巨額のバジェットも納得である。
演出的には立体上映に早くから取り組んできたゼメキスらしく、全体に立体である事を強く意識した演出がなされており、立体感そのものも「ポーラーエクスプレス」「ベオウルフ/呪われし勇者」からさらに進化が感じられ、観賞するなら3D立体上映版をお勧めする。
最近の映画に立体上映の作品が多いのは、どちらかというと海賊版防止のためであるので、立体版があっても演出的必然を感じない作品も少なくないが、これは間違いなくプラス料金を出しても立体版の方が楽しめるだろう。
「Disney's クリスマス・キャロル」は、誰もが知っている物語を、美しく神秘的な映像で再現したホリデーシーズンに相応しい豪華なファミリー映画である。
ディケンズの原作は、娯楽小説としても非常に良く出来ているが、なによりも良きキリスト教精神を表した優れた寓話で、普遍的なテーマ性を持つ。
産業革命による資本主義の無秩序な拡大によって、急激に持てる者と持たざる者の間の格差が広まっていた当時のイギリス社会に、クリスマスの寓話を通して慈善と友愛の精神を訴えた物語は、出版されてから160年以上を経た現在も、その存在意義は薄れるどころかむしろ高まっているように思える。
貧富の差が無く「世界一成功した社会主義国」と言われていたのも今は昔、いつの間にかOECD加盟国中で、国民の貧困率がワースト4位にまでなってしまった格差社会日本においても、この作品の提示するテーマは十分な説得力を持つだろう。
はたして、この国にいる沢山の「スクルージ」の元に、クリスマスの精霊はやってくるのだろうか。
今回はクリスマスに飲みたい華やかな酒。
カリフォルニアはアンダーソンヴァレー産のスパークリング「シャッフェンベルガー・ブリュット/カリフォルニアスパークリング」をチョイス。
ホワイトハウスのディナーでもしばしば提供される、アメリカを代表するスパークリングの一つであり、相対的に値段は高めだが、同程度のシャンパーニュに比べれば遥にコストパフォーマンスは高い。
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