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アバター・・・・・評価額1800+円
2009年12月27日 (日) | 編集 |
言葉が出ない・・・スゴ過ぎる。
「アバター」は、劇場用の長編映画としては「タイタニック」以来実に12年ぶりとなるジェームス・キャメロン監督の最新作。
正直なところ、キャメロンは「タイタニック」で燃え尽きてしまって、もう劇映画を撮らないのではないかと思っていた。
だが、この作品を観ると、なるほどこれは12年かかるかも・・・というか、毎回このクオリティを維持してくれるなら、12年に一回でも全然OKだ。
スピルバーグが「スターウォーズ以来、最も刺激的で驚くべきSF映画」と唸ったのも納得。
これは正に2009年、いや新ミレニアムの最初の10年を締めくくるに相応しい、途轍もない映画体験である。

地球から遠く離れた惑星系にある、緑の衛星パンドラ。
この自然豊かな星には、ナヴィという青い肌で背の高い先住民族が住み、鉱物資源を求める人類の入植者と小競り合いを繰り返していた。
地球での戦争で車椅子生活となった元海兵隊員ジェイク・サリー(サム・ワーシントン)は、死んだ双子の兄の代役として、パンドラにやってくる。
彼の任務は、人間とナヴィのDNAを掛け合わせて作られた“アバター”の体を遠隔操作し、ナヴィの部族に入り込み、彼らの信頼を得る事。
だが、人間とナヴィの融和を図ろうとする、グレース・オーガスティン博士(シガニー・ウィーバー)らのアバタープロジェクトに懐疑的なマイルズ・クオリッチ大佐(スティーブン・ラング)は、ジェイクに脊髄の治療と引き換えに軍事侵攻のための情報を引き出すように要求する。
ジェイクはナヴィの族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と親しくなり、次第に彼らの仲間として溶け込んで行くが、やがて人間の自分とアバターの自分の間で深刻な葛藤を抱える様になる・・・


映画の未来を開く作品と宣伝されているが、決してオーバーではない。
ついにデジタル技術はここまで来たのかという思いだ。
映画の歴史上、デジタル映像が初めて商業映画に使われたのは1970年代。
以来、一歩一歩着実な進化を遂げてきたわけだが、これはその歴史をロケットブースターで一足飛びに新たな次元にワープさせてしまった。
間違いなく映像技術史における分水嶺となる作品であり、今後はこの作品がデジタルでの映像作りの技術的な指針となるだろう。
CGキャラクターの不気味の谷の問題も、レンダリングの空気感ももはや関係なく、本作で描写されるキャラクター、風景はそれが現実でないとは思えない。
ナヴィも、ユニークな動物たちも、想像を絶するパンドラの世界も、この宇宙のどこかに実在していて、そこでロケーションを行ってきた様な錯覚すら感じさせる。
何よりも、人間に似ている様だが、青い皮膚のエイリアンに感情移入し、“我々自身”である人類を敵役として認識させるのだから尋常ではない表現力である。
立体演出的にも、所謂飛び出す感覚を見世物的に強調するのではなく、映画の世界の臨場感をを奥行きと広がりを持って観客に伝える事に主眼を置いており、我々はまるで自分自身がパンドラという未知の世界で、壮大な冒険旅行をしている様な気分を感じるのである。
正に、スクリーンに映し出されたストーリーを追うのではなく、一つの世界を体験する映画なのだ。

物語的には、異文化間の葛藤を描いた「ダンス・ウィズ・ウルブス」あるいは「ラスト・サムライ」のプロットを宇宙に移し、「もののけ姫」のテーマを描いた作品と言えよう。
王道のストーリーであり、緻密ではあるものの、特に斬新ではない。
戦争という最も利己的で愚かな行為によって、自分たちが存在している世界の根幹を破壊してしまうという皮肉な展開が浮かび上がらせるテーマは、キャメロン自身宮崎駿の影響を受けたと語っており、戦う人間への嫌悪を強く感じさせつつも、結局のところ戦いでしか解決できないあたりも宮崎的ではある。
大地との共生を知らず破壊しようとする限り、人類は“滅びるべきものでしかない”というのがこの作品のメッセージだろうが、キャメロンも宮崎も基本的にアクション監督であり、「戦闘シーンはどうしても派手に撮りたいんだぁ!」という魂の叫びが聞こえなくもない(笑
もっとも、物語が帰趨すべきところに帰趨し、ある意味類型的なのはやむをえないだろう。
こういったシチュエーションで全てが丸く収まるような解決策が簡単に見つかるなら、人類の歴史はもっと平和だろうし、作品のテーマ的にも異民族間の葛藤の問題よりも、母なる大地を守る事の方にプライオリティが置かれており、その為に様々な設定がなされている。
優れた異世界ファンタジーは、たいていその世界を特徴付けるワンポイントを持っている物だが、本作の場合は、パンドラの全ての動植物は髪の毛に似た神経細胞を結合させる事で、精神をシンクロさせる事が出来るという事だろう。
この秀逸なアイディアは、物語の後半で明かされるパンドラの驚くべき秘密に繋がり、クライマックスの展開にも大きく影響してくるだけでなく、映画のテーマにも直結して、本作を単なる冒険ファンタジー以上の非常にわかりやすい哲学性を持つ映画として見事に昇華しているのである。
まあ一言で言えばガイア思想なのだが、この良く知られているが漠然とした言葉を、ここまでストレートに具体化した作品は覚えが無い。

