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パブリック・エネミーズ・・・・・評価額1550円
2009年12月12日 (土) | 編集 |
アメリカ犯罪史上に名を残すギャング、ジョン・デリンジャー
過去に何度も映像化されてきたキャラクターだが、映画では1973年にジョン・ミリアス監督、ウォーレン・オーツ主演で作られた、その名も「デリンジャー」が有名だろうか。
映像派のマイケル・マン監督による「パブリック・エネミーズ」は、男臭いフィルムノワールであるのは相変わらずながら、主演に優男のジョニー・デップを迎え、デリンジャーのロマンスにスポットを当てた事もあり、歴代デリンジャーの中でもっともスタイリッシュでオシャレなムードを持つ作品となった。

1933年、大恐慌下のアメリカ。
次々と銀行を襲うギャングのジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は、決して庶民の金には手を出さない義賊として大衆からも持てはやされていた。
そんな状況を苦々しく見ていた捜査局のフーヴァー長官(ビリー・クラダップ)は、敏腕捜査官のメルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベール)を彼が潜伏するシカゴに送り込む。
一方のデリンジャーは、レストランで見かけた赤いドレスの女、ビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)に心を奪われ、恋に落ちていた。
シカゴに着任したパーヴィスは、デリンジャーのギャング団のアジトと思しきアパートに踏み込むのだが・・・


大恐慌が経済を直撃し、禁酒法の残滓が社会に後を引く1930年代は、数々の犯罪者が米国裏社会の歴史を闊歩した。
マシンガン・ケリー、ボニー&クライド、ラッキー・ルチアーノといったギャングやマフィアは、ハリウッド映画でも御馴染みの面々だ。
その中にあって、後にFBIを創設し初代長官となるJ・E・フーヴァーから、「パブリック・エネミー(社会の敵)No.1」のレッテルを初めて貼られ、大捜査が展開されたのが、本作の主役ジョン・デリンジャーだ。
マイケル・マンは、デリンジャーが伝説の存在となる1933年から1944年7月に射殺されるまでのおよそ一年間の出来事を、テンポ良く展開させてゆく。
細かな時系列の差異や、登場人物の役割の変更はあるものの、物語は比較的史実に忠実に作られており、当初大衆の人気者だったデリンジャーが、徐々に追い詰められて行くプロセスは、時代背景も詳細に描かれていて物語に深みを加えている。
銀行強盗という犯罪そのものが金を稼ぐ手段として時代遅れとなり、デリンジャーの様な昔ながらのアウトローが、警察だけでなく犯罪組織からも邪魔者として狙われるという描写は、歴史に名を残した多くのギャングスターたちが、30年代を生き抜けなかった事の理由が垣間見られて興味深い。
マンの得意とする重厚なアクション演出も冴え、スタイリッシュなフィルムノワールとしても観応えは十分だ。

デリンジャーを演じるジョニー・デップが良い。
「ネバーランド」で演じたバリの様なナイーブな役から、ジャック・スパロウに代表されるオバカキャラまで、この人の芸域は実はとても広いのだが、所謂カメレオンアクターとは少し違う気がする。
意図している訳ではないだろうが、役柄のコアの部分にジョニー・デップというスターの存在感を必ず残しているのだ。
本作の場合も、どう見てもカタギではない眼光鋭い犯罪者を丁寧に演じているのだが、「世界一セクシーな男」であるデップもキャラクターの中にちゃんといて、このあたりが女性ファンを惹きつける秘密なのかなと思う。
このデップならではのデリンジャー像を得て、彼とマリオン・コティヤールという美形カップルのロマンスを物語の横軸に、ライバル的な位置付けとなるクリスチャン・ベールとの戦いを縦軸に設定するという物語の構造は、本作の味わいを男性的なフィルムノワールとは一味違った重層的な味わいのある作品にしている。

ただ、これは同時に物語の構造上の欠点にもなってしまっている。
縦軸と横軸がそれぞれ別々の方向性を持って拡散し、ドラマチックに収束するポイントを持たないために、作品の印象がややぼやけてしまったのだ。
本来ならデップに伍する主役級の印象でなければならない、クリスチャン・ベールとマリオン・コティヤールも、「重要な脇役」以上の印象になっていないのが本作の問題を端的に現している。
特に残念なのは、デリンジャーとビリーの間にある絆の所以をあまり感じられなかった事か。
偶然出会った彼らが何故それほど惹かれあい、また滅んで行くのかという説得力が、実際に二人が共にする時間が短く、内面の描写不足もあって少し弱い。
二人の間にある情念の様な物を十分感じさせてくれていたら、この作品の魅力は更に増したはずである。
マンを初めロナン・ベネット、アン・ビダーマンの脚本陣は、伝説のギャングの太く短く刹那的な生を魅力的に描いているが、どうせならもう一歩踏み込んで欲しかったところだ。

脚色で面白いのは、デリンジャー伝説の中で必ず語られる「赤いドレスの女」の逸話が形を変えている事だろう。
史実では、映画館での待ち伏せの時、警察の協力者であるアンナが、目立ちやすくするために赤いドレスを着ていた。
この事が有名になった事で、「赤いドレスの女(the lady in red)」は男を破滅させる魔性の女の事を指すスラングとして今に残るのである。
ローレンス・カスダン監督のサスペンス映画の佳作“Body Heat”に、「白いドレスの女」というもじった邦題をつけた人も、このスラングを知っていたのだろう。
ところがこの映画では、クライマックスのアンナはごく普通の服装で、彼女の代わりに目にも鮮やかな赤いドレスに身を包んで登場するのがヒロインであるビリー・フレシェットという訳だ。
物語的にも、彼女に出会ったことで、デリンジャーはいつの間にか破滅へのスパイラルから逃れられなくなっているので、この作品の場合確かに赤いドレスの女はビリーが相応しいのかも知れない。

今回は、ジョニー・デップの愛飲酒である「ぺルノ・アブサン」をチョイス。
お友達でアブサン狂として知られるマリリン・マンソンにアブサンの魅力を教え込まれて以来、色々なアブサンを夜な夜な楽しんでいるそうな。
一時はニガヨモギの覚醒作用が問題視されて製造を禁止されていたこの酒、そう言えばデップは「フロム・ヘル」の中で、かなりキケンな古式の飲み方を披露していたっけ。

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