先住民族ナヴィのルックスや文化、哲学には明らかにネイティブアメリカンのイメージが投影されているが、ネイティブアメリカンそっくりの異星人が“侵略者”地球人と争うという設定はトニー・ダニエルのSF小説「戦士の誇り」を連想させる。
また衛星パンドラのビジュアル、特に巨大な樹木の枝が迷路の様に張り巡らされた風景は、日本の漫画「暁星紀」あるいは「風の谷のナウシカ」の腐海の森のイメージだろうか。
天空に浮かぶ巨大な岩は、ルネ・マグリットのシュールレアリズム絵画「ピレネーの城」に良く似ている。
今までキャメロンが吸収してきたであろう、様々な映画や芸術からのインスパイアが無数に感じられるが、それらは彼の創造したパンドラという星の風景と、そこで語られる星の神話として完璧に融合されており、浮いた部分は一つも無い。
自らの記憶に残る作品にオマージュを捧げる映画作家は多いが、これはその中でもお手本と言える。

人間のジェイクと青い肌のアバターを演じたサム・ワーシントンは、物語的にもキャラクターとしても消化不良気味だった「ターミネーター4」とは比べ物にならないくらいに魅力的だ。
戦争で下半身不随となるも、アバターとして再び自分の足で歩き、走り回れる事に無邪気に喜び、人間とナヴィとの間で深い葛藤を抱えて悩む、どこにでもいそうな人間臭いキャラクターを演じ、観客をこの世界へ入りやすくしている。
また一つの心に人間とナヴィという二つの肉体を有し、片方が目覚めている時はもう片方が眠っているという設定は、サスペンスの盛り上げにも効果的に使われていて無駄が無い。
アバタープロジェクトの責任者で、ジェイク同じようにアバターとしても活動するグレースには、86年の「エイリアン2」以来23年ぶりにキャメロンと組むシガニー・ウィーバー、ナヴィキャラなので素顔を見せることは一度もないネイティリ役は「スター・トレック」が記憶に新しいゾーイ・サルダナが配され、それぞれ好演している。
だが、彼ら以上にパワフルで生き生きしているのが、クオリッチ大佐を演じたスティーブン・ラングだろう。
「エイリアン2」のパワーローダーに良く似た戦闘用モビルスーツを操る、三度の飯より戦争大好きなオバカ軍人を嬉々として演じてインパクト絶大。
クライマックスのバトルシーンは、ちょっと強すぎだろう(笑
またキャメロン作品にはしばしば魅力的な女性兵士が登場するが、嘗て一部のSFオタクから熱烈な支持を受けたバスケス的なキャラクターが、最近ノリノリでキャリアを重ねているミッシェル・ロドリゲス演じるヘリコプター(?)パイロットのトゥルーディ。
出番は少ないながらも、萌えと燃え両方を感じさせてくれる格好良いキャラクターであった。
全体に、人類サイドの世界観やメカデザインは、「エイリアン2」に良く似ていて、同じ世界観の中のアナザー・ストーリーと言われても違和感がない。

「アバター」は、映像表現の歴史上、大きな転換点となるエポックメイキングな作品であり、映画館で観賞する価値のある映画だ。
これは体験する映画であり、徹底的に作りこまれたパンドラの世界での冒険は、ある意味で一番お手軽な宇宙旅行と言っても良い。
3時間近い上映時間という事で、立体版と通常版のどちらで観賞するか迷っている人も多いだろうが、先ずは立体版で観るのが良い。
私は立体メガネが軽量で、メガネonメガネでも疲れにくい、RIAL3D方式の劇場で立体版を観賞し、その後他県に遠征してIMAX 3Dで再観賞。
通常の映画館の立体版でも十分楽しめるが、圧倒的な映像の臨場感はやはりIMAXには敵わない。
近場にIMAXがある人は、追加料金を出してもIMAXがお勧めだ。
ちなみに、私は上映終了までには2D通常版も観賞して、ディテールを観察しようと思っている。

ジェームス・キャメロンは、この壮大な物語を三部作とする構想を持っていると言う。
もしもこのクオリティを維持、あるいは進化させて三部作を構成出来たとしたら、文学におけるJ・R・R・トールキンの作品群に匹敵する、映像で語られた星の神話として、映画史上の伝説となるだろう。
もちろん、これ一本だけでも物語的にはきちんと完結しているし、これだけで終わるのも潔いと思うのだけど。

今回はガイア繋がりでガイアの「ロッシ バス シャルドネ」の2007をチョイス。
名門ガイア家によって150年の歴史を紡いで来た、ピエモンテを代表する銘柄。
様々な革新的な挑戦によって、イタリアワインの知名度を高めてきたその歴史は、デジタル映画の歴史を革新し続けるキャメロンの姿勢に重なる。
このロッシ バス シャルドネは衛星パンドラに持っていって、あの美しい風景の中で飲みたくなるスッキリとしたエレガントなお酒。
ブルーのラベルとコルクキャップが洒落ていて、何となく映画に登場するバンシー(イクラン)をイメージさせる。


続き記事「『アバター』比べ」はこちら

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